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短編小説・完結済み小説

借金は彼を殺した。

作者: 尖角

 あなたから送られてきた一通の手紙…。


 その内容の意味が私にはわからない。



 『   ごめん





















                 サヨナラ   』



 このたった2行の手紙が、今も私を苦しめる。


 あなたと最後に会ったのは、先々週の日曜日。


 その日は私達の久々のデートだった。



 何かと忙しい身であった営業マンのあなたは、私個人としては誇りだった。


 確かに人が言うように冴えない人であったと思うし、無口な人だったなと思ってはいる。


 けれど、人のことをよく見ていて、気付けばどんなことでも手伝ってくれる。


 私はそんなあなたが好きだった。


 そもそも、派遣社員の私と正社員のあなたが釣り合うなんて夢だったんだやっぱり、、、


 今の私は、そんな風にあなたと過ごした日々を考えている。






 「待たせたな、京子」


 そうやって私に声をかける和彦(あなた)


 今日は久々のデートである。


 だから、私は少し張り切って大きめな声で「今日はどこに行く?」と言った。


 すると「カラオケとかはどーよ?」「最近行ってないじゃん?」と言う和彦。


 私はその言葉に賛同し、カラオケ屋に向かうことにした。






 しばらくの間、2人並んでカラオケ屋に向かっていると、ほんの少しだけ手が寂しく思えた。


 だから私は、そっと左手を伸ばし、和彦の手を“ギュッ”っと握る。


 すると、『どうした?』っとでも言いたそうな顔で私を見つめる和彦。


 私はそれを見て“ニコッ”と笑いかけた。






 カラオケボックスに入って、私が3曲・和彦が2曲を歌った時、和彦は不意にトイレに立ったよね…。


 でも、それから2度と部屋に戻って来ることはなかった・・・。


 そして、私のところにも、、、











 私がもっと早く気付いていれば、気付いていたならば、あなたが死ぬことはなかったのだろうか?


 借金なんてものが、いつからあったかはわからない。


 けれど、私が気付いていたなら、少しぐらいは今という現実がかわっていたのかな?


 友達や家族は私を慰めようとする。


 借金からの自殺・・・。


 それだけで人は良く思わない。


 あなたが言ってくれれば・・・。


 あなたが言ってくれさえすれば・・・。






 そんなに私が頼りなかった?


 私は今でも死んだあなたを想っているのに・・・。

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― 新着の感想 ―
[一言] 借金って、子供の私にはよくわからないけど、本当辛いらしいですね… 京子の心の穴 これからも埋まる事ないんでしょうか…
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