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 ――まったく、我々の活動をこんな少年に頼むことになるとはな。


 ――仕方ありませんよ。これが運命、ということなのでしょうから。



 なにか、聞こえる。

 誰だ……? 前が全く見えない……俺は今どんな状況だ?



 ――この者に果たして務まるのかどうか。


 ――それもこの者次第。選んだからには歩み寄るほかありません。



 俺は今どういう状態だ?

 ここは一体どこ……



 ――少年、聞こえますか? 少年……ビコンよ。



「え?」



 その声で俺は目覚めた。

 俺は暗い空間にいた。

 一切光が見えない、暗い世界。


 と、思いきや暗くはない。

 徐々に背景が滲んできて、いろんな色に変化して、まるで滲む絵の具のように……なんだこれは。


『聞いていますか? 聞こえないのですか?』


『よもや聞こえていながら我々を無視しているのではないだろうな』


 そうだ、どこからか声がして、その声に目が覚めたんだ。


「あの……どこですか? 僕は一体どこに迷い込んで……」


『何を言っているのです。ここはあなたが一番知っている場所ですよ』


「……え?」


『ここは……あなたの頭の中です』


 すると次の瞬間、そこまで何もなかった空間に、巨大な顔が現れた。

 いや、顔のように見える、というのが正しいか。

 どこかぼやけていて、本質的にそれが何かということを表現しづらい。

 けれどそこには確実に顔は存在していた。それも二つ分。

 なんとなく片方は女性の顔で、もう片方は男性の顔に見える。声質もちょうどそんな感じだ。


「えっと……あなた達は一体何者なんですか?」



 それにしても不思議だ。こんな状況だというのに、あまり動揺していない。まるでまるでこの先の展開を知っているかとごとく、妙に冷静で、事実を客観的に受け入れている節がある。そう、まるでこれは……夢。



『私たちは……そうですね。いうなれば"世界第三位の能力"と言ったところでしょうか』


 二人いるうちの、女性の口調の方から放たれたその言葉。

 それには酷く聞き覚えがあった。

 世界第三位……だと?


『そうだな。であるならば私はその世界第三位の能力二号ということになるのかね』


『私が一号ということですか』


 男性の声に、女性の声が追従する。

 まるで今考えたかのような適当なネーミングだった。

 それくらいには違和感が凄い。

 でも決してふざけているわけではないのだろう。

 そんなことよりその言葉が出てくること事態に驚いてしまう。


「な、なんでその能力のことを知ってるんですか?」


『何故知っているのか? そんなの簡単なことですよ。私達がその能力そのものだからです』


 なんだって……?


『私達はつい先程お前に宿った……そしてお前には心当たりがあるはず。お前は我々を目的へといざなわなければならない』


 心当たり……あるに決まってる。

 その名前は、俺が先程街で引き当てた、能力名そのものなのだから。


「いざなうって……すみません。おっしゃっている意味が分からないのですが。あなたたちは能力そのものだというのですか? 普段は一体何を、どういう関係なんだ」


『私たちは夫婦です』


「ふ、夫婦?」


『その通り。だがそれは今は関係のないこと。あなたには我々協力してもらいます』


「協力って……何をすればいいんだ」


『我々は一位になることを望んでいます』


『世界第三位……こんな中途半端なことはないだろ?』


『私たちは、なんとしてでも世界第一位にならなければならない』


『それが、俺たちの願望だ』


 世界一位になるだって?

 どういうことだ、まるで能力事態が自我を持っていて、自分たちの立場に満足していないとでもいいたげだ。


「えっと、あなた達は、三位というのが不服であると、そういうことですか?」


『その通りです』


『今言っただろう』


『私たちは三位という状況が悔しくて悔しくてたまらない。よってこの状況を打破する必要がある』


 なぜだかあまり悔しそうに聞こえないのだが、本人たちがそうだというのであればそうなのだろう。

 待てよ、整理しよう。この人達は能力そのもので、その能力が自我を持っている。そして三位という状況に甘んじているのが嫌だから、一位を目指そうとしているというわけか?


「その一位っていうのは、一体なんの一位なのですか?」


 ここで気になっていた質問をぶつけてみる。


『それは簡単な話だ』


『もちろん、存在のですよ』


「存在……?」


『存在そのものが強さになる』


『存在を高めることで、順位を上げることができる。それは強いものを倒し、自らの実力を証明するということだ』


「え、えーっと、つまり強ければ強いほどいい……ということですか? つまり戦闘能力に依存するということなんでしょうか?」


『まぁそうだな。強いものが、強い存在意義を獲得することができる』


『おおむねそのとおりです』


 なぜか歯切れが悪いように感じてしまった。

 本当にそう思ってるのかなぁ



 俺はなんとも不思議は夢に巻き込まれてしまった。

 そもそもこれは夢なのだろうか。

 ふしぎでふしぎでたまらない夢。

 俺はどうにかなってしまいそうだったが、話を聞かなければならないので我慢してきくことにした。


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