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ひまわりの春と月物語  作者: 朝丸。
一…月宮家の人たちと来客
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11


「眠いんなら部屋で寝てよねー。お客さんの相手もしないで」


リビングと台所で寝ている兄弟相手にボソっと言うが、翔季さんにしか聞こえていない。


「あ、俺は気にしないで! 妹さんも何かやることあったらやってていいから。」


目を瞬きさせた後笑ってそう言い、陽が眠っているソファーの隣に腰掛けた。

そうは言ってもらえたが、風呂は陽達が帰ってくる前に入ってしまった。今のところはやる事がない。……ない。


「あった!! 」


思わず叫んでしまい、驚いた様子の翔季さんと目が合った。慌てて口を閉じると蒼汰と陽の様子を目で伺う。

見たところ、二人とも起きる様子はなくホッとして息を吐き出した。(起きても問題はなかったんだけど。)


忘れていた。


今日の夕方にベランダから取り込んだ衣類などの洗濯物のこと。びしょ濡れの状態で。


洗い直すつもりで一時的に洗濯物を掛けておくはずが、うっかりしていた。今からでも洗い直すか。


リビングの隣にある和室に入ると生乾き状態の衣類が掛かったハンガーを手に持つ。


「えっと、何か手伝う? 」


後ろから声が聞こえ振り返ると、リビングから和室にはあがらず境目のところから此方を見ている翔季さん。


3人分の衣類を一度に運ぶのは出来ないので翔季さんの言葉に甘えることにして頷いた。

すると翔季さんは「あ。」と声を発して両手で自分の顔を覆ってしまう。


「あの……ごめん。」


視界を隠すように両手で顔を覆ったまま此方に背を向けて、かろうじて聞き取れる声で言った。何故謝られたのか分からなくて眉を寄せる。

すると右手は顔を隠したまま、左腕をあげて私の奥の方を指差した。


指差されている方へゆっくり顔を向ける。


「ああああ!!? 」


それが目に映った瞬間、驚きと焦りと羞恥で頭がいっぱいになった。咄嗟にそこに駆け寄り、原因の物を取ると部屋の隅へと投げ捨てた。翔季さんからは死角になるであろう部屋の隅。


「お目汚ししました……すみません。」


顔を向けることが出来なくて壁を向いたままボソっと言った。

「うん……。こっちこそごめん」

と翔季さんも顔を押さえたまま動かなかった。

髪の隙間から見えた色白の耳たぶが若干赤くなっていたところは見てない振りをした。


そこからお互いが黙ったまま数秒間。


私が部屋の隅に勢いよく投げ捨てたものは、

タオルと一緒に干されていた物。


マイ下着。


兄や弟ならなんとも思わないが……。




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