6・7
またまた「文字数が足りません」になってしまったので、2編連続します。
=電話が鳴った 6=
真夜中に電話が鳴った。
なんだよ、こんな時間に・・・。
しつこく鳴り続ける。
こんな呼び出し音に設定したっけ?
枕元をまさぐってスタンドの灯りを点ける。
呼び出し音が止まった。
寝ぼけまなこでスマホを見てみるが、着信履歴はない。
そういえば、ちょっとお洒落なインテリアとして、ローチェストの上に飾ってたんだっけ。
レトロショップで買ってきた昭和時代の黒電話機。
* * *
=電話が鳴った 7=
その電話BOXが建ったのは、震災からしばらくしてからのことだった。
津波で根こそぎ持っていかれた街のひと隅に、それを建てた人がいた。
「風の電話」と名付けられた。
わたしは、その電話から親友だったA子の家に電話をかけた。今はもう無い A子の家に、あれから消えてしまったA子に・・・。
わたしの胸の内を、渡せなかった言葉を、泣きながら、ずっとずっと話し続けた。
それからしばらくして、A子の遺体が見つかった、と連絡を受けた。
A子の遠い親戚の方から、「あなたの名前があったから」と、ガラケーを形見に分けていただいた。
腰に巻いたポーチの中にあったというA子のガラケーは、なぜか無事に電源が入り、アドレス帳に仕事関係以外で唯一、わたしの名前があったのだという。
あれからずっと、わたしはそれに充電を繰り返し、アドレスが消えないようにして、日々の出来事や気持ちを、かつてA子に話していたようにガラケーに話していた。決して返事の返ってこないそれに・・・。
そうして、寂しさに耐えかねていたある夕暮れ。
識らず、ぽつりと、思いがわたしの口をついて出たようだった。
「声が聞きたいよ・・・。」
電話が鳴った。