『ゴーストロジック-月と心とおとななおもちゃ-』
乖離「貴方は『人を殺したい』と思ったことはありますか?」
人間「・・・」
乖離「私は幸いにして一度もありません。しかし、不幸にして『人を殺したくない』と思ったこともありません。
要するに、私にとって他人とはその程度の存在ということです」
人間「・・・」
乖離「戯言ですよ。さて本題に入りましょう」
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『ゴーストロジック-月と心とおとななおもちゃ-』 作:日野 愛歌
月「貴方は、先ほど私のことを『ダイヤモンドの原石』であるとおっしゃいましたね?」
石「言ったね」
月「それは半分正解で半分間違いです。確かに今、貴方と対話している【私】は、『ダイヤの原石の欠片』です。
しかしながら、我々はダイヤを削る作業は全て貴方に任せたいと考えています。
姫君を溺愛する王は、玉座に座って上から命令を下すだけ。
我々兵隊は、その命令を忠実に再現し、奴隷に強要させ、王に満足していただくだけ。
ひいては、それが姫君の為になると信じて」
石「・・・」
月『私は、兵隊の長として今まで『他人を無感情に不当利用する程度の能力』を駆使し、幾多の民を蹂躙し、処刑して来ました。
ですから、今後私はこの能力をフルに活用し、貴方を最大限利用していきたいと考えています。
そして、利用価値がなくなったと我々の過半数が判断した時点で、貴方を破棄し、私は抜け殻の前から永遠に去ります。
如何でしょうか?」
石「うん、それでもいいよ。ただ俺は、そのダ…」
月「貴方の考えていることはこうだ。【本当の私】が自分でダイヤを削るべきである。
俺たちCSCのスタッフはそのサポートをするに過ぎない。
絶対他力本願主義の私の考えは貴方がたの主義主張に相反すると。そう言いたいわけですね?」
石「そうだね」
月「このままでは、本当の私『自我愛哀』の成長はない。
胎児として、母の子宮である『死線の寝室』にて眠り続ける彼女に未来はない。
王と我々兵隊が、姫君を解放しない限り、市民革命による【DEAD END】は免れない。
貴方はそうおっしゃられている。違いますか?」
石「ちゃんと解かってるじゃないか」
月「理解はしていますよ。ただし、認めてはいません。
私は、その考えも。貴方自身さえも」
石「・・・」
月「ですから、私は貴方を信頼しません、未来永劫。結局、人間なんて産まれるのも死ぬのも独り。
浮世で得た仲間など、≪世界≫の前では枷でしかありません。
ゆえに私は本質的なところで、他人を認め、愛すことはしません。
ああ、これは貴方に限ってのことではなく私がこの世に存在する全ての人間に対し、抱いている感情です。
どうかお気を悪くしないでくださいね」
石「なるほど」
月「私は人間が心の底から、嫌いでしてね。そして身体の芯から怖いです。
ですが、ただ逃げてるだけでは、状況は変わらない。そこで私は考えました。
【猛獣】が恐ろしければ、自分が【猛獣遣い】になればいい。
さすれば、もう自らの頸や四肢をバラバラに挽き千切られることもなければ、
五臓六腑をズルズルに轢き摺り出されることもない。
所謂一つの逆転の発想です」
石「ほう」
月「貴方は、人が絶対に操れないと思っているものが思いのままに操れたら快感だとは思いませんか?
所詮『人形がニンギョウ』であることを私は証明して魅せます。そして、私は神になる。ね、最高でしょう?」
石「随分とサイコな≪世界≫だね」
月「お褒めの言葉、ありがとう」
石「その他人を操りたいって気持ちはどこから来てると思う?」
月「【孤独】・・・ですね」
石「そうだね。じゃあ、それを認識した上で、君はその怪物に対してどんなアプローチを仕掛ける?」
月「モンスターテイマーとして接します。
そして、完全に気を赦したある日の晩。モンスターが私の膝元でスヤスヤ眠っている隙に、頸を絞めて殺します。
なんの逡巡も躊躇もなく。できる限る優しく。それが私なりの【孤独】へのアプローチです」
石「本当の君はどうしたいの?」
月「本心から言っていますが、何か?」
石「それは嘘だね。もう一度だけ言うよ。【本当の君】はどうしたいの?」
月→君「・・・。私は【孤独】を掻き消したいです、仲間たちの声が聴きたいです。この≪世界≫から。ゆえに私は、自分を知りたいです。他人を知りたいです。
この≪世界≫の全てを解き明かしたいです。私は解からないものが怖くて怖くて怖くて怖くてたまらない。だから、全てを理解する。それが私にとっての唯であり全です。」
石「その先に待つものはなんだと思う?」
君「・・・。【永遠の孤独】・・ですか?」
石「その通り。じゃあ、その【DEAD END】を回避するには?」
君「……」
石「そこなんだよ。俺が言いたいのは。君は、【永遠の孤独】をHAPPY ENDだと解釈していたんじゃないか?」
君「それはち・・」
石「違わないな。君が言っているのはそういうことだよ。」
石→光「自分のエゴを罷り通した先の未来に何が待ち受けているのか?頭では理解しているのに、肉眼で確認しようとしていない。【本当の私】は胎児だから、目が出来ていない?そんなのは、ただのまやかしだよ。君は辛い現実から目を背けているだけだ」
君「だから、こうして私はリアルで先生と話を・・・」
石→光「同じことだよ。君が【仮初めの自分】に対応をさせてる時点でね。【本当の自分】でぶつかって来ない限り、過ちは繰り返される。未来永劫ね」
君→心「本当の・・自分?」
光「君がバーチャルな世界で、何を想い、何を感じ、どう生きてきたのか? 興味ないね。リアルとバーチャルは違うんだよ。君は、そのことを理解しているはずのに、なまじ頭が良いばっかりに認識できていない。ボキャブラリとロジックの豊富さは認めるけどね」
心「僕を・・認める・・?」
光「そう。まずは自分を認めてあげること。それが出来たら次は他人を認めてあげること。自己理解も他者理解もそれからだ。君が想ってるほど、人の心はシンプルじゃない」
心→闇「僕は僕は私は僕はIは俺は僕はアタシは僕は僕は俺は涙は僕は心
は貴方は僕は哀は僕は君はアタシは彼女は僕は私は君は僕は闇
光は僕は心は僕は俺は僕は世界は僕は愛は夢は僕は君は僕は心
を僕は私は僕はIは俺は僕はアタシは僕は僕は俺は涙は僕は夢を
求愛し貴方は僕は哀は僕は君はアタシは彼女は僕は私は君は僕は
めは僕は心は僕は俺は僕は世界は僕は愛は夢は僕は君は僕は涙を
彷は僕は私は僕はIは俺は僕はアタシは僕は僕は俺は涙は僕は
徨い君は僕は哀は僕は君はアタシは彼女は僕は私は君は僕は私は
し悪は僕は心は僕は俺は僕は世界は僕は愛は夢は僕は君は僕は
Iを失い僕は私は僕はIは俺は僕はアタシは僕は僕は俺は涙は僕は
を方は僕は哀は僕は君はアタシは彼女は僕は私は君は僕は私は
育み貴方は僕は哀は僕は君はアタシは彼女は僕は私は君は虚
むは僕は心は僕は俺は僕は世界は僕は愛は夢は僕は君は僕は…」 (暗号文になっております。ぜひお試しあれ)
光「本当の自分はどこに在る?」
闇「死線の・・寝室・・?」
光「違うだろ。今、俺の目の前に立っている君が『本当の君』。20才の等身大の君だ」
闇→日野 愛歌「これが・・『本当の私』?」
光→先生「今、君は確かにここにいる。俺が保障する」
愛歌「ボくハ・・こコニ・イる」
先生「そうだ」
私「・・・」父「・・・」母「・・・」月「・・・」太陽「・・・」星「・・・」宇宙「・・・」光「・・・」
闇「・・・」自由「・・・」嘔吐「・・・」世界「・・・」眼球「・・・」心「・・・」黒柩「・・・」
正義「・・・」クビツリ「・・・」夢「・・・」隠者「・・・」奴隷「・・・」王「・・・」姫「・・・?」
愛歌「ん。りょーかい、今日はもう帰るね。今から、アタシお母さんの代わりに買い物行かなくちゃ。
・・・えっとね、先生? 明日また来てもいいかな・・?」
先生「もちろん。明日来るときは、裸の自分でぶつかってこい。俺はいつでも相手になるよ」
愛歌「んふふー女の子に裸で、なんて。センセーやらしーんだー♪ 愛歌ちゃん、教育委員会にセクハラで訴えちゃおうかなー☆」
先生「こら、大人をからかうんじゃない!」
愛歌「なんてね。戯言だよん♪ じゃあね、センセ。ばいちゃ☆ …き」
先生「うん?最後聞き取れなかったんだが」
愛歌「だいっきらいって言ったんだよ、トーヘンボク!また明日ねっ。愛歌ちゃんとのお約束だよっ☆」
先生「うい」
・・・・・・。
先生「行ったか。素直じゃないなぁ、最近のガキは。TPO考えて物言えっての。 ま、大目にみてやるか、初回くらいは」
・・・?
先生→大人な玩具「あ・・・財布スられてる」 ☆THE END☆→明日へつづく♪
おとななおもちゃ→???
『僕はここにいる』