24 運命の番
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視点途中でセオ様に変わります。
エレノア、エレノア、セオ様です。
「ふぅん、暗殺者の村の村長の息子だけど異端児。」
「はい。間違いなく村長の妻から生まれたのですが、町のものは暗殺者として茶髪に茶色の色の印象に残らない顔が特徴なんですが…何故か、銀髪にオッドアイの美少年…はぁ、困る。父母共に生粋の村の者なのに…父は母の不貞を疑うから村の皆んなものるし…」
哀愁漂う死んだ魚の目がつらい。
私は一言謝ってから話を逸らす。ルナの教育は屋敷に着くまではサリーに任せるとして、あ、勿論屋敷に着いたら執事長に教育してもらいます。
「私はあのままでは死んでいたでしょう。村のものも死んだものとみなしたはず。どうぞ自由にお使いください。」
頭を下げるルナの頭を無理やり上げさせ目を合わせる。
「では、将来は私の従者にしましょう。戦闘はもういけそうだし侍従としての仕事を学びましょうね。サリー屋敷まではお願いね。……さて、」
私はすっと立ちサリーに差し出される羽織をネグリジュの上から羽織りサリーが開けた扉をくぐる。
そこにはニコニコ笑顔のお兄様。その後ろにお父様とお母様、さらにその後ろにヴァルツ兄様とセオ様。
彼らを囲むように使用人が並び……他のお客様が見たら泣いちゃわないかしら。
はぁ、なんてメンツなの。
さすが皆レベルが高いわ。私の部屋から急に大きな魔法の気配(結界張ってたんだけど、主従契約のやつかな)を感じて気配を探ったら知らない魔力があるけど特にこれと言って私に何かする風もない。
で、私の説明を待っていたと。
私はニコリと笑い私のすぐ後ろに控える従者のうちルナの腕を引き私の隣にならばす。
「こちらルナ・ガーミリオン。暗殺者の村の異端児でどうやら色々あり死にかけてたので拾いました。これから私の従者教育を受け将来の私の従者となります。もう主従契約は結んでしまいました。」
あらぁ、お父様とお母様はルナを観察した後頷いてたけどお兄様が引きつった笑みを浮かべている。
「ねぇ、ルナくんと言ったかな?うん、見れば強いってわかるけどさ、本当に強いの?エレノアが何者かわかってんの?ちゃんと守れんだろなぁ?」
おおおおおお兄様が!なんか挑発的…!てか、最初の方ちょっと矛盾が…
だが、お兄様より年下のルナは(あ、十歳ですって)冷静だぁ!
「ご主人様のお優しさに救われたこの命。必ず、何がなんでもいざとなれば命をかけて一生守ってみせます!」
「死んだら守れねぇじゃねぇかよぉ!」
「いざとなればです。簡単に死にません!俺はもっと強くなるんです!」
「ほう、執事長にしごいてもらえ。エレノア、屋敷に連絡はお父様に任せなさい。給料のこととかも執事長に任せるよ。」
お父様がなんかうまく回せそうです。
ちゃんと説明したので私はカーテシーをしてまた一つにっこり。
「私まで寝起きですの。着替えと朝食をしてきます。」
では、と言葉を置きサリーが開けた自室への扉を通る。そしてサリーとルナがお辞儀をしサリーだけが自室に入る。
ルナは着替えの間外で待っているようだ。何も言ってないのに行動に移せるのは紳士的で合格。
私は旅用のワンピースに袖を通すのであった。
***
「ご主人様は「エレノアでお願いしますわね」…エレノア様はエレノア・アマドール・アルヴァレズ公爵令嬢様であっておりますか。」
「えぇ、そうよ。」
「ならばやはり私は将来のことを考えて第三王子の方にも許可を取らなくてはいけませんね。」
そう言った瞬間少し空気が凍った。
ただ今帰りの馬車の中お兄様sと一緒の馬車でございます。
あ、お兄様が青筋を立てている。相当お怒りのようだ。ヴァルツ兄様は意味がわからないと言ううふうな顔をしているけどセオ様は…なんとも言えない顔をしてるわね。葛藤してるような悲しそうな怒っているような…うぅむ。
「ルナ、どうしてそう思ったのか説明しろ。」
「エレノア様の命令以外聞きません。」
「普通の会話の質問みたいなもんですわ。自分の意思で動いていいのよ?説明お願い。」
そう言うとルナは目を輝かせなんと慈悲深いとかなんとか呟いた。いや、なんでやねんって感じだわ。
「エレノア様に会うまで色々な国で同郷に追われていたのですが、ハルガネットの居酒屋であのアルヴァレズ家のご令嬢が第三王子の婚約者となったと聞いたので。違うのですか?」
パリン!あ、お兄様とセオ様のティーカップが割れたわ。がそれをすかさずルナが魔法で紅茶がこぼれるのを防いだ。闇魔法ね。ルナの適正魔法は闇と風だったかしら。魔力操作…うまいわね。
と言うかセオ様までどうした?ヴァルツ兄様は何やら考え込んで「私の方が良いのでは」とか真顔で言うし。いや待てぇい!私はまだ誰とも婚約しません!全く…
「あぁっと、ルナ?その噂はでたらめです。私まだ誰とも婚約を結んでいませんの。その噂を聞いたのは何日まえかしら?」
「一昨日ですね。」
「そう」
私はそれきり考え込む。
その噂が流れるよう促したのはおそらくハルガネット帝国陛下だろう。アシュルお兄様(ヴァルツ兄様の弟)が言ってたように息子可愛さに私と言う最高の権力の後ろ盾を欲した。
お父様達は恋愛結婚推奨派なのでまだ会ったこともない第三皇子との婚約が現実になることはない。だが、周りから固められていく。
我が家の権力を持ってしたら王命を無視することは容易い。だが裏でそう無視することはできても表で堂々と無視するのは流石にできない。一応王家に仕える公爵家だからね。
お父様も堂々と実の兄に恥をかかせるわけにはいかないしお父様が王子の頃から玉座に座って欲しがっていた貴族達が騒ぎ出すだろう。
解決策は一つ。さっさと私が婚約者を決めること。
第三王子は嫌だ。攻略対象だし。面倒でしょ?
私は好きな人と結婚したい。
そう好きな人と幸せな家庭を築いて。
そう想像したとき思い描く旦那様の髪色は黒。
そう考えたとき引き付けられるようにセオ様を見るとがっつりと目が合う。
その目には溢れんばかりの愛情が滲んでいた。
見つめ合うこと数秒。
私は気づいた。
そう、急に。
既視感を覚えたんだ。
『セオ様は汗をかいてもいい匂いがしますわね。』
『…いい匂いがする…エレノア嬢の使う香水を作ったものはかなりの腕だな。
はえ?わたくしこうすいつけておりませんよ?』
『番とは運命の糸でつながっている』
『番はだいたい近くに姿を表す』
…そうか、そうだったのね。
あなたが私の、番なの?
***
「ならばやはり私は将来のことを考えて第三王子の方にも許可を取らなくてはいけませんね。」
そうエレノア嬢が拾った従者が言ったとき疑問しかなかった。だって何故第三王子に許可が必要なのだ。エレノア嬢と第三王子は全く関わっていないのだぞ?
まだ王家の方だったらわかる。
王弟の公爵だからな、人選にも気を使うことだろう。
だが第三王子ときた。考えられるのは将来の学友だからとか。エレノアほどの技量があれば側近でもいけるだろう。第三王子には勿体無いほど優秀だが。
いい噂は聞かないし実際あいつは酷かった。いくら三歳だからってなってなさすぎる。
あと考えられるのは未来の妻、つまり婚約者だ…が…そう考えたとき俺は無性にムカついた。
エレノアがあのクソ第三王子に俺によくするように抱きついたら…きっと俺は泣いてしまう。
何を考えているのだと言う感じだがもうセオ様には抱きつきませんとか言われたら悲しくて死んでしまう。
でもなんで、こんな気持ちになるんだ?大切な友人の妹だから?名家のお嬢さんだから?神獣様に好かれるから?ただ単に可愛いから?
「ハルガネットの居酒屋であのアルヴァレズ家のご令嬢が第三王子の婚約者となったと聞いたので。違うのですか?」
自分がティーカップを割ったなんて気づいていなかった、それくらい色々な感情が脳内でせめぎあっていたから。
市一に出回るぐらい広まっているのか?てことは本当にエレノア嬢とあの第三王子が婚約するのか?
いや、何を焦っている政略結婚だろ、よくあることだ。力の強いアルヴァレズ家の力を王家に取り入れようとするのは普通のことだ。エレノア嬢の持つ権力があれば何もなくした第三王子のいい後ろ盾にもなる。
よくあることだろう?
なのに、何故こんな気持ちになるのだろう。
この気持ちはなんだ…
その答えを求めて俺はエレノア嬢を見つめた。
瞬きのため彼女の長いパールパープルの睫毛が伏せられる。
その様に無性に胸が高なった。
「あぁっと、ルナ?その噂はでたらめです。私まだ誰とも婚約を結んでいませんの。その噂を聞いたのは何日まえかしら?」
そう彼女が言った時、心底ホッとした。所詮噂でしかなかったのだと。
だってそうだろ、エレノア嬢の隣に立つのは…
はっと口元を押さえた。やっと気づけたから。
あぁ、そうだったんだ。
この感情をちまたでは好きと言うのだった。
とたん感情が次々に溢れ出す。
そうか、俺は彼女が好きだから。と、次々と疑問が解けてゆく。
エレノア嬢がある日学園に来た時、剣術の授業中彼女に抱きつかれた時胸が高鳴って赤面した。
女にベタベタされるのは立場上慣れているはずなのにエレノア嬢が抱きついてきたときはドギマギした。懐かれているのが嬉しくて彼女の匂いが甘くて変な気持ちになったてなぜか理性を試されている気分になった。
他にも無性に触れたかったり抱きしめたかったりした。
その思いは日に日に我慢できなくなり最近では結構衝動のままに触ってしまう。
好きだ
そう気づくともう我慢できなかったエレノア嬢を見つめる眼差しに隠すことのできなくなった感情が溢れる。
そう言えば彼女はいつも甘い、いい匂いがする。香水は付けていないそうだから彼女自身の香りだろう。
そういえば、エレノア嬢はよく俺に抱きつくといい匂いがすると言うな。
汗をかいた後も言っていたから真実か怪しいところだ。
急に顔を上げたエレノア嬢と目が会う。
あり得ないぐらい胸が高鳴った。嬉しかった。愛しかった。
そうだ、好きだけじゃない。
彼女は俺の運命だ。
あぁ、いつまでも見つめあっていられる。
その美しい黄金の瞳に映っているのが自分なのが途轍もなく嬉しい。
彼女の瞳はみひらかれ、そして彼女のその黄金の瞳はだんだんと蜂蜜のように甘くとろけた。
もう気づいてしまったら止まらない。
愛しているよ、狂おしいくらいに、愛してる。
どれだけ離れていても俺はきっと君を見つけられる。
だからといって離れて行かないでくれよ。
私のたった一人の運命の番
ありがとうございました!!




