☆MY sweet land☆
──小さな頃、雲は綿菓子でその上には大きな大きなお菓子のお城がある、本気でそう思っていた。よくある稚拙で幼稚な他愛ない妄想。でもある意味世界で最も自分に優しく、脆く、とてつもなく甘美な世界。きっと誰もが1度は思い描き時を経ていつか忘れてしまう世界。
そんな幻想そのものの世界に魅入られた1人のかけがえのない素晴らしい子供の物語──────になるはずだった……
3月1日。先週18の誕生日を迎えた彼は終業式後、彼のクラスメイトであった人々が別れを惜しみ涙を流す事に見向きもせずゴミを避ける空気のように家に向かった。
家に着くとただいまも言わずに部屋の本や簡単な生活用品を纏めた。大きな家具は既に業者が新たな〝住処〟に運んでいる。彼は小学校の頃から望んでいた一人暮らしを始めるのだ。これほど胸が高鳴ったのはいつ以来だろう。思い出そうとするがまったく思い出せない。というよりも最初からあった気配すらしない。もしかしたら初胸の高鳴りか…などとしょうもないことを考えながら手際よく荷物を纏めていく。今更家族に愛着などないし家族も自分に愛着などとうの昔からないだろう、独り立ちするのに必要な分より少し多めに金の入った通帳と彼専用の印鑑を渡されただけで『いってらっしゃい』も『体に気をつけてね』も『たまには帰っておいで』とか小説やらドラマやらではテンプレ的な会話もなく「好きにしなよ」とだけ。
別に気にしてもいなければ悲しくもない。基から終わっている関係なのだ。むしろ今更悲しむ方がどうかしてる……自嘲気味にクスリと笑って
少し重たいナップザックと中身のほとんど無い旅行カバンを持って自転車に跨る。
コソコソと新聞配達をして貯めて買ったロードバイク。彼の数少ない私物と呼べるものでこの独り立ちの為に最初に買うと決めたものだ。
スピードにのりグングン走らせる。旅用の地図を頼りに走る。もう見た事の眺めが広がっている、ここはどこだろうか…ここでいいのか…?カプセルホテルやビジネスホテルにハシゴしながらスマホも使いつつなんとか新居のマンションの一角が見えたきた。ほんの数日前まで住んでいた家などとうに忘れこれからの〝自由〟に思いを馳せた。仲介業者の完璧な営業スマイルに迎えられひとまず疲れを癒すべく布団を敷き泥のように眠った。閑静な住宅街のアパートの一室で。カプセルホテルやビジネスホテルではよく眠れなかったはずが翌日の10時までぐっすりと眠った。
読んで下さりありがとうございます。作者のつなまよです。初めてこのような場に投稿させていただきました。と、いうのも高校生の自分が抱えているストレスなんかを主人公に何十倍にもして与えるという根暗な事をしてたらいつの間にかメモ帳がだいぶ埋まりまして…せめて誰かに見てもらえば!と思い投稿させていただきました。
お話自体はホントに救われない終わり方をさせる予定です。なるべく死に落ちとかは避けたいかなとも。 なんであれ綺麗に落ち着けば短く終わってもそれで満足すると思います。
どうぞご贔屓に!!




