世界から殺された男
「……で、何故僕を襲ったの?」
「その……最初は会って今の自分にしてくれた事のお礼を言いたかっただけだったんだけど……あなたがしてくれた事を思うと……ずっと一緒に居たくなっちゃって……こうすれば……その……その気になってくれるかな……って……」
クロニーはもじもじしながら顔が赤くなっていく、良くも悪くもとても恋心に素直な子だな……
「そっそんなことより!私に与えてくれた新しいこの命を、あなたに捧げさせてくれませんか!」
これは……クロニーのプロポーズと見て良いだろう、本気の目をしている、最初は軽く返そうと思ったけど、それは勇気を出した彼女を裏切る事になる、らしくないけど僕はクロニーにこう返した
「分かったよ、クロニー僕と付き合おう、それと……」
僕はクロニーに抱きついた
「君は僕を……誰も寄らなくなった怪物の僕を孤独から救ってくれる可能性なんだ、そんな君を僕は断れないよ……」
「ウィックス……これからよろしくお願いします……」
クロニーは僕を抱き返してくれた、誤解しないで欲しいが僕は彼女が初めての相手だ、僕には緊張感が無いだけで垂らしとかでも無い、ただ本心を述べただけだ
「僕は意外と重いよ?それでも後悔しないでね?」
「私だって……その……浮気とか許しませんからね!」
◇
そうだ、どうにか金を作って、クロニーのご飯買ってくるか……ん?
外に出ると手紙が置いてあった、僕は手紙を開ける
ウィックスへ
クリィヴです
今朝のドラゴンの件はあなたがやったものですよね?実は直々にこれを渡したかったのですが、昨夜はお楽しみでしたのでこのような形でやりとりする事にしました、色々確かめたい事があったのでギルドの裏口で待ち合わせしましょう
前夜のこと……バレてる……
僕はマスクとサングラスをかけ、不審者フォームで外へ出た
「クロニー、買い物に出かける、少し待っててくれ」
「その格好で大丈夫?」
「この格好は保険だ、そもそも目にも止まらない超高速で移動するから大丈夫だ、じゃっ」
ビシュッ!
「行っちゃった……」
◇
「やぁクリィヴ、元気かい?」
「はえーよウィックス、相変わらずの格好だな取り敢えず中に入れ」
クリィヴは瞬間移動の如く現れた不審者ウィックスに呆れながらギルドの裏口に入る
「で、取り敢えずこれ、ドラゴンの件のお礼、どう考えてもアンタしかあのドラゴンを倒せるヤツはいない」
「お、ありがと、丁度お金に困ってた所だ、まぁさっきのドラゴンはしっかり無力化させといたよ」
「やっぱりな、ホラ受け取りな」
クリィヴは1000G入った袋を渡して話を続ける
「これで好きな本を買ってくれ、本当はもっと報われても良い立場なのは分かるが……」
クリィヴの顔の角度が地面に向かって下がっていく
「うん、僕は怪物だ、国は人間かどうか分からない存在には報えない」
「ただ……俺はアンタに助けられたからな、下積み時代の頃からな、今の俺がいるのは全部ウィックスのお陰だ……それと……」
「もう良いよその話は、君が僕をギルドどころか世界から出禁にしたのはもう分かってるよ」
まずギルド出禁にされたのは、僕の存在が圧倒的過ぎて周りが萎縮してしまうのが原因だ、まあ砕いて言うと「もうウィックス一人でいいんじゃないかな」状態となりギルドの活気を失ってしまう
ただ実力を認められれば王国に推薦され騎士など優秀な人材となる。
しかし僕の非常識かつ異様な力が国に認められれば駆除対象になりかねない。
そこで僕の力が世界に伝わりきる前にクリィヴとパーティみんなの計らいで適当な罪と証拠を被せて公開処刑させられた、人の形をした悪魔として
処刑の目的は僕の力が世界に知られ、指名手配される前に僕の存在を死人にする事だった
まぁこれは全てパーティみんなと話した上、互いの同意をした上した事、そして殺したのはギブバッシュで僕の形を模したクローン、全部上手く行ったが……
「お前はこの世界の英雄になって欲しかった、それに相応しい力を持っていた、だが俺はお前を世界から殺してしまった……お前はどんな形でも実力者だ、人間性も器量もある、なのに何故こんな不憫な目に合わなきゃいけないんだ……」
こうやって後悔させてしまった、これが一番の心残りだった
「クリィヴ、何度も言うけど僕は英雄にはなれない、諦めも肝心だよ?それに今の暮らしもそこまで悪くは無いさ」
登場人物
クリィヴ
元ウィックスのパーティメンバーでウィックスを英雄にしたかった男、仕方なかった後悔を続ける情けないヤツだがギルドとしての腕は優秀で、癖のあるギルドメンバーたちをまとめてる
趣味 人との会話
好きな言葉 日進月歩
名前の由来 アメリカ軽巡洋艦、クリーブランドを短くしたもの
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どうしてもしたいのなら止めはしないさ。(本音)