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ひまわりの春と月物語  作者: 朝丸。
二…気づかなかった芽
15/26

01

__ピンポーン



一階から聞こえるチャイムの音。重い瞼を薄く開き、目を擦っては枕元に置いてある時計を見る。


土曜日の朝8時過ぎ。

朝から来る客としたら、私の友達の可能性はない。配達とか陽達の友達かその他か。

まあ、蒼汰か陽が出てくれるだろう。



__ピンポーン、ピンポーン


枕で耳を塞ぐように寝返りをうち、布団を頭まで被る。部屋にいる私にも聞こえてるんだから、同じ二階にいる三人にもチャイムの音は聞こえているはず。

__ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

「もう!!」


思いっきり布団を横に捲るとベッドから出る。そのまま部屋を出て一階へ下りるが、一階にはやはり誰もいなかった。

父は出張で長らく家にはいない。母も実家に泊まってきてるのでこの家には今は3兄妹しかいない。


__ピンポーンピンポーン

「開けますってば! 」

鳴り止まないチャイム音に、寝起きでイライラしながら玄関を開けた。


あれ。


玄関に下りてスリッパを履き、ドアを開けたのはいいものの、誰も立っていなかった。所謂(いわゆる)ピンポンダッシュというやつだったのかな……すごいチャイム鳴らされていたけども。


ドアを閉めようとした、その時に。


「や、お、追いついた」


髪を乱して走ってきた男の人が玄関前で立ち止まった。制服を着てリュックを背負っている男の人は、膝に手を置いて呼吸を整えているようで顔が見えない。


「あ、あのー」


警戒しながら閉めかけたドアをゆっくり開けると、その男の人はパッと顔を上げた。


「い、泉。ひ、久しぶり」

額に少し汗を浮かべ苦笑する男の人。小さい頃から知っていてよく遊んでもらっていた。しばらく会っていない間に背も伸びて、声も低くなっている。


けど間違えない。

栗色の髪に、よく細められるひとえの目。小さい頃から見覚えのある顔にだんだんと重なっていく。


「さっちゃん!!」


私が男の人を指差してそう言ったタイミングで、二階から蒼汰が下りてきた。


「あ、蒼ー!」

「皐月!?」


(そう)と呼ばれ、目を見開き駆け寄ってきた。

何しろ蒼汰とこの人は歳が一つ違いで1番仲が良く、中学までは同じ所だったのだ。私もだけど。


真柴皐月(ましば さつき)。今高3の私達のいとこである。

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