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01.私の新しい家族

早速ブックマークをしてくださった方が!

ありがとうございます!


初作品なのでとても緊張しています(汗)

『ハッピーエンドのその先で』も投稿したばかりですが、頑張りますので、両作品とも応援よろしくお願いします!

 どうも、お久しぶりです。

 産まれてから、もう半年が経ちました。

 いや、それ以上か?...そんな感じです。

 私は立つことが出来るようになり、スラスラと話せる!ようにはならなかったけど、少しずつ話せるようになってきた。

 自分の才能が恐ろしいわ!

 如月 玲(きさらぎ れい)...恐ろしい子!なんつって。


 それにしても暇すぎる。

 世の赤ちゃん達は一体何をして過ごしているのだろう。不思議だ。

 毎日、起きたらいつの間にか寝ていて、気付けば夜っていうことがよくあった。

 そう!これこそ、ニー…ゴホン、自宅警備員の人たちの憧れの、食っちゃ寝!である。


 私も前世の頃は憧れていたし、赤ちゃん成り立てほやほやの頃は、楽でいいなあ、と思っていた。

 が!

 前世のように、携帯も漫画もゲームも持っていない、赤ちゃんだから、誰かと会話なんてできない、今!

 食っちゃ寝はとても退屈なものであることをこの身で実感したのだ。


 ニートの皆さん

 周りに何もないときの食っちゃ寝はとても辛いものでした。

 皆さんにも味わってもらいたいこの苦痛。

 ...誰か代わってくれえええ


 少し取り乱してしまったようだ。

 気を取り直して。

 私だって、何もせずにずっと寝ていたわけではない。断じてない。


 両親の会話から新たな情報を入手したのだ。

 この世界は前世と似ている。それも物凄く。

 地名しかり、家具しかり。

 しかし、ただ一点だけ前世と違う点がある。

 それは、魔法というものがあるらしい、という点。

 らしい、というのは実際には魔法を見たことがないからだ。

 この世界は前世と酷似しているがどこかちがいがある、パラレルワールドということだろうか。

 まあ、魔法がある時点で全然日本じゃねーよと思う人もいるかもしれないが。

 私もそう思いマンモス!


 ............。


 …はい、私の一発ギャグが滑ったところで!

 魔法のことは一旦おいといて。

 ここで、私の新しい家族をまとめておこうと思う。

 喋れないのって意外と不便...。

 早く喋れるようになりたい。


「おや。(れい)。もう起きていたのですか。」

「あーうー」

「ふふ。今日も元気そうですね。」


 この黒髪黒目で、眼鏡かけてて、パリッとしたスーツを着てて、いかにも真面目です!って感じのイケメンは、何を隠そう我が新しい父親である。


 前世の父親は、何というか、パッとしないおっさんだった。

 それじゃ可哀想か。

 えーと、頭が良くて器用で、ゲーム厨なおっさんだった。

 普通のお父さんじゃないかって?

 そうだよ、普通だよ。

 だけど、何て言うか顔が普通というか、可もなく不可もなくというか...

 そう!RPGとかで最初のクエストの村で出会う、村人Bって感じ!

 村人AじゃなくてBってところもパッとしない。


 ディスりはここまでとして。

 普通にいいお父さんだったと思う。

 好きだったし、尊敬もしていた。

 主に、ゲーム関係でだけど。

 今思い出しても、お父さんの攻撃さばきは凄かった。

 あの頃は本当に感動して、弟子入りしようか前向きに検討していたほどだ。

 まあ、もう会えないだろうけどね!


 もう会えないだろう父親に思いを馳せたところで、新しい父親についてだ。

 彼の名前は如月 恭一郎きさらぎきょういちろう

 外見的に20代後半から30代前半ぐらいに見えるが、実齢は分からない。

 外見は10人いたら、20人がモデルか俳優と答えるような整った容姿の持ち主だ。

 我が父ながら、眼福である。

 え、10人じゃないのかって?

 元々10人いたけど、父がイケメン過ぎてプラス10人が割り込んできたんじゃないかな。

 うん...そういうことだ。


 職業は残念ながらモデルでも俳優でもなく、秘書兼執事である。

 秘書はいいとしても執事って。

 一応部屋にあるテレビやら何やらでこの世界の文化レベルが前世とほとんど変わらないことはわかっているので、この時代に執事かよ!と、聞いた当時は突っ込んだほどだ。

 この世界が漫画orゲームである可能性がグンと上がった気がしたが、冗談でも間違いでもなく、父は秘書兼執事であるらしいのである。


 そして、父が、秘書として、また執事として仕える家は神白(かみしろ)家といって、何かを多角的に経営しているグループで、とてもお金持ちらしい。

 金の匂いがぷんぷんしますなぁ。くふふ。


 詳しいことは知らないが、赤ちゃんのいる部屋で真面目な話なんてしないだろうし、仕方ない。

 そもそも、話を聞いたところで、あっそうなの、ふーん。で終わるわ。

 経営学なんて学んだことないし、私のようなド素人に分かるわけがない。

 ラノベの主人公たちのように、そこは...のように計らえば良いのでは?なんてアドバイスも、できるわけない。


 っていうかさ、ラノベの主人公たち、有能すぎない?

 何であんなに頭の回転速いの?

 私だったら無理だね。

 石鹸の作り方なんて知らないし。

 エジプト文明のことなんても知らない。

 異世界に行ったって、生きてくだけで精一杯だよ。

 って今この世界も異世界か。アハハ

 ...話がそれた。


 つまり、父はお金持ちに仕える有能な秘書兼執事なのだ。

 あと、我が如月家は代々、神白家に仕えてきた家元らしい。

 一応、如月家も伝統あるんだなあ。

 まあ、その伝統っていうのが、神白家に仕える、って少し微妙だけど。


「あら、貴方。もうお仕事はよろしいの?」

「はい、美穂(みほ)さん。只今戻りました」

「お疲れさまでした。お兄様のご様子はどうでしたの?」

「案の定...心ここに在らずといった感じでしたね。仕事に手が付かない状態でした」

「まったくもう。仕方のない人ね」


 今部屋に入ってきた美人さんが私の新しい母親。

 彼女の名前は如月 美穂(きさらぎ みほ)

 父と同じく実齢は不明だが、見た目的には、10代後半から20代前半とかなり若い。

 制服着てキャピキャピしてたら、私でも学生に見間違うかもしれない。

 しわなんてものはない。

 化粧は特段濃いわけではないのに、しわがないスベスベもっちり肌。

 羨ましい...なんて思ってないよー。

 うん。思ってない。


 黒色の髪の毛は、腰のほどまで伸びていて艶々のロングヘアー。

 もちろん白髪なんてどこにも見受けられない。

 一体どんなシャンプーを…

 って私も同じシャンプー使ってるんだった。

 てことは、私も将来はあんな艶々ヘアーに!

 ふふふふ


 そんな彼女は専業主婦ではある。

 しかし、今までの会話と彼女の口調からもう分かっているだろうが。

 母は、神白(かみしろ)家現当主の妹である。

 前当主からしてみれば、娘に当たる。


 おい父さん!恭一郎さん!


 全国から突っ込みが聞こえてくる。

 同士たちよ。私も突っ込みたい。

 きっと私がもう喋れるようだったなら、突っ込んでいただろう。

 お仕えしている家の娘さんに手ェ出したんかい!と。


 娘として弁解をしておくと。

 先に好きになったのは、母が先らしい。

 母は好きになった途端、ひそかにアプローチを始めた。

 外見の通り、真面目な性格な父は、その想いを拒み続けていたらしい。おおお

 しかし、おっとりとした見た目に反して、意外とアグレッシブな母は、そんなやんわりとした拒絶には屈しなかった。


 なかなか、想いを受け入れてくれない父にしびれを切らした母は、反対する両親と兄を説得し、父方の両親にも挨拶を済ませてしまった。

 そう、父の外堀を埋めていったのだ。

 意外とやりおる...!

 母は策士であったか。


 外堀を埋められ、逃げ場を失った父。

 母からの激しくなるアプローチ。

 いつの間にか父は、コロッと落とされていたらしい。


 執事とお嬢様の禁断の恋…

 三次元で初めて見た。

 それにしてもすごい。

 母は難攻不落(なんこうふらく)の父を見事に落としたのだ。

 これはゲームで言えば、ギャルゲーよりは乙女ゲーである。

 聞いた最初の頃は、リアル乙女ゲームだーと、テンションが異常に高かった。

 しかし、

 毎夜どころか、出会えばどこでもいつでも、甘い言葉を囁き合う二人。

 ...砂はくわ!

 …もういい。勝手にしてくれ。

 とりあえず、これからも仲良くしてね!


 そして、一応神白(かみしろ)家についてもまとめておくと。

 先程も言ったとおり、神白(かみしろ)家はお金持ちだ。

 どんな稼ぎ方をしているかは知らないが、その腕は確かと言えるだろう。

 特段、皇族や華族の系列ではないらしい。

 どこぞの商人の子孫であるとかないとか。

 あやふや?私だってそう思う。

 でも、仕方ない。

 私もよく分かっていないんだから仕方ない。

 馬鹿じゃないかって?

 そうですよ、頭は強くないです。


 えー、私へのディスりはここまでとして。

 というか、この辺で許してください。

 意外と豆腐メンタルなんです。ガラスのハートなんです。


 分かることと言うと、現在の家族構成についてだろうか。

 神白(かみしろ)家現当主であり、私にとっての伯父さん。

 その妻である、伯母さん。

 伯母さんは嫁いできた身で、伯父さんが神白(かみしろ)家直系の息子らしい。

 あと、前当主の夫婦のおじいちゃんとおばあちゃん。


 前当主は息子の現当主に仕事の云々(うんぬん)をさっさと引き継がせ、夫婦で世界旅行に出掛けた。

 だから私は、一度もあったことがない。

 私の写真は、送ったようだけど、興味がない…というよりは観光に夢中らしく、今のところは帰るつもりはないのだとか。

 初孫より観光!?なんて祖父母だ!

 引退するには早い年だろう、といった文句を言う暇さえ与えない行動力。

 母のアグレッシブさは、おそらく祖父母譲りだろう。

 今頃どこにいるのやら。


 如月(きさらぎ)家のおばあちゃんはもうすでに亡くなっている。

 おじいちゃんは健在だけど、前当主の執事として、側にいるらしく、私に会いたいのに会えないのだとか。

 私も会いたいよ!おじいちゃん!

 お父さんには他に兄弟がいないので、親戚は神白(かみしろ)家以外いない。

 まあ、なんともシンプルで覚えやすい。


 あと、現在住んでいる家だが、普通の一軒家である。驚くほど普通の。

 金持ちに仕えているからといって、また母が金持ちの家の出だからといって、特別贅沢な暮らしをしているわけではない。

 私としては十分だけど、金持ちの暮らしにも興味がある。

 是非とも一度、神白(かみしろ)家に出向いてみたいものだ。


 ん?お母さんが降嫁的な結婚をした事による弊害はないのかって?


 ない。

 私のお母さんをなめないでもらいたい。

 そこら辺の根回しは完璧だ。

 わんだほー!


 家の電話が鳴り響く。

 ここで考え事は中断かな。

 ちなみに、この世界の電話は前世と変わらないものだ。

 魔法があるんだから、それを活用すればいいのに。

 心のなかで念じれば、相手に届くっていうような魔法ってあるんじゃないの?

 ないのかな。ラノベの読みすぎか。


「おや。電話ですね」

「私が出ますわ。...はい、如月です。」


 私は母の声に耳をすます。

 それにしても暇だ。

 何か面白いことはないだろうか。

 ハイハイして隣の部屋に突撃しようとしても、すぐに回収されちゃうし。

 だから、両親に気付かれないように隣の部屋に移動する遊びを一人でしてたけど、全戦全敗だった。

 楽しかったけれど、回収される度に、親に困った顔をされるもんだから、今はもうしていない。

 ということで現在、絶賛、暇を持て余し中なのだ。


「まあ!それは本当ですの?すぐに参りますわ!」


 ウキウキとした声と共に受話器を置く母。

 私を高い高いしていた父は母の方向に顔を向ける。


「何の用事だったのですか?」

「産まれたのですって!」

「えっ、予定日より早くないですか?」

「でも、私聞き間違いなんてしてませんわ。とにかく急いで向かいましょう」

「かしこまりました。すぐに準備いたします。」


 父は私をベッドにそっと下ろすと、慌てた様子で部屋を出ていく。

 母も化粧室にたったったっと駆けていく。

 産まれたって...誰が?

 なんてボケるつもりはない。

 当然分かっている。


 イトコだ。イトコが産まれたのだ。


 神白(かみしろ)家の子供だ。

 よく伯母さんは私を見に来てくれていたが、そのお腹は膨らんでいた。

 私の前で、明確にどう、といった話はなかったが、当然分かる。

 イトコとはいえ、私は如月(きさらぎ)家の娘なのだから、その子に仕えることになるのだろう。

 他に歳の近い子もいないし、純粋に嬉しい。

 友達になれるといいな!

 優しい子だともっといい。

 あ、でも、俺様でも面白いかもしれない。

 ふふっ楽しみ!


 一人でニマニマしているうちに、両親の準備は終わったらしく、私は母親に抱き上げられた。見た目細いのに慣れた手つき。流石お母さん。

 母は私に微笑みかけると、私にそっと羽毛の毛布をかける。

 中に居るから分かりづらいが、季節は冬。

 外に出るのだから、風邪を引かないようにだろう。

 さんきゅーマザー。


「どんな子なのでしょう。きっとお兄様とお義姉様に似て、可愛らしいのでしょうけど」

「利発そうな子かもしれません」

「会うのが楽しみですわ」

「ええ、私もですよ」


 どうやって行くのだろう、と思っていたら、普通にドアを開けて歩いて行くようだ。

 何気に外に出るのが初めてな私は目を見開いて辺りを見回した。

 なんと言うか...普通の住宅街だ。

 庭が広かったから気が付かなかったが、普通だ。うん。

 私の家も想像通り、もちろん少し庭と家が大きいかな~って位の普通の一軒家だった。

 多少広い庭と多少大きな家が多いことからお金持ちの家が集まっているような気がしないでもないけれど。

 そう言えば前世の田舎ではこれくらいの庭持ちは普通だった。

 やはり、特別お金持ちが集合している感じはしない。


(れい)ちゃんは初めてお邪魔するわね。ここが伯父さんの家よ~」

「只今参りました。如月(きさらぎ)でございます」


 少し大きな門が見えてきた。

 徒歩1分ほど。つまり、神白(かみしろ)家はお隣さんだったわけだ。

 私の家よりも庭も家も大きいが、豪邸というにはどこか物足りない一軒家。

 丁寧に手入れされている庭や門柱からも、センスの良さが伺える。

 でも、予想よりもシンプルだ。

 誰がこの家の主が金持ちだと思うだろうか。

 いや?防犯上、こっちの方がいいのか?

 あ、でも車庫広い。…ってリムジン!?

 まじかよ...。でも、あんなのに乗ったら悪目立ちしそう。

 生まれ変わっても感覚は庶民だ。

 喜ぶべきか哀しむべきか…。


「失礼いたします」


 父親がインターホンに向けて少しの会話をすると、門から鍵が開く音がした。

 えっ?全自動?めっちゃ金持ちっぽい!

 父親は慣れた手つきで門を開き、優雅に母親の手を取りながら敷地内に入る。

 気付くと、家の中に入っていた。

 いつの間に!瞬間移動か!?なんちって。

 ただ私がボーっとしていただけでーす。


「よく来たな!恭一郎(きょういちろう)美穂(みほ)!」

「お兄様、お待たせいたしましたわ」


 出迎えてくれたのは、メイド!ではなく、神白(かみしろ)家現当主本人だった。

 うちの母親に似た柔らかい顔立ちに、サラサラの黒髪。

 西洋の王子様というよりかは、和風王子様というような感じで、外見年齢は20代。

 しかし、実際は30代後半らしいので、結構な若作りといえる。

 一切の無理を感じないところが羨ましい。

 洋画で出てくるような私には価値のわからない真っ赤なガウンを羽織っているが、普通なら感じるだろう、痛々しい感じが全くしない。

 私の感想としては、なぜそれが似合う!?である。


 そんなイケメンの伯父の名前は神白 太郎(かみしろ たろう)

 顔の割に名前、普通すぎない?

 っていうか、普通すぎでしょ!

 太郎って!っふっ...くふっ..っ

 やばくね?あの顔で太郎とか…全国の太郎から嫉妬の嵐だよ!

 それと、おじいちゃんとおばあちゃんのネーミングセンス...!皆無だな!

 あの顔であの名前って、ある意味可哀想だな。


 伯父の名前を初めて聞いたときは、心で大笑いしたものだ。

 流石(さすが)に声に出して笑うこともできず、表情を保つのに苦労した。


「おいで、三人共。息子が待ってる」

「まあ!男の子でしたのね?」

「ああ」


 嬉しそうに目を細め、落ち着きなさそうに手招く。

 その後を、両親はこれまた落ち着きなさげに付いて行く。

 言わずもがな、一番落ち着いているのは父親だ。

 伯父と母親の興奮ぶりは流石(さすが)兄妹と言うべきか、何ともソックリで笑えてくる。

 笑えてくるけど、私を抱く母親の身体が揺れる度に、ちょっと笑えなくなる。

 ...頼むから落とさないでね?


「あら!よく来てくれましたわね」


 少し気の強そうな声は伯母のものだ。

 二階の部屋に入ると、代わりに数人の女の人たちが部屋を出ていった。

 格好からして、助産婦さんだろう。

 産まれた!と言って自宅に来たのだから、そうだとは思っていたけれど、家で出産したのか。すごいな…。

 私は一瞬彼女たちの背中に視線を向け、また伯母に意識を戻した。


 気の強そうな声そのままに、キリリっとつり上がった目。

 けれど、決して怖い印象は抱かない、圧倒的安心感。

 女帝という表現をするべきか。

 出産直後だからか、頬は若干こけているけれど、決して衰えない美しさを持つ女性。

 そんな美女の伯母の名前は、神白 薫子(かみしろ かおるこ)


「お義姉様!もう体調はよろしいのですか?」

「ええ。息子の顔を見たら、疲れなんて吹き飛びましてよ?」

「ふふ、そうですわよねえ」


 母が伯母の近くに駆け寄って声をかける。

 前世では経験できなかったけど、出産って凄いなぁ。

 物凄く痛いはずなのに、この輝き。

 キラキラ光っているわけではないのに、輝いて見える。


「ほら見てくださいな。(わたくし)旦那(だんな)様に似て、賢そうな子でしょう?」

「あら本当!(れい)ちゃんもご覧なさい?貴女の未来のご主人様でしてよ?」


 母親の言葉に、やはり私はこの子に仕えることになるのか、と考える。

 考えながら、絶対イケメンに育つんだろうな。

 ならラッキーだな。

 仕えるにしても、豚みたいな男には仕えたくないしなあ。

 などと、失礼なことを、実際には言葉にならないが呟く。


「名前ももう決まっておりますの。朱皇(すおう)神白 朱皇(かみしろ すおう)ですわ!」


 伯母の声を聞きながら、若干の違和感を感じる。

 産まれたての赤ん坊にしては、何というか…表情が大人びている。

 泣くでもなく、笑うでもなく、不思議そうに私を見ているのだ。

 普通の赤ん坊って、こんなだっけ?

 私が首をひねっていると、赤ん坊…朱皇(すおう)は自分の父親…神白 太郎(かみしろ たろう)を見て固まった。

 そして叫ぶ。


「あああぁううううー!!」


 ん?何か見覚えがあるぞ?

 確かあれは私が産まれたばかりの私だ…

 ん?


「まあ、流石は男の子ですわ」

「ええ、元気一杯ですわね!このまま男らしく育つのですわよ、朱皇(すおう)!」


 母親と伯母が、キャッキャッと嬉しそうに話す中。

 私は一人で、自分の想像が当たっていたとしたら、どうしようかと考えていた。


 ......。

 もしかして私の他にも転生者がいたり…。

 …ま、まあ、その時はその時だよね!


 それはある年の晴れたクリスマスの日。

 新たな波乱の予感が胸をよぎった。

実は昨日、家で飼っている愛猫が緊急入院しまして...

とても心配していましたが、取り敢えず今のところは命に別状は無いそうなので、良かったです~

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