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電話が鳴った。
知らない番号だ。
わりとしつこく鳴っていたが、私は出ない。
「やっぱりダメですねえ。用心深い人が増えちゃって。」
「まあ、こういうご時世だからね。知らない番号に律儀に出ちゃうようなお人好しは、貧乏クジばかり引くもんだからねェ。」
「でも、1人や2人は・・・」
「福の神さんは、人間を信じたいんですねェ。」
「こういうご時世ですからね。貧乏クジばかり引いてる善人に、幸運の詰め合わせ福袋を届けたいんですよねぇ。」
「見つかるといいですね。それじゃあ、私はまた、株の投資で老後をラクしようなんて考えてる連中から、福袋の原資を吸い上げてきますかね。」
「よろしく頼みますよ、貧乏神さん。」