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プロローグ
遅筆ですがお付き合いいただけたらと思います。
私は昔から本を読むのが好きで、それこそ剣と魔法の世界に憧れ…というか、そんな世界に生きてみたいと何度も願ったことがある。
でも、それは自分が安全な所で、責任が生じない立場だったからに過ぎず実際己の身に降りかかってきたらなんと残酷なことか。
私は今見知らぬ小高い丘にいる。
頬を撫で肩まで伸びた髪を揺らす風が気持ちいい。
駅から自宅まで残暑の厳しいなか歩いてきたので、すぅっと汗が引いていくようだ。
しかし私は何故こんなところに来てしまったんだろうか?
確か自室の襖戸を開け、部屋に入っただけなのに。