大将を狙うよりも
島左近の戦術を察した3名は戦線からの離脱を決断。退避を試みるも大筒により統率を失った隊の全てを回収する事は出来ず。逃げ遅れた者を島左近隊が蹂躙。もしくは島左近に押し出され、蒲生郷舎率いる鉄砲隊の餌食となったのでありました。
島津義弘「大筒を使い、敵方の統率を奪う事が出来たとしても兵の数ではこちらが不利である事に変わりは無い。深追いは厳禁。」
島左近「わかりました。」
島津義弘「これは各々の部下に伝えていただきたい事なのであるが……。」
功名心に駆られ、大将の首を狙ってはならぬ。
島津義弘「大筒と言う未知なる兵器に怯んだとしても、自分の大将が危機となったら話は別。全てを棄て、我らに刃を向ける事になる。そうなった敵程怖いものは無い。どのような不測の事態を招く事になるかは……。」
石田三成「幸い私はその経験はありませんが、太閤殿下は信長様の時代に幾度となく経験されたと聞いています。」
島津義弘「目的はあくまで敵方の兵数を減らす事。これに集中するように。そして蒲生殿。」
蒲生郷舎「はい。」
島津義弘「この作戦の成否は、島殿が搦めとった敵方を蒲生殿が処理出来るか否かに掛かっています。」
蒲生郷舎「わかりました。」
島津義弘「そして島殿。」
島左近「はい。」
島津義弘「鉄砲の援護が必要な時は遠慮なく合図して下さい。」
島左近「わかりました。」
細川忠興「このまま終わると思うなよ!」
加藤嘉明「左近の背後を狙え!」
「来ました。」
島左近「急ぎ柵の中へ戻れ!!」
島左近「島津様。」
島津義弘「如何した?」
島左近「『搦めとったら、すぐ柵の中に戻るように。』
との事でありますが。」
島津義弘「如何にも。」
島左近「島津様は?」
島津義弘「ここは山が近い。隠れるのに最適な場所が幾つもある。」
島左近「敵は必ずや追って来ますよ。」
島津義弘「それについてだが。」
奴らが優先するのは私より石田三成の首。
島津義弘「それに奴らは、大陸での私を知っている。私を標的にしたらどうなるかわかっておろう。」
島津義弘の予想通り。島左近を追い掛ける3隊。これを予想していた島左近は彼らを相手にせず。一目散に陣の中へ。
島左近「これで全員だ。後は頼む。」
蒲生郷舎「わかった。」
と柵近くまで追って来た敵方を鉄砲で足留めした所で。
黒田長政「まだ残っていたか……。」
柵外目掛け大筒が直撃。暫くして……。
石田三成「島津殿。ありがとうございます。」
島津義弘「島殿のおかげで、兵を損耗せずに済んだ。」
蒲生郷舎「敵が離れていきます。」
島左近「追い掛けますか?」
島津義弘「いや。他がいくさを続けている以上、この場を死守する方が大事。」
石田三成「わかりました。」
そこへ……。
「石田様。」




