試しに
島左近を名乗る人物から、石田三成である事を知らされた私。彼が言っている事は本当なのであろうか?それともまだ夢の続きなのか?もし夢であるのであれば、感覚は無いハズ。試しに目の前の自称島左近に……。いや止めておこう。もし私が石田三成である事が事実であり、目の前の人物が島左近であった場合……。
無傷では済まされない。
石田三成が生きた時代は安土桃山。21世紀の現在程医療は発達しておらず。最後は全て。祈りに託していた時代。斯様な時に、安易に殴られるのは宜しくない。勿論これは21世紀の今も同じなのではあるのだが……。
つねってみるか?
……感覚がある。覚悟を決めた私は
石田三成「今はいつである?」
島左近「えっ?」
石田三成「其方の言う通り。私は疲れ切っておった。一度全てを整理したい。頼む。」
島左近「わかりました。今は慶長5年の9月14日であります。」
慶長5年は西暦1600年。それで日付は9月14日……。
石田三成「ここはいったい何処である?」
島左近「大垣城であります。」
大垣城は今の岐阜県西部にある城。
石田三成「私は何故ここ大垣に居るのだ?」
島左近「江戸から京に向け兵を進めている徳川家康と相対すためであります。」
徳川家康。と言う事は……。
石田三成「福島正則や池田輝政は?」
島左近「大垣城北西にある赤坂に居ます。」
石田三成「家康も?」
島左近「いえ。まだ到着していません。」
関ヶ原の戦いは確か翌9月15日。このいくさに石田三成は敗れ、近江潜伏中に捕らえられ。京にある六条河原で敢え無い最期を迎える事になった。つまり、私は……この運命を辿るために石田三成に転生した。
いや、違う。石田三成の無念を晴らすために、ここにやって来たのだ。幸い。まだ徳川家康は赤坂に到着していない。となれば……。
打つ手はまだ残っている。
石田三成「左近!」
島左近「殿!急に大きな声を出さないで下され。驚いてしまいましたぞ。」
石田三成「すまぬ。左近よ。」
島左近「はい。」
石田三成「このいくさ。必ず勝ってみせるぞ!」
島左近「元より承知であります。」