痛み分け
可児才蔵の動きに注視しつつ、福島正則の側面ないし背後を狙い兵を動かしていた長宗我部盛親。そんな最中に遭遇したのが藤堂高虎。
長宗我部盛親「秀元様は
『藤堂は既に退いた。』
と仰っていたはずだが。」
藤堂高虎「敵は未だ態勢が整っておらぬ!この好機。逃してはならぬぞ!!」
と隊を叱咤激励。備えの差は歴然。長宗我部隊の前衛は崩壊。
藤堂高虎「盛親はあそこぞ!討ち果たしてくれん!!」
と勢いそのまま兵を動かしたその時……。
「掛かれ!!」
を合図に物陰から長槍を持った兵が飛び出し、藤堂隊の側面を攻撃。
藤堂高虎「しまった!前線の崩壊は芝居であったか!!」
長宗我部盛親「……いや違う。先手の吉田重親が
『殿!私は捨て石となります!!その間にあそことあそこに兵を伏せて下さい。敵は先手を崩した余勢を駆って、殿目掛け突っ込んで来ます。そこを狙って下さい。その時間稼ぎのため、私は前線に戻ります!!御武運を!!!』
……あれが無ければ、私は敵に背を向け逃げ惑わなければならなかった。
皆の者よおく聞け!吉田の死を無駄にするな!!藤堂高虎を屠り!福島の側面を突かん!!」
反転攻勢に打って出る長宗我部盛親。
『吉田重親の弔い合戦』
と言う共通の目標を得た長宗我部隊は皆躊躇無く藤堂隊に突撃。元々倍以上の兵力差があった事もあり、藤堂隊の前線は崩壊。盛親は留まる事無く藤堂高虎本隊を突撃。
長宗我部盛親「ここまで入り乱れたら、敵も鉄砲を使う事は出来まい。」
藤堂高虎「不味い!白兵戦は犠牲を増やすだけ!退却だぁ!!」
逃げる藤堂に追う長宗我部。互いに少なくない犠牲を払うも……。
藤堂高虎「……ここまで来れば……。誰が残っているかわからぬ……。だが今は生き残る事が重要。」
一方、
長宗我部盛親「高虎を捕らえる事は出来なかったか……。太閤殿下の子飼い連中は
『鉄砲と物量が無ければ何も出来ぬ腰抜け共』
と思っておったが……やるじゃねえか……。ただ我らも損耗が激しい。単独で兵を動かす事は難しい。秀元様が可児を崩すのを待つのも手ではあるが、大兵は所詮見てくれだけ。敵が死を覚悟して来た時、何もする事は出来ぬ。……ここは兵を退く。」
福島正則「藤堂!何だその姿は……。」
藤堂高虎「長宗我部と激突した。申し訳ない。討ち果たすまでには至らなかった。」
福島正則「盛親は?」
藤堂高虎「(辺りを確認して)追い払った。」
福島正則「藤堂にしてはよくやったな。」
藤堂高虎「ただいくさを続けるのは難しい。申し訳無い。」




