表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

贖罪への階段 プロローグ

第2作目の素人ですがよろしくお願いします。


グロは控えめで行こうとおもってますが

演出上増える可能性があります。


その手が苦手な方はご遠慮ください。


 男は空に飛び出していた。


 無論、それは飛行ではなく落下である。

大気の層は、男を支える事が出来ず重力に引かれ地へと堕ちていく。


 男が飛び出した地点である屋上には、届かない手を差し出す女性がいた。

頬を涙が伝い、表情は苦悶に満ちていた。


 隣には先程まで対峙していた男の姿があった。

彼もまた憐れむような表情で男の落下を見届ける。


「悪い事をした……」


 それはこの一連の事件でなく、女性に涙を流させてしまった事だった。

彼女を巻き込むつもりはなかった。この場を一刻も早く離れてほしいと願った。

計画に彼女は必要ではなく、結末については男のシナリオ道りのはずだった。


 だが、最後に彼女がこの場に現れた。落下する男には予想外であった。

長く綿密な計画を立て、準備に莫大な時間を費やした。


罪を負うべき者が負い、そして汚れた自分を処分する。


 最後に彼女の心に傷を刻み込んでしまう事なるとは思っていなかった。

計画を遂げるために捨てたはずの感傷が静かに疼く。


 男の持つ術式を用いれば、この落下などとるに足らない事だった。

それを使用するつもりは男には無い。


 術式は人を殺める為に獲得し、己が復讐の為に使用したのである。


 何かを叫んでいるようだったが、落下する男には空気の抵抗による音しか聞こえない。

男は灰色の地面へと吸い込まれていく。


「あいつもこんな感じだったのだろうか……」男は静かに目を閉じる。

 

 最も大切な想い出を血なまぐさい記憶から紡ぎだす。

浮かんだのは、たった一人の家族である妹の笑顔だった。




 屋上には、二人の姿がある。

一人は厚手のロングコートを纏い、手には皮手袋をはめていた。

もう一人は屋上の淵の前で、うずくまり愛する者の死を悲しんでいる。



 男は屋上を後にする為に階段へと向かう。


 女に掛ける言葉も慰める術も持ってはいない。

記憶に関係する術式は、あるが深く刻み込まれた記憶には効果がない。

例え、今の出来事を記憶の奥深く抑え込んでも女の男に対する全ての

記憶までは押し込むことはできないだろう。



 屋上を去りゆく男に女は叫ぶ。

一瞬、男は立ち止まったが肯定も否定もしなかった。ただ歩みを進める。


 鉄製の頑丈なドアを開け階段を下る。

ドアが閉まる時、女の素朴で簡潔な疑問が聞こえた。


「なぜ……彼が……なぜ……」


 質問には誰も答えられないだろう。

答えを持つ人物はこのビルの遥か下アスファルトで有機物の塊に

変化しているからである。



 男は階段を下る。一連の事件はこれで解決した。

男は降りながら先程の戦闘で破れたコートの個所を確認する。


「救いようがないな……」


 それは破れたコートの事なのか堕ちた者への言葉なのか自分に対する戒めなのか

当人にもわからなかった。


 


 これより話はこれより少し過去に戻る。












稚拙な文章を読んで頂きありがとうございます。


これより少し日付が戻って話が始まります。


8月20日 追記

 修正作業に入りました。

1〜20話まで、誤字脱字や表現などを修正していこうと

思っております。

 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ