運命☆クエスト
早桜
・・・戦士
綾
・・・僧侶
夏己
・・・盗賊
恵ちゃん
・・・魔法使い(ウィッチ)
「ダンジョンって寒いねー」
恵ちゃんが呪文『寒いね』を唱えた。
しかし、今周りに敵はいない。
「大丈夫かよ?オレので良かったら、上着貸すよ」
夏己が呪文に掛かった。
恵ちゃんは『夏己の上着』を手に入れた。
夏己は寒そうだ。
「恵ちゃんって、天然悪女だよね」
「魔女だからいいんじゃないの?」
二人の会話は、微妙に噛み合っていない。
早桜と綾の信頼度は20下がった。
目の前に扉が現れた。
「あれ、開かないや」
扉には、鍵が掛かっているようだ。
「よし任せろ!オレは盗賊だからな!」
夏己は張り切った。
「○オ」
チュドーン。
恵ちゃんの呪文『イ○』が発動する。
扉は吹っ飛んだ。
「オレの見せ場・・・」
夏己の面目は丸つぶれだ。
「さあ、じゃんじゃん進もう!」
「そだねー」
「すっげぇ破壊力だな。○オなのに」
特に仲間からのフォローは無かった。
夏己は『世間は冷たい』のスキルを得た。
ちなみに、このスキルは何の役にも立たない。
扉の奥には、小さな部屋が広がっていた。
中央には、ブロンズの女神が凛とした態度で立っているが、他には何も無いようだ。
いかにも怪しい雰囲気に、一同は入るのをためら・・
「見てみて~。なんか像がある!」
「行こ行こ」
うことはないようだ。
「ちょ・・・ここはまず盗賊のオレだろー?」
夏己はめげない。
一人つかつかと像に歩み寄ると、夏己は女神のルビーがはめ込まれた瞳に触れた。
ポチッ。
嫌な音がして、瞳がへこんだ。
『妾に容易く触れる無礼者はどいつじゃ・・・?』
迫力のある声が響き渡る。
四人の血の気は引いた。
「あ、あの・・・悪気は無くて・・・」
早桜が説得を試みた。
『うつけ者ぉっ!八つ裂きにしてくれるわ!』
話は通じなかった。
ギー、と女神が振り返った。
「う・・・」
突然、早桜が呻いた。
「どうした!?」
「あの女神・・・超ボイン・・・」
確かに女神は巨乳だった。
『ふわーっはっは!どうじゃ、この三坂の胸には敵わんじゃろう!』
女神の名前は三坂だった。
三坂は豊満な胸を反って高笑いを始めた。
どうやら、早桜のストレート(?)な褒め言葉に気分を良くした様だ。
「な、なんかよく分からないけど今なら逃げれるんじゃないかな・・・」
胸を押さえて軽く落ち込んだまま、早桜が呟いた。
戦士のくせに、戦う気はさらさらないらしい。
「そうだな、逃げよう」
綾は身をかがめて、扉に向かった。
三坂は気づいていないようだ。
「いひやぁああっ!!!」
何故か、突如恵ちゃんがパニック状態になった。
『な・・・!?』
「イ○!○オ!ていうか、イ○ラ~っ!!!」
恵ちゃんは『イ○』と『イオ○』を唱えた。
ドカーンッ。
『ぎゃああああっ!』
三坂は爆発した。
「け、恵ちゃんが三坂さんを倒しちゃった・・・」
~♪
恵ちゃんはレベルアップした。
恵ちゃんは『○オラ』を覚えた。
恵ちゃんは特技『パニック強化』を身につけた。
恵ちゃんは・・・
「うわあああんっ。イオ○!ってかイオ○ズン!!!」
恵ちゃんのパニック強化はまだ解けていないようだ。
ドッッッカーン!
『イオナ○ン』が発動した。
天井にひびが入った。
ダンジョンは早くも崩れそうだ。
「崩れる!?どうしよう!ちょっと、綾!」
早桜は、綾に助けを求めた。
「助けてください僧侶様、は?」
綾はSだった。
「○オ!イ○ラ!イオナズ○!」
「恵ちゃん~っ!夏己も恵ちゃんを止めてよーっ」
「・・・オレのいい所がまたしても恵に奪われた・・・」
夏己の魂は抜けている。
天井の岩が崩れ落ち始めた。
「ぎゃああ!生き埋めになるーっ!?」
早桜はピンチだ。
「おいおい、やばいんじゃないの?さっさとずらかろうぜ」
やっと綾がまともになったようだ。
早桜は心強い味方を得た。
「綾!夏己を運んでくれない?」
早桜は必殺『上目遣い』を使った。
「・・・はいはい」
綾は逆らえなかった。
「ほら、恵ちゃん。早く立ってよぉ!・・・って、えええ!?」
早桜は驚愕した。
夏己は勢いよく宙を舞っている。
「これでよし、と」
綾は満足そうに頷いた。
多分あまりよくはない。
ズシャアアア。
夏己は地面に顔面ダイブした。
「夏己ぃぃぃ!?」
早桜は夏己に駆け寄った。
「さ、早桜・・・」
二人は、感動の再会を果たした。
夏己は鼻血を盛大に吹いている。
「良かった。怪我は無いみたいだね」
早桜は鼻血を見なかったことにした。
信頼度が50上がった。
早桜と夏己の信頼関係はランクアップした。
『十年来の幼馴染』
→『戦火を共に潜り抜けた戦友』
「夏己・・・ぐえっ」
早桜は首根っこを掴まれた。
「死にたいのかよ。ほら、出るぞ」
綾は不機嫌マックスのようだ。
「待てよ!早桜よりも恵を引っ張っていけよ!恵は今パニック状態なんだぞ?」
夏己はかっこいい言葉を唱えた。
しかし、鼻血は止まらない。
早桜と綾は気の毒そうな顔をした。
「な、なんだよ。ちくしょーめ!もういい、オレが恵を連れて行く!」
夏己は鼻血に気づいていない。
夏己のかっこよさが100下がった。
「・・・可哀想だから、黙っててあげようね」
「そうだな・・・」
二人の心は通じ合った。
ちなみに心の中では、双方腹を抱えて大笑いしている。
「恵!大丈夫か?」
夏己は、今までに無いかっこよさで恵ちゃんに話しかけた。
「ぶっ。あははははひゃ!夏己君変な顔!鼻血ブー太郎だ!」
恵ちゃんは早桜と綾の気遣いを踏みにじった。
「っぷ。あははははは!もう駄目~」
「ははははは!ぶはっ!」
二人とも限界のようだった。
「なっ!お前ら!?」
一人夏己はまともぶった。
しかし、依然鼻血は吹き出したままだ。
かっこ悪いにも程がある。
「あー、笑った笑った」
「夏己君たら、お茶目なんだから。・・・そういえば、あたし『イ○ナズン』も覚えたみた・・・」
ドッッッカーン!
再度、『○オナズン』が発動した。
「きゃーっ!恵ちゃんのばかーっ」
ダンジョンは崩れた。
「僧侶、夏己の怪我治してやってよ」
「無理。鼻血くらいは止められるけど」
綾はあっさり断った。
「夏己君~。起きてよー」
恵ちゃんは呼びかけた。
「・・・」
返事は無い。
ただの屍のようだ。
「って、こら!ナレーター!勝手に夏己を屍扱いしないでよ」
なんと、早桜はナレーターにつっこんできた。
つっこまれたからには、謝ろう。
すみませんでした。
そんなこんなで、今日も4人は平和なのでした。
チャンチャン。
「・・・なんかオレだけ不幸じゃねぇ?」
そんなことはありません。
こんにちは。
椎名です。
今回は、番外編を書いてみました。
気づいた人にとってはパロ。
気づかなかった人にとっては、あくまでオリジナルで通したいと思います(なんのこっちゃ)。
作品について。
早桜ちゃん、戦士を活用してませんね、全然。
思えば、恵ちゃん以外誰も戦っていないような・・・。
ま。
いいんですよ!
これが運命シリーズなんです!(???)
次は、連載のほうを更新したいと思いますので、どうぞ温かい目でお待ちください。
ちなみにこのRPG風運命シリーズ、好評でしたら第二弾も書きたいなー、と思っております。
それでは、また。
瑞夏