起請文
赤坂。
「家康様。黒田長政に御座います。」
徳川家康「ん!?入れ。」
黒田長政「失礼します。」
黒田長政は豊前中津12万石の大名で、今回。豊臣恩顧の者や敵方になっている者の調略を担当。
黒田長政「吉川広家より書状と重臣福原広俊並びに粟屋就光の身内を人質として送り届けて来ました。」
徳川家康「長政!見事である!!」
黒田長政「ありがとうございます。」
本多忠勝「ところで書状は?」
黒田長政「こちらになります。」
吉川広家からの書状には
1、毛利輝元が総大将になっていますが、間違いである事。
2、安濃津での戦いは、敵方からの疑いの目を晴らすために行った事。
3、今後は不戦を貫く事。
4、毛利領の安堵を願い出ている事。
が記されていました。
本多忠勝「黒田様の働きに水を差すわけではありませんが……。虫のいい話ではありますが……。」
黒田長政「確かに。」
徳川家康「しかしこれで南宮山に居る3万近い軍勢を気にしなくとも良くなったわけだな?」
本多忠勝「はい。」
徳川家康「わかった。吉川の願い。聞き入れよう。」
黒田長政「ありがとうございます。」
徳川家康「では起請文を作成するよう。」
本多忠勝「わかりました。」
吉川広家の書状を受け入れた徳川家康は
1、家康は毛利輝元を蔑ろにしない事。
2、吉川広家や福原広俊も同様である事。
3、毛利輝元が家康のために働くのであれば、所領を安堵する事。
を記し、これに本多忠勝と井伊直政の名を入れ起請文を作成。これと同じ日。福島正則と黒田長政が本多井伊の起請文に嘘が無い事を証明。
南宮山、吉川広家陣。
吉川広家「家康様は我らの願い。聞き入れてくれましたぞ。」
福原広俊「……良かった。これで輝元様をお助けする事が出来る。」
吉川広家「あとは……。」
福原広俊「はい。戦う気満々の秀元様を、如何にして抑えるか?」
吉川広家「恵瓊もな。」
福原広俊「わかっています。」
赤坂。
本多忠勝「これで良かったのでありますか?」
徳川家康「何の事をいっておる?」
本多忠勝「このまま輝元を許す事についてであります。」
徳川家康「吉川の言っている事が事実であればそうする。」
本多忠勝「と言う事は?」
徳川家康「聞くまでも無いであろう。」
本多忠勝「では何故あのような起請文を?」
徳川家康「『吉川の言っている事に偽りが無かったら。』
である。」
本多忠勝「しかしあの起請文には私と井伊の名前があります。加えて黒田様福島様が裏書きを。」
徳川家康「私の名が入っていないであろう?あとで何か出て来ても良い様にしておる。その時はすまぬ。」
本多忠勝「……なるほど。わかりました。」




