4/11
5
電話が鳴った。
しまった! 会議中なのにマナーモードにし忘れてた!
慌てて操作しようとする私の手からスマホを奪い取り、社長が鬼のような形相で言う。
「会議中は、マナーモードにしろと言ってあるだろう! このバカ、大バカ! だからおまえはダメなんだ!」
そして、あろうことかそのまま耳に当てる。
こういうパワハラや、個人のプライベートを無視したやり方に、私はもう我慢の限界をむかえていた。
「うちの会社はね!・・・」と社長が言い出す前に、電話の向こうから明るい声が聞こえてきた。
「先日の面接の結果、あなたの採用が決まりましたので・・・あれ? もしもし?」




