終わりの日
こっそり投稿しております。
次話投稿まで一年以上掛かる可能性があります(-_-;)
アリエラは、またあの日を思い出していた。
人生を大きく変えた、長くて短い一日。あれは何年前の事だったのか、随分前に数えるのをやめたアリエラには、もう分からないが。
「これらは全て、死を覚悟の上で行ったことですから。」
あの人との会話。
「何でもくれるって言ってたのに!だから我慢してたのに!」
いつもは明るい人の泣き顔。
「私がお慕いしている方は、私と同い年なのですが、とても物知りで、大人とタイトウ?にお話し出来るそうなのです。」
安易な気持ちでついた嘘。
「だって、だって不幸そうだったんだもの!私が余計なことをしたばっかりに、あの子は……!」
幸せを願うばかりに間違えてしまった人の叫び。
「アリエラ様……いえ、アリエラ。我々はあなたを受け入れます。」
あの人……あの人達の決断。
嬉しいときも、悲しいときも。楽しいときも、辛いときも。いつもいつも、アリエラはあの日を思い出す。
あれからもう、何年も経つというのに。
これでもう、終わりだというのに。
アリエラは、未だに忘れることができない。
アリエラは、人気のない道まで来て、ようやく後ろを振り返った。
直後、以前はよく目にしていた光が、所々ほつれている襟を照らした。
アリエラはそれを見て、小さく笑った。
アリエラは、笑いながら最後の嘘をついた。
目の前にいる人物にではなく、ここにはいない、しかしもうすぐ会えるであろうあの人に聞こえるように。
なぜなら、それが嘘だと分かってくれるのはあの人だけだと、アリエラは今でも信じているから。
その時も、そう信じていたから。
アリエラは、ゆっくりと目を閉じた。
そしてまた、あの日を思い出していた。
次話は大分残酷です。
苦手な方は、お読みにならないでください!