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異変

 気が付いたら私は椅子に座っていた。頭に手をやる。血は出ていないようだ。

「グサッ!」

と言う音が鳴った瞬間。

『発毛の悩みから解放される。』

と謳った理由は……寿命が尽きるから。と一瞬。頭を過ったような過らなかったような。良かった。どうやら生きているらしい。安堵した私は、少し休もうと背もたれに身体を預けた瞬間。転倒。


「あれ!?背もたれは?」

頭の痛みの影響か。少し重く感じる身体を何とか起こした所、

「何だこれは?」

私が普段使っているゲーミングチェアとは似ても似つかぬ簡素な椅子が目の前に。

「やはり傷を負って入院していたのか?いや。入院しているのならば、ベッドに横たわっているハズ。ここにあるのは……。」

X状に組まれた折り畳み式の椅子。傷病者の症状を和らげるような代物では無い。一体全体何が起こっているのだ?身体はどうなっているのだろう?手は動くし、足も問題は無い。息も出来る。ただ1つ気になった事がある。それは……。


 身に着けている物。全てが甲冑。


 普段私が身に着けているのは、サイズだけで買い揃えた上下のブランドがバラバラな服装。それよりは統一感はある。その事は否定しない。ただ……。


 甲冑を購入した記憶が私には無い。

「何かがおかしい。私の身に良からぬ事が発生した事に間違いは無い。」

そう確信した私は、原因となった

「グサッ!」

と音がした頭部に改めて手をやったその時。


「……前髪が無い。」

確かに私の前髪は薄かった。その事は否定しない。しかし全く無かったわけでは無いし、生え際が後退していたわけでも無かった。見栄では無い。事実である。ただ毛量が心許なかったのもまた事実。故に私は、その毛量を維持するべく。手取りの1割を育毛や発毛に惜しみなく投下し続けて来たのだ。その1割を投資し続けて来た前髪が……この世を去ってしまった。

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カミは死んだ。
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