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増田長盛「家康にせよ輝元にせよこのいくさに勝つ事により、400万石に迫る大勢力になります。これに対抗する事の出来る勢力はこの国にはいません。唯一その可能性が残されているのが……。」


 豊臣秀頼と生き残った太閤恩顧の諸将が連携した時。


増田長盛「であります。もし仮に家康や輝元が秀頼様の排除に乗り出そうとした時、如何為されますか?」

石田三成、福島正則「全てを棄て戦う所存にある。」

増田長盛「そんな連中が東海道筋や畿内に居るのは邪魔で仕方無いでしょう。故に倍近い所領と引き換えに、出来る限り大坂から遠ざける。それも可能な限り分散させる措置を講じる事になります。これは私も例外ではありません。本音を申せば、私が停戦に奔走した理由がそれであります。」

石田三成「秀頼様を利用するだけ利用して、最後は……。」

増田長盛「そこまではわかりません。わかりませんが、蔵入地を含む豊臣家の全ての所領がそのまま秀頼様の手元に残る事は無いと見ています。家康が福島に約束した事は恐らく……。」


 豊臣秀吉が織田秀信へ行った処遇を念頭に置いたものでは無いかと。


増田長盛「当然でしょう。この国の第一人者となった者が、大番頭であり続ける事等あり得ません。ましてや家康は、織田信長様亡き後の信雄様や信孝様。丹羽長秀様亡き後の長重を見ています。このまま豊臣の天下が続いた場合……。」


 徳川家康亡き後の徳川家が同じ運命を辿る事になる。


増田長盛「と考えても不思議ではありません。故に家康にせよ輝元にせよ政権の中枢である畿内を接収し、朝廷権力を掌握。これらの資源を活用し、自家の繁栄が未来永劫続く体制の構築に乗り出すのは自然な流れ。そこに福島や石田が介在する事は出来ません。」

石田三成「どちらが勝っても……。」

増田長盛「同じであります。前田も上杉も大坂に居なかったから、家康に難癖を付けられたのでありますから。」

福島正則「豊臣内部で争うべきでは無かった……。」

増田長盛「この原因を作ったのは……わかっておろう。言い難いと思うので私から言おう。太閤殿下だ。先年からの諍いは唐入りに端を発したもの。太閤殿下が体調を崩され、名護屋にまで足を運ぶ事が出来なかった。そこに……。」


 石田三成がありのままを報告してしまっていた。


増田長盛「福島。誤解してはならぬぞ。石田は事実を曲げたわけでは無い。あくまで現地の情報をそのまま伝えたに過ぎぬ。これまでもそうしていた。ただこれまでと異なる点が1つあった。それは……。」


 豊臣秀吉の衰え。

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