現況-毛利方-
島左近「先程も述べましたように、我らは尾張と三河の境で徳川を迎撃しようと考えていました。そこには今、大垣城にいらっしゃる方々。伊勢を転戦されていました毛利の方々を投入する予定でありましたが……。」
石田三成「福島を翻意させる事は出来なかった?」
島左近「はい。秀頼様。正確には淀様の去就を明らかにする事が出来なかった。これが全ての要因であります。ただ淀様は、我らを敵と位置付けているわけではありません。」
石田三成「……高みの見物を決め込もうと言う事か?」
島左近「私はそこまで言ってはいませんよ。」
石田三成「すまぬ。言い過ぎた。続けてくれ。」
島左近「はい。誤算は岐阜城の陥落。大坂からの支援が無い事以外にも発生しています。1つは田辺城の細川幽斎。彼の息子忠興が家康と行動をしていたため、敵対する恐れはありました。ただ細川の主力が忠興に振り向けられていた事もあり、簡単に処理出来る。と踏んでいたのでありましたが……。」
開城までに2ヶ月を費やすハメとなってしまいました。
島左近「幽斎には古今伝授があり、亡き者にするわけには行かなかった事。そのため朝廷にも介入していただいたのでありましたが、幽斎はなかなか首を縦に振っていただく事が出来ず。最後、勅命で以て和睦出来たのが2日前。故に城を囲んでいた方々は、まだ現地を離れる事が出来ない状況にあります。そしてもう1つ。これは全く想定していなかった事態でありましたのが……。」
大津城の離反。
島左近「今から一週間前。京極高次が突如離反。大津城に籠り、徹底抗戦の構えを見せました。そのため小早川秀包様と伊勢を転戦していました立花宗茂様に急遽大津城の攻略を願い出なければならなくなってしまいました。」
石田三成「戦局は?」
島左近「大津城が元々琵琶湖からの陸揚げを目的としていたため、そこまで堅固な城では無かった事。加えて彼らは……。」
大筒を装備していたため。
島左近「堀を飛び越え、間断無く攻撃をする事が出来ています。どうやら敵は戦意喪失。城の陥落は目前との報告を受けています。」
石田三成「兵の数は?」
島左近「田辺城攻めに15000。大津城攻めにも15000それぞれ派兵しています。」
石田三成「3万と言えば……。」
徳川家康の部隊と同じ。
石田三成「家康の指示に従うのが井伊直政ただ独りの今が、攻める好機となるのか……。」
島左近「慎重な殿にしては珍しく積極的でありますね?しかし大津に居る15000もまだ当地を離れる事は出来ません。今大垣に居る兵で出来る事を考えなければなりません。」




