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23 帰り道に拾い物

遅くなりましたがあけましておめでとうございます!

今年もどうぞよろしくお願いします!!

 

 もうすぐ朝日が顔を出すような時刻。エレノアはぱちっと目を覚ました。

 サリーが起こしに来る時間にはまだ早く、だけれどもう眠たくなくてエレノアはベットから降りた。

 朝はまだ少し寒いのでサッとカーディガンを羽織り備え付けのテラスに出て下に見える薔薇園を眺めた。


 この城はとにかく薔薇が多い。

 様々な種類の薔薇が集められているのは、お婆様が薔薇の花を好きだと言ったからだそうだ。

 お爺様のお婆様に対する愛を感じる。この世界は愛と金でできているのだ。


 ぼぉっと眺めていると薔薇園にハサミを持ったお爺様がやってきた。お爺様は薔薇をジッと見つめては優しい微笑みを浮かべてから切る。

 帝国陛下自ら薔薇を切るとはなんとも珍しい光景である。

 私は集中しているお爺様の背中を見つめた。


 しばらく見つめているとお爺様が私の方へ振り返りニコッと笑い手招きした。

 私は風魔法を使いゆっくりとお爺様の前に飛び降りる。

 そしてさっと一礼。


「おはようございますお爺様。」

「おはようエレノア。とても早起きじゃのう。」


 お爺様は薔薇とハサミを片方の手で持ち私の頭を撫でその流れで慈しむように頬を撫でる。

 お爺様はとても愛情深い人だと思う。だってきっとその薔薇はお婆様のためのもの。


 私がお爺様の手にある薔薇を見つめていたからかお爺様は一輪引き抜きトゲをとりくれようとした。

 だけど私はその手を押し返した。その行動にお爺様は虚を疲れたような顔をした後はははっと笑った。


「実はな儂は王妃が嫁いできたその日から毎日薔薇を送っているのじゃ。その日に一番綺麗に咲いた薔薇たちをこの数ある庭園から選んで王妃に贈る。こう毎日していると、この事をしなければ一日が始まったと感じなくなるものじゃ。」


 そう王妃(お婆様)の部屋のある方を向き愛おしげに目を細めた。

 私はお爺様の横顔を見て素敵だなと思った。


「お爺様はお婆様をとてもとても愛してますね。」


 なんだか嬉しくてお爺様へ笑いかけた。夫婦仲がいいことは良いことだ。

 その言葉と笑顔を受けたお爺様は浮かべていた笑顔を深めて私の頭を撫でる。


「愛しているよ。たとえ世界の裏側に行ってしまったとしても必ず見つけ出せるほどに。

 愛しの番だからのぉ。」


 そうだった、帝王夫妻は番の契約をしている人達だった。


 番とは運命の糸でつながっていると言う。番はだいたい近くに姿を表すそうな。その好機を逃せばしばらくは巡り合えないかもしれない。


 番同士はいい匂いがする。


「エレノア嬢は儂の血が濃いようじゃしきっと番に巡り合える。いや、もうもしかしたらもう巡り合っているかものぉう。

 エレノアよ、儂はセガリット帝王として本来なら我が王家の血を色濃く表したお主を玉座の後継の妻になんとしてでも添えねばならん。

 じゃが、そう上手く事ははこばないものでディランもジャックも番じゃないんじゃろ?

 それに愛しの孫に無理強いもできん。


 エレノアよ、どんなに困難な相手でも、遠回りしようとも、愛さえあれば きっと運命は味方してくれるぞ。」


 その言葉に私は何も言えなかった。

 お爺様の目が優しかったから。

 頷くことしかできなかった。運命とは、よくわからない。

 いつか私にもわかる日がくるのだろうか。


 いつかそんな日が来たら、私は誰の隣を歩くのだろう




 ***




「セガリット帝国はやはり魔法師団のレベルが高かったね。」

「そうだな。我が国が医術の国ならセガリットは魔法だな。」

「じゃぁ、ハルガネットは武力ですかね。」


 そんな会話をするのは帰り道で寄った宿の食堂。

 そう、もう帰り道です。セガリットでの滞在期間は二週間程だった。忙しいお父様がよくそこまで休みを取れたものだ。

 そんな事を考えながら着々と食事を終わらせお風呂に入る。サリーにより身支度も何もかも用意された後私はなんとなく外にでた。そう、なんとなく。


 宿の裏手にはすぐそこに森が広がる。綺麗な空気でも吸えるかなって感じで裏手に入るとこの煌びやかの宿に似つかない血生臭い匂いがした。


「なんだか、血生臭いですね。」

 サリーが戦闘態勢に入って私を後ろに隠すが殺気は無いのだ。サリーを避けで前に出る。

 パッと見回すと一見何もない。もう一度しっかり見回すと茂みの所から不自然に立体的な泥が伸びている。


 いや、あれは手だ。手に泥がついいているだけだ。


 間者だったら困るのでそぉっと近付くと荒い息遣いが聞こえた。

 サリーが確認してきますと背後に回るとその倒れていた人は目を瞑ったままサリーから離れて飛び上がった。

 そしてこちらにむかい暗器を投げつけてくる。


「くそっ試練はここで終わりじゃないのか⁉︎もう死んでしまう!」


 どうやら何か試練をしていたようだ。目は開いていないので失明しているのかも知れない。実際目から血が出ている。


 っと、そんな事は置いといて。どうしたものか。サリーもこのおそらく少年の発言に変な顔をしている。

 しょうがないここは大人なエレノア様が何とかしてあげようではないですか。


 私は「ゔぅんっ」とわざとらしく咳をした。


「あー、たぶん試練とやらはおわったのだとおもいますよ?ここら一帯に宿の中のもの以外は気配もしませんし。あら、あなた傷だらけかと思えば魔力が枯渇していますね。よく生きてますよ、腹部が貫かれてますしこのままでは死んでしまいます。治療してもいいですか?」


 そう言うと少年は私の方を見て眉を寄せた。


「なんだ、魔力はでかいのに全然気配に気付かなかった。しかも魔力のデカさの割に体が小さい…なんだ、こいつ。」


 そう言うだけ言って何やらぶつぶつ言い出したのでしばらくはまったけれど途中でこのぶつぶつ終わらないのではと思い。無理やり回復魔法をかけた。


「なっ!なんだ急に!まさか呪いの類か!やはり試練は続いていたのか!くそっいくら俺が異端児だからって村の暗殺者を数十人で一人前試験とか殺す気しかないだろ!」


 むむ…この少年異端児なの?よく分からないな、泥と血だらけで全然見た目がわからない。


「ん、あれ…あったかい?呪いじゃないな。……え。」


 少年は目を開けた。その瞳はオッドアイで私から見て右が赤色、左が灰色だった。


「めは…斬られて完全に失明したと思ってい…た…の……に…」バタリ


 とっくに限界はきていたのに無理やり覚醒していたからか少年は倒れてしまった。



 ***



 倒れた少年を匿って寝た次の日の朝、私はソファーで寝ていたのだがほっぺたをツンツンされて目が覚めた。

 目覚めて一番最初に映ったのは起こしにきたサリーの顔ではなく赤と灰色のオッドアイ。灰色の瞳は朝日を浴びて銀色に見える。

 はて、この美少年なんだったか…あそうそう、昨日拾って浄化かけたら銀髪の10歳くらいの美少年になったんだった。 

 美少年は綺麗な形の唇を開けた。


「…おはよう。命の恩人」

「おはようございます。よかったピンピンしてますね。」

 まぁ、結構高位の回復魔法使ったしね。こんなもんでしょ。

 私がソファーから起き上がるとサリーが布を噛ませれ身動き取れないように縛り上げられ地面に転がされていた。

 サリーは涙目だ。そりゃそうだろ、一応公爵家で私を守れるぐらいの暗殺術を持っているのだ。サリーを縛り上げられると言う事は執事長ぐらいの実力者ではないと。(執事長が公爵家の暗部や戦闘メイドなど侍従を育てた)


「…何があったのかしら。」

「あの女が僕に殺気を向けてくるから縛り上げた。丁度さっきまで格闘していた所だ。」

 全然気づかなかったよ。

「結界を張っていたからな。」

「わたしなにもいってませんわ。」

「顔に書いてある。」


 なるほど、流石にこのままでは可愛そうなので縄を切ってやろうと魔法を展開しようとした所。

 少年がソファーに座っている私の前で跪き自らの親指を歯で切った。

 血が出ているその親指で何やら魔法陣を展開しだす…むむ、この魔法陣あれに似てね?


「【我 ルナ・ガーミリオンは血に誓う この身に注がれた魔力の主に忠誠を誓うと】」


 そう言い魔法陣を描き終えた親指をぺろっと舐め、その身が光った。

 確かこの魔法陣は侍従契約の陣に似てると思ったんだけど…侍従契約は魔力だけを使う契約。だけどこの契約は血をこの少年は使った。そして相手は私だ。“この身に注がれた魔力の主”昨日回復に結構魔力を注いだから魔力は残っているだろう。

 忠誠を誓う相手は魔力に対して彼は血…この契約は結構重いものだ。私の命令に対して彼は否定できない。

 死ねと言われれば死ぬのだ。

 そんな契約をなぜわたしに…


「助けてもらった恩もありますが、会ったその時運命だと思いました。

 あなたに使えるために私は生まれてきたのだと。


 私はあなたの忠実なる僕。


 貴方の命令以外聞かない。


 貴方に命をかけて忠誠を誓います。


 我が主人よ、どうぞ名前を聞かせてくれませんか?」




 そういえば、ガーミリオンって確か暗殺者の村と代表の名前じゃなかったかしら…



エレノアは新しい仲間を手に入れた。

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