第3話「愛莉のスキル」
※詳細設定を考えるがかなり難航してしまい時間が掛かってしまいました。
愛莉は気がつくと、大知がいた空間と同じ場所にいた。
「あれ…ここは?」
大知やあの光の謎や自分が何処にいるかとか全く分からないため、どうしようもない不安に襲われていた。
「お目覚めでござるか?愛莉殿www」
そこにはやはり、「レムりんは俺の嫁。」Tシャツを着た白髪で長い白髭の長老こと、神がいた。
「貴方は…?」
「神でござるwww」
「か、神?」
愛莉は言ってる意味を理解できなかった。というより、変人だと錯覚した。
「そうでござるwwwデュフwwwww」
愛莉はもう一度その容姿をじっくり見た。
「……神には到底思えない…」
「よく言われるでござるwwwwww」
「…それで、ここはどこなの?なんでこんな場所にいるの?」
「ここは所謂天国でござるwww死んだ訳では無いから安心するでござるwwwデュフフwww」
「本当は大知殿だけを連れてくる予定だったのでござるが、愛莉殿とイチャイチャしておられたので、巻き添えでここに来ちゃった感じでござるwwwとりあえず謝罪するでござるwww」
愛莉の顔が紅くなる。
「……イチャイチャなんかしてないわよ…」
「なんで大知を?」
「それは大知殿に世界を救って欲しいからでござるよwwwデュフwww」
「……どういうこと?」
「大知殿はかなりの逸材なのでなwww世界を救うのは容易だと思ったのでござるwwwwww」
「まぁミスっちゃったんでなwww元の世界に戻すでござるwwwwww」
「待って!」
「?なんでござるか?」
「私も大知について行く!」
「あの世界は危険でござるよ?」
「それでもっ!」
「…全く、乙女心ってのはいつまで経っても分からないでござるなwww」
「その意思があるなら大知殿のサポートに回って欲しいでござるwww」
「ありがとう」
「だらだら話してると流石に読者も飽きる頃でござるwwwさっさとステータスとスキルについて話すでござるwww」
愛莉の目の前にスクリーンが映り出される。
ステータス
Lv.1
HP:50/50
MP:75
ATK:100
DEF:50
SPD:50
HIT(物):50
HIT(魔):50
LUC:50
「なるほどね」
「次にスキルについてでござるwww」
「愛莉殿のスキルはズバリッ!!!」
「多量回復とテレパスでござるwwww」
「多量回復は体力をアイテムや魔術で回復する際に二倍の回復量になるでござるwww」
「テレパスはなんか相手の脳内に話しかけられるやつでござるwww」
「これ以上話すのめんどくさいし、あとは適当に紙に記しといたからそれ見てほしいでござるwwwwwwデュフwww」
「色々教えてくれてありがと」
「それでは異世界の旅を楽しむでござるよwww」
また、禍々しい光に包まれる。
「あっwテレパスの使い方教えてなかったでござるwww」
「それ結構重要なk──」
そして愛莉は意識を失った。
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目が覚めると、そこは木箱やら拘束道具やら拷問道具で散らかる薄暗くボロボロな原木を繋ぎ合わせたような部屋の古びた絨毯の上に寝転んでいた。部屋と言うより奴らのアジトだろう。相変わらず手足は拘束され、猿轡を嵌められている状態だ。
私はかなり冷静だった。不思議と恐怖はあまりなかった。
すぐさまさっきまでの夢を思い出す。
……あまり思い出したくはない。
というより、あれは「夢」なのだろうか?
どちらかと言うと「記憶」に近い気がする。
もしも、本当に神様と名乗る長老姿のオタクにあってたとするなら、私がこの世界にいることも納得できる。
……我ながらぶっ飛んだ行動をしたことに羞恥心を抑えられなかった。
となると、あの時中途半端にしか教えてくれなかった「テレパス」という能力が本当に使えるかもしれない。
(試してみる価値はある…!)
そう思ったはいいが、本当に使い方が分からない。
とりあえず、それっぽいことをしてみた。
大知の顔を思い浮かべて「助けて」と考えてみたり、ヤケクソで心の中いっぱいに叫んでみたりしたが、伝わったような伝わってないような物凄い微妙な結果となってしまった。
するとかなり近くから足音が聞こえた。隣からだろうか。
耳を澄ますと話し声も聞こえてきた。
「アイツはかなりの収穫でっせ」
「そうだな。奴隷市場で儲けが出るのが楽しみだ」
「兄貴、俺にも金わけてくだせぇよw」
「8:2なら考えてやる」
(奴隷市場?儲け?売られるってこと……?)
流石にまずいと思い、冷静さを保てなくなってきた。
大知と会えなくなるの……?
嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!
(誰か助けてっ……!)
ーーーその頃の大知ーーーーーーーーー
愛莉を見つけると言ってもやはり宛がない。愛莉がどこにいるのか分からない。緩やかな流れの透き通った水色をした川を降りながらそんなことを考えていた。
「なにか手掛かりがあればな……」
辺りは、母親がよく使うような口紅の色をした花が草原一面に咲いている。
「ぐわっ!」
いきなり脳にかなり衝を感じた。
そして聞き覚えのある声で脳に語りかけてくる。
(……れか………けて…)
所々が抜け落ちていてよく聞こえなかった。
ただ、間違いなく愛莉の声だ。多分だが愛莉がかなりやばい状況だと思う。僕の直感でしかないが。
とにかく情報があまりにも無さすぎる。せめて集落みたいなところでもあれば情報を得られるのだが……
その時風が靡いた。後ろをむくと影がこちらに伸びてきていた。その刹那、僕の心臓を撫でるかのような冷ややかな感覚と、これまでに感じたことの無い未知という恐怖に襲われた。
なんというか、そいつはドロドロなのに楕円の形を保っているのだ。所謂「スライム」と言ったところだろうか。そいつの顔面には獲物を手際よく狩るプロの狩猟のようなにやけ顔があった。
やばい、と思った。ただ遅かった。スライムから渾身の体当たりを食らう。
「ぐえっっ!」
情けない声を出す僕とは裏腹に奴は攻撃を仕掛けようとまた襲いかかろうとしてきた。必死に逃げようとする僕。しかし回り込まれる。
その時だった。風をも切り裂くような鋭い刃が僕の数センチ先で突き刺さる。一歩間違えたら僕も串刺しになっていたところだ。その瞬間にあのスライムは形無くなるまで分裂し粉々になって土に還った。
太陽の光に照らされたその刃は全てを焼き尽くすかのように輝いていた。
「…お前、なんで外に出たんだ…?」
さっきの奴を瞬殺した銀髪で僕より背の低い少年はそう僕に質問した。
外?てかこの人誰?そのふたつが頭によぎる。
どう返したら良いか分からない。
「えぇっと…」
どうするべきか…
「まぁいい。とりあえず街に戻れ。というかさっきスライムの攻撃を受けて怪我をしているだろ?一度医者に診てもらえ」
悩んでる間に話を進められた。
街ってどこのこと言ってるんだろ…
「歩けないのか?街まで送るか?」
ここのチャンスを逃したら多分街にたどりつけない。これは連れていってもらうしかない。
「お、お願いしマス…」
僕のスキル:人見知りが発症してしまった。スキルではないが。
「とにかく早く診てもらわないといけないし、急ぎで行くぞ」
なんてありがたい。
ただ、早足な彼についていくのが精一杯だった。