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ノブリスオブリージュ  作者: RFSGN
5/6

クラス代表決定戦

ユリアーノ先生の監督の下、相手と50メル離れた所からスタートする。

最初は少し様子見をしながら相手の手札を探る。戦闘の基本だ、防殼の強度ではこちらが上なのは2限で分かっているから、斬り込んでもいいのだが、相手もそれは分かっているのでむやみに突撃するわけにも行かない。

だというのに、、、

(開始直後に突っ込むか?アリシアさんや………)

思わず頭を抱えそうになるが、敵も予想外だったらしく、何も対処出来ずに30メル程の距離を詰めれている。しかしそれでも再起動は早く、相手も後衛のゴルドーを残して従者が出てきた。

アリシアもそこで一旦立ち止まり、説得にかかえうようだ。

「随分とゆっくりなお出ましね。悪いけれどあなたに用はないわ、そこを退いてくれるなら怪我をせずに済むわよ?」

「………」

アリシアの敵意を真正面からうけても無言のまま木刀を構え、

「ふん!」

野太い気合いの声とともに先に動いたのは、ゴルドーの護衛で確か名前はマルレ ウィルトールだった。

対するアリシアは、マルレの上段斬りを怯むでもなく一歩前へ出て横薙ぎで弾き返す、さらに切り返しでもう一歩前進する。

「ふん、舐められたものね」

マルレも半歩下がって迎撃するが、重心が後ろに傾いている状態で、しかも下段からの切り上げでは受け止めきれないだろう。

「はあ!」

マルレはアリシアの木剣を木刀で受けたが、俺の見立て通り勢いを消しきれず後退させられた。

「拍子抜けね、このままだと何も出来ずにあなたは終わりよ。本当にその程度なの?」

アリシアは嘲笑うように木剣をマルレに向けた。明らかにアリシア優勢なので、挑発しているのだろうと思ったが、どうやらそうでもないようでアリシアに油断は見られない。

とここで初めてマルレが口を開いた。

「そっちは随分とお喋りじゃねーか、寡黙な方が女はいいと思うぜ?まあいいさ今から俺に負けて黙り込むのはそっちなんだからよ」

口を開くやいなや、まだまだ余裕がありそうな物言いだった。

向こうも最初から全力ではなかったようで、その証拠に木刀を逆手に持ち構えを変えてきている。

マルレの構えは、逆手に持った木刀を前に左手を握り後ろに構え、腰を落としている。

(あの木刀の持ち方はトンファーなどの使い方に似ているが、あれは守りに強く攻めに不向きなもののはずだ。となれば後ろに隠した左手で魔術行使でもするつもりかな?)

そう思案していると、

ゴルドーが猛突進を開始した。そのまま一気に距離を詰めると俺の予想通り左手に魔力が集めており、肉体強化を施された拳がアリシアに襲いかかる。

「ッシ!」

アリシアはそれを木剣で持って迎撃した、だがこれで両手を使わされ懐に空間が生まれてしまう。

マルレは突進の勢いを回転力に変え、残っている右手の木刀を空いた懐に滑り込ませようとする。

「は!これで終わりな!」

マルレは勝利を確信してか、先程と逆でアリシアが沈黙でマルレが吠えた。

普通ならこの場面は後退か、防御をして耐える判断をするのだが、ここでアリシアは木剣を返すでもなく後ろに下がるや、防御姿勢を取るなどの行動を見せず、全く予想外の事に防殻を前面に展開してそのまま前進して行った。

「ゴン!」

アリシアの防殻とマルレの木刀がぶつかり激しい衝撃と音が生じたが、アリシアは前進する際に前に重心を移動しており踏みとどまれていた。しかしマルレは、回転に使った軸足だけでは耐えきれず後ろに飛ばされた。

「なに!!」

勿論アリシアがこんな隙を逃すはずもなく、

「はああ!」

気合いの掛け声と共に、体重を乗せた上段斬りをマルレの浮いた体に叩き込みにいく。

「ちいい!」

普通ならここでアリシアに切られて終わりなのだが、マルレは王族の護衛とだけあり圧巻の対応速度を見せた。

左拳に握っていた魔力をそのままアリシアに向け射出し、魔力弾として使ったのだ。稼げた時間は一瞬だったが、その一瞬がマルレを救い、

アリシアは魔力弾など気にもせずそのまま防殻で弾き、木剣を振り下ろした。

「ガンッ!!!」

ギリギリで展開が間に合ったマルレの防殻とアリシア木剣がぶつかる。

しかし今度はアリシアの両手での体重まで乗せた一撃、先程とは比べものにならない程の衝撃で、マルレは防殻ごと潰され、床に叩きつけられバウンドする。

「がはッ、」

だがさすがわ王族の護衛とだけあり、なんとか受け身をとって見せ未だに立っている。

「はあ、はあ、あぶねーな。今の訓練武装じゃなきゃ死んでたな、はあ」

「さすがにしぶといわね、でもまだまだこれからよ!」

少しの間を置いて、アリシアとマルレによる第一ランドは再開された。

その頃後衛の俺と、相手のゴルドーはというと、開戦からずっと動かずにアリシアとマルレの戦闘を観戦していた。

理由は2人が接近戦をしている間、魔術での介入は誤射の危険があるため出来ないからだ。そのためトラップと時限式の魔術をいくつか仕掛けるくらいしかやれることもない。

そんな硬直状態の俺達をおいてアリシアとマルレは未だに激戦を繰り広げている。

やはりマルレは結構手練れだった、あのアリシアに剣術でも魔術でも引けをとっていない。そのせいで均衡状態になりつつある。がそれでも長くは続かなかった。

何回目かの打ち合いがあり、両者とも鍔迫り合いで硬直し、これはアリシアとって不利な状況だった。化け物並の実力があってもアリシアは、16歳の女生徒だ。

同い年の自分より背の高い男子生徒相手の純粋な力比べでは勝てない、アリシアもそれは分かっているだろう。しかしそれでもああなると押し切られた方が切られ、魔力強化されている木刀では、最悪急所であれば脱落させられる程のダメージを貰ってしまう。

手を出せばアリシアに怒られるとわかっていたが、それでも観察していた結果色々と気がついた事もあったので報告も兼ねて加勢しようとしたが、アリシアの言葉に制止させられた。

「あなた何をしているの?戦力分析が済んだのなら早く行きなさい、言ったはずよ1人減らすくらいはして上げるって、それとも私が不利な体勢になった程度で負けるとでも?」

強がりにしては顔に余裕が見られ本気で言っているとわかったが、そうだとしてもあのままの体制ではマズイので、アリシアの言葉を無視して割って入った。

「思ってないが悪いな、少しそいつは卑怯だ、色々伝えておきたいから許してくれ」

俺の乱入でマルレも一旦距離を取る。

「おい、雨宮一対一の戦いに水を差すとはどういうつもりだ?」

マルレは邪魔されたのが気にくわないようで、年齢の割に大人びた声音で威圧してきたが、

「2オン2の意味を考えて戦ったらどうだ?それにお前に用件はない、2対1で勝てないのくらい分かるなら諦めて、そこを退いてくれないか?」

最終勧告も兼ねてそう言ってたのだが、残念な事に身内から先に返答されてしまう。

「あなたまだそんな甘い事を言うつもりなら、下がって見てなさい」

(あ、もうすでにスイッチ入ってるのね、、、)

完全に戦闘によってアドレナリンが出まくってるようだった。

「はは、お前相方にも言われてるじゃねーか、そいつの言う通りだそんな無駄な事はやめろ」

どうやら俺はここにはお邪魔虫のようだ、だがわざわざこんな事をしたのには理由があるので、

「なら質問を変える、今ならまだ言わないで許してやるぞ?」

そう言って俺は他の奴らから見えないように袖の中を示した。

マルレが武器を隠し持っている事に、さっきの鍔迫り合いで気がついていたからだ。これが距離を離させた理由だ。あれは見た感じ射出して使う物だが射程は短いタイプのものだろう。

「へー目がいいじゃねーか、だが悪いがこっちも上の命には逆らえないんだ。出来ればそいつとは真面目にやりたいがな」

不本意とばかりに顔をしかめた所を見るに根は真面目なのだろうか?

「じゃあなんでそんな命令に従うんだ?あいつが何をしてるか知ってるだろう?」

従者件護衛ならばゴルドーのやっていることはわかっているはずだが、

「知ってるが、それがどうしたんだ?欲望は持っててもいいじゃねーか、まあクソ野郎なのは認めるけどよ。それでもウチの御主人様、なんだから仕方ねーんだよ、、」

まあ、そうだろうな俺とノヴェルやキャナルみたいに、家がらみの関係なら逆らおうにも無理がある。

「分かった、ならお前も叩かせて貰う。アリシア、紅魔術と闇魔術は使うな。あとあいつの袖に気をつけろ。それとあいつ右利きじゃなく左利きだ。最後に左でしか魔術は使っていないから右手を開かせるように動け、5秒後に左右に分かれて出るぞ。さっきは止めて悪かったな、こいつは任せたからな!」

一気に情報提供と忠告を終え、ついでに作戦を伝えた。

「私に指示するとは随分偉くなったものね。まあ今回はいいでしょう、さっさと終わらせて最後のハイライトは頂くわ」

そう言ってアリシアも作戦通りに動いてくれる。

その瞬間、俺達が今まで立っていた場所をフォトンレーザーが通り抜けマルレに飛んでいった。

さっきアリシアの後ろにいる間に仕掛けておいた時限式のトラップだ。俺の任意で術式発動後5秒で発射するように設定しておいた。

「ちっ、」

マルレは俺に向かって魔術を飛ばそうとしていたが、それをキャンセルして咄嗟にフォトンレーザーを避けた。

(あれを避けれたのはさすがだが、失策だったな)

もともとマルレに奇襲のフォトンレーザーが当たるとは思っていない、狙ったのはゴルドーだ。

ちょうどマルレと一直線上になるよう仕掛けたので、狙いどうりアリシアに向かって術を使おうとしていた。ゴルドーに防殼を使わせ時間を稼いだ、俺はその間にゴルドーとの距離を詰めていく。

マルレは避けて体勢が崩れたところに、魔術行使にまだ不得手の右手側からアリシアが放った追撃のフォトンレーザーを受けた。何とか防殼で防いだが完全に体勢が崩れている、その隙を逃さずアリシアが肉体強化と武器強化を全開にした状態で重い一撃を叩き込む。

咄嗟のことだったからか、もう隠す気がないのか、先ほどの木剣どうしの打ち合いの音とは違う金属音が響いて、袖の中にあったのもが露わになる。

どうやら袖に隠していたのは、パイルバンカーだったようだ。

「先生!あれは反則じゃないんですか‼︎」

観戦していて、気がついた生徒が声を上げてくれる。

当然個人武器の使用は禁じられていたおり、反則行為なので即刻負けなのだが、ユリアーノ先生は

「確かに禁じましたが、この試合は中止する事はできない決闘でもあります。そのため続行とします〜不測の事態に対応してこそ、訓練の意味がありますからいい機会でしょう~」

そういえばノヴェルとキャナルも先生がいつも最悪の状況をわざと想定して訓練していた言っていたのを思い出した。

(だがいざやられるとたまったもんじゃないな)

訓練生時代苦労したであろう2人の気持ちが理解出来た気がする。

「ハンデとしては少し足りない気もするけれど、まあいいでしょう。その武器ごとへし折ってあげるわ」

「さっきの一撃は効いたぜ、でも残念だったな今ので決めてれば負けずに済んだのによ」

アリシアは高圧的に威圧し、マルレはちくせきしているダメージからか、若干動きが鈍った足でまた戦闘が始まった。

すると開戦からだんまりを決め込んでいたゴルドーが、初めて口を開いた。

「雨宮さん姑息な事をしますね、弱者らしいですが目障りです。今すぐに僕の目の前から消えて下さい」

「人聞きが悪い事言うなよ。それに俺は相方を放ったらかして高みの見物するような奴にも言われたくないんだがな?」

「相方?駒を動かすのがプレイヤーの仕事ですよ。通常なら間違ってもこのように戦闘などしないのですから、そこの無能はクビですね」

どこまでもクソッタレなゴルドーの物言いに呆れ果てた。

「はあ~どこまでも勝手な奴だな、護衛をなんだと思ってるんだ?」

「勝手?当たり前でしょう僕は王族ですよ。僕が望んだ事が叶わないならこの国は存在している意味がありません。今の質問ですが護衛は単なる弾除けですよ、まあ女性であって僕の目に叶えば妾くらいにはしてやりますがね」

「お前の考えはよーく分かった。だがノヴェルとキャナルに手は出すな、ついでだがアリシアはやめとけ命が幾つあっても足りないことはわかっただろ?」

最後の親切心で警告してやったが、

「なんですか?勇者気取りですか?言ってるでしょう僕が望んで叶わないことはあってはならないと、お前邪魔なんだよ、虫けらは虫けらなしく潰されてろよ」

意味がないことはわかったので、戦略を組み込んでいく。

「3度忠告した、お前の家や名声なんてもう知らん、気を使うのもここまでだ、ボコボコにして泣いて詫びさせてやるから覚悟しろ、豚は狼に食べられるのが物語の常だぜ?」

挑発して判断力を削ぐいつもの俺のペースに持っていくと、

「その口を今すぐ閉じろ!僕をバカにした奴はこの国に必要ない!今すぐに殺してやる!」

(本性が出てきたな、よしよしそのまま怒って冷静でなくなってくれれば俺もやりやすい)

「残念だが訓練場で怪我はしないんだよ、だから俺も遠慮なくやれる」

ダメ押しとばかりに挑発の言葉を放って、俺の戦いも始まった。

俺は距離を詰めてつつ牽制射撃を繰り返しているが、ゴルドーは見た目から想像出来ないほど機敏に動き、俺から距離を取りながら魔術で応戦してくる。

それを牽制用の訓練銃で追い込みつつトラップのある場所まで誘導して行く。だが激情していても自分が追い込まれつつあるのはわかっているようで、ゴルドーは逃げではなく攻撃で押し返す方に作戦を変更してきた。

「ち、さすがに分かりやすいトラップに引っかかる奴じゃないか」

表面上は苦戦しているが、まあここまでは予想通りの展開だった。

(後は頼むよ、相方さん)

「バカの考えなんてすぐにわかるんだよ‼︎殻にこもることしか出来ない雑魚が!」


ゴルドーが俺の策略にはまっているとも知らずに、注意を全て俺に向けていた。

相手の攻撃が苛烈になって行く中俺は初めに仕掛けておいた、魔術トラップに魔力を通し、待機状態に維持する。その際、防殻に意識を集中して相手の魔力切れを狙う作戦に見せかける。

そうして作った時間でおれは、アリシアの戦闘に注意を向けトラップ発動のタイミングを待っていた。

(さて、あとはタイミングを見てこれを使うだけだな)

俺が殻に籠って防戦一方を演じている中、アリシアは圧倒的な魔力量と鍛えられた技で武器の性能など物ともせず、マルレを追い詰めていた。

「もう終わりよ、諦めなさい」

アリシアは目に見える範囲での故障は見られない、動きも全く鈍っている様子はない。

かたやマルレは、右腕のパイルバンカーを折られ足も片方引きずっていた。

訓練場で怪我をするなんてアリシアの本気の打ち込みは威力が桁違いのようだ。

(あんなのとやり合うなんて絶対ゴメンだね)

心の中でマルレに同情しつつも展開を見守る。

「木剣でこの威力か、こりゃ無理だな~」

マルレもアリシアとの実力の差が分かり降参のポーズを取るかと思われたが、そのまま決死の突進をしてきた。

アリシアは、苦し紛れの特攻と判断し木剣の強化を一層強くし迎撃態勢をとる。しかしマルレは予想を越えて、パイルバンカーをアリシアの間合いギリギリで床に向けて発射した。

その衝撃であたりには、黒煙が立ち込め煙幕の役割を果たす、これにはアリシアも対応出来ず一瞬、反応が遅れてしまった。

マルレも最後のチャンスであろうその一瞬を見逃さず、右手に持った木刀をアリシアに突き刺そうとするが、アリシアも済んでのところでそれをいなした。それでも体勢が崩れている、まるで最初の打ち合いの再現だったが、今度はマルレの腕の順番が逆だ。マルレは残る左手で魔術行使を行なっていた。

先程と同じような構図だが、同じ手は2度は通じる相手ではないだろう。だがだからこそマルレの次の手を予測出来た。

(ここが勝負どころだ、アリシア頼むから俺の事を忘れてくれるなよ?)

アリシアはまだ余力がかなり残っている。それを一撃で脱落させるためには、大威力な魔術しか不可能だ、そしてそんな魔術は限られる。今の俺達の力量ではまず間違いなく紅魔術か闇魔術のどちらでしか発現出来ない。これで勝敗は決した。

「残念だったな俺の勝ちだ!」

マルレが勝ちを確信した顔で左手に魔術を完成させる。紅魔術ブラストインパクトそれは至近距離でしか使えないが、その代わり威力はBランク魔術の中では最大の魔術だ。

直撃すればいくらアリシアといえど一撃で脱落だろう。

「ええ本当に残念ね、彼の感はあてにできるようだわ」

そう言ってアリシアはさらに一歩踏み込だ。これでは直撃コースだが、その時俺はマルレの魔術が完成した瞬間、仕込んで置いた2個目のトラップを発動していた。

この簡単な魔術で、たぶんこのクラスの誰でも出来るトレベルだろう。しかしこの状況でこの魔術は最大の効果を発揮してくれた。

マルレの左手が必殺の威力を持った深紅の炎を纏っていたのだが、ただの水を纏った拳になった。

俺が使った魔術は聖魔術のスペルチェンジ。

これは残念な事に1回限りだが、完成された魔術を反属性に変える事が出来るものだ。

誰でも出来るほど簡単なのはいいが、これは結構作るのに時間がかかり、その上魔術を構成した時に選択した属性にしか発動出来ない。さらに発動時の魔力消費はバカにならないため好き好んで使う奴は少ないだろう。

それはわかっていたが俺は、この魔術を初めに組んでいた。

理由としては、絶対に相手が一度は大威力魔術で反撃してくる読んでいたからだ。

消耗戦では魔力量が多いこっちに分があり、削りあいでアリシアに勝つのは難しい、その場合一発逆転を狙うしか勝つ方法はないだろうからな、保険で作っといて正解だった。

「な、なんだこいつは!どうなってやがる!」

マルレが、いきなり自分の魔術が変容した事に驚いていたがもう修正や変更は間に合わない。

紅魔術の反属性は氷魔術、しかしブラストインパクトのイメージは個体、氷魔術の場合は液体か気体になってしまうのだ。

イメージが違うと魔術行使に消費した魔力は霧散してしまう。なんとか魔術の不発は防げたとしても何の威力もないただの水を纏った拳になってしまい、あれではアリシアの硬い防殻は抜けないし、逆にダメージすら受けてしまうだろう。

「クソがったれがああああ!……くっ、」

「はあああ!!」

俺の予想通りマルレの渾身の一撃は、アリシアの分厚い防殻に阻まれ驚きと拳の痛みに歪めた顔に、アリシアの全力の踏み込みと体重を乗せた木剣の腹が叩きつけられる。

「ボゴッ!!」

鈍い音と共にマルレを強打した。

もちろんあれを喰らって無事なはずがなく、マルレは床に叩きつけられ倒れ気絶し、そのままピクリとも動かなくなった。

(うわ〜痛そ、あれ首の骨折れてないのか?)

人の体がバウンドするような打撃でも生きていられるかどうか不安だったが、今はそれを心配しても仕方ない。マルレが脱落したところでやっと、ゴルドーも俺の狙いに気がついたらしい。

「お前、どこまで卑怯な!僕の攻撃をずっと受けていたのはトラップの発動準備とタイミングを計るためだったのか!!」

「今更気がついたって遅い、さーてもうお前の護衛はいなくなった。どうする?降参するか?」

俺もゴルドーの魔術で防殼もだいぶ削られていたが、これで2対1だ何の問題もない。

俺がゆっくりと立ち上がると、アリシアが横に並ぶ。

「アリシア、俺が言った事ちゃんと覚えてくれたようで良かったよ」

「あなたも私がいること忘れていなかったのね、てっきり劣勢なのかと思ったわ」

「まあそういう風に見えただろうな、でも2対2の基本は、前衛のバックアップが後衛の仕事だろ?」

「その通りよ、でもあれを相手に苦戦するのはどうかと思うけれど」

(それもそうか、このままだとカッコつかないだろうからな、なら疲れるけどやりますかね)

「わかった、やるよ。じゃあ今度は俺が前衛行くけどいいか?」

「勝手にしなさい、どうせあなたが負けても私がいるから安心して散ってきなさい」

アリシアは、昨日の始めの訓練試合の時と同じセリフを言ってきた。そのことをを理解しつつ俺はあえて昨日とは違う言葉を選んで返す。

「おうよろしくな、お前が後ろにいたら安心して突っ込める」

「ふん、さっきのアシスト分くらいは期待してなさい」

俺の返しが意外だったのか、アリシアは一瞬驚きつつも目を伏せ、微笑んでくれていた。

勝利の女神の微笑みを貰ったので前に出て、ゴルドーと対峙する。

「よしゴルドー、もう小細工はネタが尽きた。これからはお前の言うとうり正面勝負と行こうぜ」

「お前のような奴に僕が負けるはずがない!2対1なら勝機があったものを馬鹿め‼︎」

ゴルドーとの第2ラウンドのゴングは俺が撃った煙幕弾で始まった。

(さてと、まあさっきのトラップはもう一個作ってあるから、いつ使うかが問題だが、ゴルドー家の得意な魔術は闇魔術、だがあいつは闇魔術を未だに1回も使っていない、となると何か狙っているか?プライドが上回っているかのどちらか、まあ前者と考えて行動しといた方がいいだろうな)

「小賢しいいわ!こんなもの!」

煙幕を利用して接近していくが相手も馬鹿ではないようで、ファイヤボールを2発連続詠唱し1発目で煙幕を焼き払うと、俺を2発目で狙ってきた。

ここで俺は初授業の際のユリアーノ先生の真似事をし、防殼でファイヤボールを囲んでディフェンスアーマーの容量で圧縮する。そうすることで爆発範囲をかなり抑えられるのだが、俺ではまだ前に進める空間を確保出来るほどの爆発範囲減少は出来なかった。

仕方なくさらに迂回し距離を詰めに行こうとするが、ファイヤボールの効果範囲の脇を抜けようとしたらフォトンレーザーが飛んできた。

(あぶね!今のが避けることが出来たはほとんど偶然だったな、、、)

額に嫌な汗が出る、ゴルドーも俺の動きを読んできているのだ。

「ち、怒りで判断力が鈍ってると思ったが案外復帰が早いな」

もうファイヤボールは消え煙幕も無くなっていた。

そうして俺と目があったゴルドーは嘲笑うような顔で何事か吠え出した。

「あんな役立たず最初から当てになどしていない!もしあれがやられて慌てる僕を想像していたなら、残念だったな!」

そんなゴルドーの御託など興味がないので聞いておらず、思考を全て戦闘に集中させいた。

(マズいな今は遮蔽物がもうない距離はまだ20メルはある。この距離だと魔術の方が早い、ゴルドーもこれはわかっているだろうから、さっきの猛攻で俺の防殼も薄くなっていることも織り込むと、威力の高い魔術を使われたらやられる)

ここまで考えトラップをどう活かすかに思考を変えていると気がついた。アリシアがゴルドーからは見えないように俺の真後ろに位置取りをしていたのだ。

(さっきアリシアはマルレの攻撃に怯まずに前に一歩踏み込んだ、なら俺も前に出なくてどうする!)

そうを思い思考をキャンセルして全力で前に進んでいく。ゴルドーとの距離は残りざっと見20メル、肉体強化をしても相手の攻撃の方がはやい、でも今前に出るしか近ずくチャンスはないだろう。

足に肉体強化を施し全力疾走しながら、防殼に回していた魔力を木刀に集中させる。さらに武器強化を施し、左手の訓練銃で牽制射撃も行いながら一気に距離を詰めて行く。

ゴルドーの防殼に牽制射撃は防がれるが、気にせず突っ込み続け残りの魔力をスペルチェンジの発動に残しておく。

俺のこの行動は自殺行為の突撃、周りの人間にはそう見えただろう。

観戦者達と同じくゴルドーもそう思ったのか、ほくそ笑みながら得意の闇魔術を詠唱していた。

(やっぱり最後の一撃で狙ってきたか、わかりやすい奴だ、、、)

「闇よ漆黒の槍となりて刺し穿て!シャドウランス‼︎」

さすがわゴルドー王家、構築速度はBランク魔術のシャドウランスを、Cランククラスの速度で発現させた。しかしここまでは予想通り、あとはアリシアを信じるしかない。

「スペルチェンジ!」

「無駄だ!その魔術は属性を変えるだけのものだ!シャドウランスは反属性でもフォトンファランクス、どっちにしろ槍に串刺しにされるがいい‼︎」

ゴルドーがご丁寧にも俺の思考を読んでいるぞと宣言してくれるが、今度も一手頭が足りなかったな。

「さあ?それはどうかな」

最後の賭けで信じて使ったスペルチェンジ。

だがこのまま何も起こらなければゴルドーの言った通り、闇魔術シャドウランスは反属性でも同威力の聖魔術フォトンファランクスに変わっただけで、そのまま俺を串刺しにしただろう。

そんな時、俺の横や上を後方から飛んた光の槍が通過して行ったのを見て俺は、勝ちを確信した。

「さすが頭の良い奴は頼りになるなああ!!」

ゴルドーのシャドウランスが変化したフォトンファランクスと、後ろから飛んできた同じ魔術、フォトンファランクスが俺とゴルドーとの間で激突し、激しい光が訓練場を一瞬覆う。

俺はこの隙にさらに距離を詰める。

「後方からの援護だと!何故だアリシア ベルリネッタ‼︎僕は君を保護しようとしているのになぜ邪魔をする、そこの羽虫を何故助けるんだ‼︎」

ゴルドーはアリシアが援護したことを理解出来ないといった表情で、憤どうっていた。

「なんでも自分の思い通りになるなんて思って好き勝手にやっているあなたに、私が協力しなければならない理由を聞きたいわね」

(お前がそれを言うますかね?)

心の中でアリシアに突っ込みつつも感謝し、

(きっちりアシスト一回、さすがアリシア、絶妙なタイミングでしかも魔術の選択も完璧だな)

今起こった事を説明するが、同魔術同士のぶつかり合いは、威力が高い方に軍配が上がり威力が低い方を飲み込みながら進んでいく、つまり術者の技量に左右されるのだ。

これ法則に例外はなく、反属性同士のぶつかり合いでも同じことが起こるのだが、闇魔術と聖魔術では、闇魔術の方が威力が高いせいで聖魔術が力負けする。

ゴルドー王家は、代々闇魔術に特化しているのは有名な話で、アリシアもそれを承知で聖魔術のフォトンファランクスを援護で撃ってきてくれた。

これは、マルレの時同様俺がスペルチェンジで属性を反転させると分かっているから出来た事だ。

恐らく闇魔術同士でのぶつかり合いではゴルドーに負けていただろうが、聖魔術同士のぶつかり合いなら技量はアリシアが上だったようだ。

そうなると魔術の法則に従って、ゴルドーの魔術を分解吸収しながら、ゴルドーに向かって進んでいく。ゴルドーはギリギリで展開が間に合ったが、その防殼を光の槍は食い破った。

ゴルドーは、これで守りの要の防殻がなくなり、焦った様子でその場から逃げようとする。

だがこれほどのチャンスを見逃してやるほど俺はゴルドーに寛容にはなれないので、

「ひ、ひいいい!!」

「逃さなねーよ、小太り王子‼︎」

アリシアの援護のおかげでもう木刀の間合いに入っていた。俺がどれだけ未熟でも防殼がなければ十分なダメージは入れられる。それでも手加減など一切せず、黄色い魔力を纏った木刀がゴルドーを強打し、遠慮なくそのまま薙ぎ払った。

ゴルドーの丸い体が浮き上がり、そのまま3メルほどの飛び、悲鳴や呻き声の一つも上げずに訓練場の冷たい床でうごかなくなった。

(まあ木刀を当てた場所は青じみくらいになるかもしれんがその他の外傷はないだろう。アリシアにぶっ飛ばされたマルレよりかはマシなはずだ、さすがに俺も疲れたし魔力ももうほぼない、4限から先がキツそうだな、、、)

そう思いながら俺も床に大の字に倒れこむ。それと、同時に

「勝者アリシア雨宮ペア‼︎クラス代表おめでとうございます~」

ユリアーノ先生の終了宣言が聞こえると同時に喝采が上がった。

この後すぐ3限終了のチャイムがなったが、周りのクラスメイトは興奮が治らないのか、気にせずずっと騒いでいた。

俺はその喝采の中心に居たのだが、疲れすぎてあまり相手にしていられず、ノヴェルとキャナルに手伝って貰い起き上がり、魔力も戻すと同時に先に運ばれて行ったあいつら2人と話をつけるため保健室へ向かった。

道中では、アリシアも珍しく疲労した様子で一緒に歩き、ノヴェルとキャナルも付き添いという形で4限を抜けて来てくれていた。

「お疲れ様アーちゃん!アリシアさん‼︎すごい良い試合だったよ!」

「ああ、2人ともよくやった、クラス代表はお前達が相応しいと皆も納得していたぞ」

2人の満面の笑みと今のは情報で俺もやっと気が抜け、

「はは、やったなアリシア、これで選抜に一歩近ずいたぞ?」

目論見が成功した事を喜ぶためアリシアに視線を向けたが、

「あんなの勝てて当たり前よ、まあでも確かにこれで他より頭一つ出たでしょうけどね」

照れているのか、顔を背けつつも嬉しそうに成果に納得していた。

「そういう割にマルレとの戦いで結構疲れただろ?」

アリシアは、図星を俺に疲れたのが悔しいのか顔を背けたが、すぐにこちらに向き直って痛い所を反撃された。

「あなたこそあんなのを相手に私の援護に頼るだなんて、やはり私の背中を預けるにはまだ不安ね」

「まだ、か。それならまあいいか、お前にしては優しい返しだ」

そうやって並んで歩く俺達2人をノヴェルとキャナルは、後ろでとても嬉しそうに見ていたのだった。

保健室に着くなり、事の発端であるゴルドーに「もう手を出すな」と再度釘を刺し、マルレには特に言うことはなかったが、ゴルドーの暴走を制止する様にいいきかせた。

この俺の注意にゴルドーは何かブツブツ言いながら下を向いて、何も答えずすぐに保健室から出て行ってしまったので、返事が聞くことが出来なかった。

一方マルレは、アリシアと話しており、

「ああ分かってるよ、元々ニシルの親父さんつまりゴルドー王にもそう言われてるからな、変な風に手を出そうとしたら力尽くで止めてやるよ。さっきのあれは突然だったし面白そうだったから乗っただけだ。武器まで隠し持って負けたんだから文句ねーしな。まあ、悪かった。今回の事はこれで水に流してくれないか?」

「いいでしょう、あなたの行動きついては今回は不問とするわ。その代わり今言った事は守りなさい、それでチャラよ」

「そうだな俺もマルレみたいな強い奴が友人になってくれると嬉しいからな、これからよろしくな」

と言った具合で好意的かつ平和的に完結した。

(やはり根はいい奴だったな、ちょっと好奇心旺盛と言うか戦闘狂なところがあるが許容範囲内だろう)

こうしてクラス代表争奪戦は幕を閉じ、俺は疲れからか保健室のベットで瞼も閉じてしまった。

目が覚めたのは昼休みが始まって少ししたくらいで、1時間ほど眠りこけていたようだ。

「あら目が覚めたのね、君新入生の雨宮君だよね?昨日1年生で最初の保健室利用者の、それで今日3限終わって来てみたら、またいるし保健室そんなに気に入っちゃった?」

いきなり声がしたので飛び起きたが、保健室にいたのは白衣を纏った女性だったので、身なりから保健室常勤の先生であるとすぐに分かった。そしてびっくりなことに2日しか登校していないはずなのに、もう保健室の先生に顔と名前を覚えられてしまっていた。だが考えて見れば当然だった。

(まあ入学式当日に保険室にくる奴なんてそうそういないだろうからな)

「いえ、そうなのかもしれませんが勝手に使ってしまってすいませんでした、3限の試合で魔力使い過ぎたみたいで、眠ってしまったんです」

謝罪ついでに、ここへ来た経緯を簡単に説明すると、

「いいのよ、ここはそうやって使う場所だから、それに私がくるまで3人がついててくれたみたいだし、お礼や謝罪なら私じゃなくその子達に言ってあげなさい」

「そうですね、そうします」

素直にそう思った。

ベットに横になったのまでは覚えているのだが布団を被った覚えはない、と言う事はわざわざ掛けてくれたのはすぐに分かった。

(礼は次会った時に言わないとな)

「で、君の体を調べたけど外傷も特にないし魔力も戻ってるから大丈夫なはずよ、だからあんまり保健室にサボりに来ちゃダメだぞ?でも気軽に来て使って貰って構わないからね」

「はいどうもありがとうございました、それじゃあ俺もそろそろ戻んないと昼食べれないので」

「そ、じゃあまたね、私の名前はミリンダ オーガストよ、覚えてよね?なんだが君とはこれからもよく会う気がするからね」

「ミリンダ先生ですね、改めてまして、雨宮 アデル バンガードです。私としてもこれからもお世話になりそうなのでよろしくお願いします」

そう言って保健のミリンダ先生と握手をかわし、保健室から出ていく。

昼休みの喧騒の中、俺はゆっくりと自分の教室を目指して歩く。

(この学校に来て初めて1人で行動してるが、この雰囲気はなかなか悪くないな。他の生徒の話をすれ違いざまに少し聞こえてくるのが新鮮な感じだ)

いつもはノヴェルかキャナルが必ず隣にいるので、学校で1人になれるのはトイレくらいのものだ。

教室に戻るとクラスメイト全員から注目を浴び少したじろいでしまう。

(どうにも人に注目されるのはなれない)

俺が入り口で固まっていると、ダキアやライル達に男子生徒が俺の前に出て来て俺の目の前で止まる。また何かやらかしたのだろうか?と不安になったが、、、

「悪かった雨宮、俺達あの試合のあとクレアさんとキャナルさんに聞いたんだ。ゴルドーがどう言う奴でお前にどうして噛み付いたのか、自分勝手に解釈してすまなかった。男子一同お前に謝罪と礼が言いたい」

こんな事を言って来たものだから驚いた。

「お、おい別にそんなのいいよ。お前達が聞いた話は全部嘘ってわけでもないんだし、それにゴルドーの事は俺とあいつの問題だしな。気にする事ないぞ?」

「許してくれるか?」

「ああ、だから気にしちゃいないって」

俺がそう言って2人の頭を上げさせると、ライルとダキアは笑顔になって俺の肩に手を置いてサムズアップして来た。

「雨宮お前っていい奴だったんだな。俺はてっきり美人に見境なく手を出す遊び人かとばかり思っていたんだ。本当にすまなかった」

(こいつら、いい笑顔でなんて事言いやがるんだ)

もしや噂を流したのはアリシアじゃないだろうかと疑いたくなるほど酷い言われようだった。

頬を引きつらせながらなんとか笑顔で答えれたのは、我慢強い性格のおかげだろう、、、

「うん、お前その認識はあらためてくれ」

そうやってクラスの誤解も解けてくれた。

自分の席へと戻ると待っていたノヴェルとキャナルと合流した。2人とも食事を済ませ今から保健室に様子を見に行くつもりだったとの事で、昼食を食べてしまっており、俺が戻って来たから、ユリアーノ先生に報告して来てくれると言って、教務課に向かって行った。

ボッチ飯でも食おうと残された俺は弁当箱を取り出すが、クラスメイト達に先の戦闘で使った魔術やトラップについて揉みくちゃにされてしまった。

「なーなー雨宮!あのフォトンレーザーの時限式設定はどうやったんだ?」

「ねーねーアリシアさんとの連携すごかったね!それに2人とも肉体強化と武器強化どっちも出来ちゃうなんて、今度やり方教えてよ!」

まあこんな具合で、まさしくヒーローインタビューと言った感じで落ち着いて弁当すら広げる暇がない。

「時限式設定は簡単で床に魔方陣を待機せて置いて、魔力供給を維持しとておくだけだよ、発射方向と時差は触ってる内しか変更出来ないけど、設置系の魔術が出来たらそれの応用だからすぐ出来るよ」

「アリシアは頭もいいから、俺の考えもわかったんだろうよ、だからあいつが凄いだけだ。ユリアーノ先生の訓練受けてたらあと2日くらいでできるようになると思うよ」

律儀に答えはしたが、あまりいい説明とは言い難い、ここでやっと俺以外にもこういう事を言われるべき相手が先程から見えない事に気がついた。

気になったついでと説明役を押し付けようと聞いてみる。

「なあ、アリシアどこいるか知らないか?こういう話はあいつの方が説明上手いと思うが」「そういえば昼休み入ってすぐにどこか行ってたぜ?」

すぐにライルが見ていたらしく、教えてくれた。

「そうか、ありがとな教えてくれて、悪い俺も少し外すからこの話はまた後にしてくれ」

そう言って俺も教室を出た。

(こうでもしなきゃ弁当なんて食える状況じゃないしな、だが困ったな~学校で他に飯を食える場所なんて入学2日なので分からいぞ?)

迷いつつも歩きながら探していると中庭に出てしまった。ここは、辺り一面緑の芝生が敷かれており、大きな木が一本真ん中に立っていた。

「なんで元要塞にこんな緑が多い場所があるんだ?」

入ってすぐに疑問に思ったことはそれだったが、大きな木の幹のところに、輝くプラチナ色の髪が見えたのでそっちに意識がそれる。

(あんな髪色そうそういない、アリシアやっぱり目立つな〜隠密任務はむかないようだろうな)

そんな事を思って見ていたら、アリシアにきずかれてしまった。

「誰?」

「あー悪い俺だ」

「はあ〜、あなた、、もう起きてしまったのね、、、」

(人の顔を見るなり溜め息とは、、、なんて奴だ、、、)

「俺は寝てた方が良かったみたいな言い方だな」

「そんなことは言ってないわ、ただ甘ちゃんのお守がまた戻って来たと思って、憂鬱になっただけよ。それよりこんな所まで何をしに来たの?」

「お前な〜、俺だって結構頑張ってただろうが、ここに来たのは弁当食う場所探してたらここに出ただけだ、ちょうどいいからそこ座って弁当食ってもいいか?」

アリシアの隣を指差して聞くと、

「そう、でも少し離れて座ってくれるかしら、ほかの人から見たら誤解の種になるわよ?」

などと言って少し離れた場所を指差す、アリシアの言いたい事がわかったので素直に従った。

「そうだなわかった、じゃあこの辺でいいか?」

こいつがそんな事を気にするとわな。アリシアの指摘を受け3メルほど離れた木陰に座って弁当を広げる。

「で、お前はなんでここにいるんだ?」

「私もあなたと似たような理由よ、彼らと関わるのは面倒だから」

今の彼らとはダキアやライル達の事を言っているのだろう。

(なるほどさっきのは男といるのに慣れてないからか、)

「お前そんなに男子生徒が嫌いなのか?」

話のタネになりそうだったので聞いてみると、

「嫌いというより気持ち悪いが正確かしら、私って昔から何かと男が寄って来くるものだから相手をするのが面倒だったのよ」

他の女性が聞いたら嫉妬しそうな内容だったが、俺は納得出来た。

「なるほどな」

(こいつは顔はいいから、さぞ昔から男子に人気があったろう、まあそれが苦労になるって事はノヴェルも前に言ってたな)

「ならノヴェルと気が合うかもな、その話、あいつにもしてやれよ、絶対共感してくれると思うから」

「ノヴェルさんだけなの?キャナルさんもそうなのではなくて?」

珍しくアリシアが興味を示して来た。いつもならどうでもいいわの一言で終わってしまうにのだがこれはいい兆候だ。

(こいつがあの2人の話題を聞きたがっているということは、仲良くするための口実にも出来るだろう)

そう思いながら話を進めていく、

「キャナルは男子と仲は良かったけど、告白されるのはいつもノヴェルだったんだよな〜男共になんでか聞いたら、キャナルはノヴェルより男っぽいからって言われた」

「失礼だけれど、なんとなくわかる気がするわ」

「そうだな、あいつは俺の気持ちもなぜか察するし男の気持ちがわかるからかもしれん」

俺とアリシアが珍しく気があったが、キャナルには申し訳ない。

「あなたはそんな2人といて大変ね」

「ああ、そのせいでいつも男子から酷い扱いを受けるからな〜しかもノヴェルやキャナルが見てない所でだ」

「なら慣れているでしょうし対処法もよく知っているわね?」

「まあな、適当に話合わせてあいつらにいい顔して貰うように言って、告らせて玉砕させれば終わりだ」

「はあ~全部人任せじゃない」

当たり前だ、元々俺が巻き込まれるのが間違いなんだから何も問題はないはずだ。

それに他にも理由はあった、

「だけど諦めるよう言っても男共は逆に頑張るからな。それでも結局振られるんだから結果が早く出るよう考えた俺なりの優しさの末だ」

「成功させようとは考えなかったの?」

「これはキャナルにも言われたが、私達は誰とも付き合う気はないけど、俺を利用するような奴は初めからお断りだから、そう言う話題を言われたら知らせくれって」

「なるほどね、それで知らせたあとどうなったの?」

「ノヴェル達がそいつら相手にいい顔して、早くてその日のうちに長くても一週間で全員告白してたよ。そんでその連中全員を校舎裏に呼び出して一斉に振ってた。俺もちょっと心配で盗み見ていたんだが、集められた男子生徒に同情したよ、、、ノヴェルもキャナルも自分への告白文を全て読み上げ公開処刑をしてな、しかもそれだけではなく1人1人どこが嫌いかまでキッパリ言って心をへし折っていってたからな」

俺があの2人の黒い部分を話すが、アリシアは引くでもなく怖がるでもなく、

「いい考えねそれ、いっぺんに全部住むじゃない」

残念な事に俺が先程言った通り、ノヴェル達に共感してしまっていた。

(すまん、男子生徒諸君俺はこいつにいらぬ情報を話してしまったかもしれない)

これからこいつに告白するだろう、淡い青春を望む男子達にあの惨劇が繰り返されると思うと、とても申し訳ない気持ちになった。

「おいやめてやれよ、本当に可哀想だったんだから、しかもその後あいつら俺に八つ当たりして来て大変だったんだからな」

罪滅ぼしも兼ねて止めようと努力はしたが、

「あらでも私に告白してきた人達は、全員目から光が消えるって有名だったわよ?それにもし私が告白されても今回はあなたに被害が及ぶ心配はないじゃない」

「そ、そうか、そうかもしれんが、聞いた感じお前の振り方絶対あいつらより酷いよな?うんならいいか」

(やばいな、、こいつは心を折るだけじゃなく2度と立ち直れないような断り方をするみたいだ、怖え〜)

ノヴェル達に振られた奴らは戻って共に傷を舐め合って俺に八つ当たりしたりして来たが、こいつは廃人を作ってしまうようだった。

「そうねさすがに学校の男子生徒が皆ゾンビのような者に成り果ててしまったあれは、私が男子を気持ち悪く感じるようになったきっかけの光景だったわ」

アリシアの遠い過去を思い出しながら語るそれには全く嘘の色はなく、今のを聞いて想像するだけで怖気を感じる。

弁当も3割ほど残っているが食う気が失せてしまい、片ずけを始めた。

(他人の過去を勝手に喋ったバチでも当たったんだろうか?)

昼休みも残り少なく俺が片ずけ始めたを見てアリシアも教室に戻るようだ。

「次の時間からはペアでの訓練よ、今日からランク試験まで徹底的に痛めつけてあげるからついて来なさい」

「わかってるよ、頼むから俺までゾンビ化させないでくれよ?」

「それはあなた次第よ、でもさっきの試合はユリアーノ先生を褒めていたし、私もあなたの観察眼と分析力、よく当たるその感も能力としてみると貴重だと思っているわ」

「おお、お前に初めて褒められた気がする、なんだろう今日この後すごく良くないことが起きる気がしてきたぞ、、、」

「やっぱりあなたも廃人にするべきのようね」

アリシアが知り合ったばかりの時の冷たい笑顔でこっちを見て来る。

この笑顔の見た時が予感が確信に変わった瞬間であった。

その後の5.6限の訓練で、アリシアにボコボコにされながらもなんとか耐えていると、気がついたら授業が終わっていた。

(人間は本気で集中を強要されると、時間感覚が短くなるのはどうやら本当らしいな)

今日はユリアーノ先生にクラス代表の件で残れと言われていたため、HRが終わっても俺とアリシア、それに有志で手伝ってくれるキャナルにノヴェルも残っている。先生は一度、教務室に戻って行ったが10分ほどで帰ってきた。

「お待たせしました~ではさっそく、アリシア ディーン ベルリネッタさん雨宮 アデル バンガード君、両名をクラス代表として正式に任命します、クラス代表の証拠としてこのバッヂをつけて下さい〜」

そう言って手に握り込めるくらいの大きさの五角形型のバッヂを手渡された。

「はあ、このバッヂを得るためにずいぶんと面倒なことに巻き込まれたな」

確かに嬉しいが、それよりも苦労の方が大きかった気がする。

「そうね、あなたが男子生徒から疎まれるようなことをしたのが原因なのだけれどね」

アリシアにそう言われてしまったが、反論できなかった。

残念な事にゴルドーの乱入は間違いなくアリシアの言ったように俺のせいでもあるが、あれは不可効力というか、回避不可能だった事態だと思いたい。

「まあさっきの試合で実力も示せたわけですし~いいじゃないですか~これで皆さん文句なしであなた達が代表になったんですから~」

確かにその通りだが、ハイそうですかと納得は出来ない。

「先生も先生ですよ、、、もうちょっと平和的な解決法をですね、、、」

心底恨めしい顔をしてユリアーノ先生の顔をみたが、

「嫌ですよ~せっかく面白いものが見られるかもしれないのにやらないなんてことは絶対なしです~」

こちらも心底楽しそうに満面の笑みで返してくるものだから性が悪い。

「アデル諦めろ、この人はこういう人なんだよ」

「そうよアーちゃん前も話したけど私達もそうやって鍛えられたの、だからもう諦めるしかないわ」

「先生そこの甘ちゃんは放って置いて構わないので、ご用件の方をお聞きしたいのですが?」

ノヴェルとキャナルが俺に同情してくれる中、アリシアは興味がないと言わんばかりに話を進めていく。

「はーい、そうですね~用って程じゃないんですけど~もうすぐクラス対抗戦があるんですよね~それの種目で参加者を決めないと行けなくてですね~そういうことをお二人にお任せしなきゃ行けないんですよ~だからランク試験の結果をお二人だけには公開するので、絶対に口外しないと、約束して頂かなくちゃいけなくて~この紙にサインして貰うために、残って貰ったんですよ~」

ユリアーノ先生はそう説明して俺とアリシアに一枚の羊皮紙を渡してきた。

「なるほど理解しました、ではここにサインすればいいんですね?」

「はい、そことここです、雨宮君もお願いしますね~」

「はい、わかりました」

そう言ってサインをしたら、紙から文字が浮かぶ上がり、バッジに吸い込まれて行く

「魔術契約書?‼︎」

ノヴェルとキャナルがその光景を見て驚きの声をあげていた。

「アデルお前絶対に口外するんじゃないぞ、それは魔術と言うより呪いに近い、下手したら首が飛んだりするやつだ‼︎」

「お、おおおう、おう。わ、わかっ、わかったから!揺らすな!」

キャナルが俺の肩をガックンガックン揺さぶりながら忠告してくる。

(いつも冷静というか大人しいこいつが珍しいな、そんなにやばいものか?)

「なんだって‼︎って驚いたのは事実だが、そこまで大変なことじゃないだろ?だって言わなきゃいいだけだろ?」

俺は個人情報といえど名前と各種測定結果しか乗っていない情報なぞ、大した意味はないと思い首を捻っていたが、この後アリシアの言った事によって地獄に突き落とされる事になった。

「あなた本当にこういう時は本当にバカね、それを知りたいと思うのは何もクラスメイトだけではないのよ?しかもこのクラスは王族が2人もいるわ、ランク試験の結果や個人情報だけでも十分な脅迫材料になり得るわ事がまだわからないの?」

「は!」

言われて気がつき、再度思考し直す。

「マ、マズイぞ、これはヤバすぎる。何たって、この国の王族の個人情報と有力者の子供の情報、それらを欲しがる奴なんてごまんといる。それこそレアスキルや、個人の武器に至っても得意分野や弱点それら全てを載せるのがランク試験だ。そんなものが悪意ある連中に渡ったら、このクラスの情報だけで帝国の地盤が崩れかねんぞ‼︎?それに教務課の先生達を襲うより俺たち学生の方がよっぽど楽な筈だ。そうするとだ、必然的に狙われるとしたら間違いなく俺達だろうし、、、」

ここまで一気に頭の回転が追いつき、額に脂汗、背中には冷や汗とシャレにならない事態になった事を遅まきながら理解した。

更に悪いことに契約書にサインはもうしてしまい魔術契約は受理されている。もう解除する術は、契約書の完了内容を終えるしかない。

(なんともマズイことに、その完了条件が1年間他言しない事と来た、、、)

たったこれだけだが1年という絶望的に長い期間が書かれていた。

「な、なんて事を、、、クソ!、何で俺ばっかりこんな、、、、」

契約書を見て愕然として床に手をつく俺を、ノヴェルとキャナルが気の毒そうに見ながら言ってくる。

「アーちゃん、次から次えと面倒ごとに巻き込まれていくね〜、、、」

「アデルは何かと貧乏くじを引くからな、私達でフォローしてやるしかあるまい」

「ふ、ふふふ、、、なんてザマかしら、、、ふ、ふふ、いいわ〜いい顔よあなた、このまま絶望と言う題で美術館に飾れるレベルよ、ふふ」

アリシアに至っては俺を見て笑っていた。しかも含み笑いで、心底可笑しいと言った様子だ。

(こいつハメやがったな!)

そう確信したが気楽にサインした俺がバカなだけなので、何も言えずに拳を震わしながら歯軋りする。

「先生としては、お二人がなってくれて本当に安心しているんですよ~他の子達だと、どうしても実力不足ですし~ゴルドー君だとこれを使って悪巧みをしかねなかったので、本当に一安心です~」

ユリアーノ先生の懸念は冗談抜きにありえた話なので、もし負けていた時を思うとまだマシな気がして来た。だがそれでも勝って手に入れた物はリスクに見合っているとは思えなかった。

「なるほど、でも先生が全部決めてくれたら、こんな面倒な事をしなくていいですよね?」

「そうだ、なんでこんな危険な物を生徒に教える必要があるんだ?」

ノヴェルとキャナルがランク試験の結果や個人情報の開示する必要が有るのかと、先生に問いてくれた。確かに2人の言う通り先生が全て独断で決めてくれればこんな面倒な事にはならないはずだ。

「それだとですね~生徒さん達がやりたい事、つまりなりたい自分になっていくことの妨げになる可能性があるからです~」

「ああ〜なるほど、まあ確かにそうかもしれませんね」

「まあ自分の事を他人に、それも教師に言われればそういう風に思うでしょうね」

今ので俺とアリシアは大まかなところは理解したが2人はイマイチわかっていないようだったので、簡単に説明しておく。

「例えばだ、ランク試験の結果だけで種目をどれにするか判断するとする。そうするとそいつが1番得意なことしか出来ないような選び方にしかならないと思わないか?もしそれを生徒側が気がついたら、なりたい自分、簡単に言うと魔術が上手い自分になりたいと思っている奴が、近接戦の方が向いてるってだけで、その夢への挑戦権を諦める選び方になるってことかな。まあでもそれでも勝たなきゃ意味ないから、俺達みたいな同級生に言われたくらいなら問題ないってことなんじゃないですか?」

「大体正解です~雨宮君はすごいですね~私より説明上手かしれませんよ?~今、雨宮君が言ったように個人の将来を歪めかねないということで、極力生徒側に決めさせる方針なんです~」

(なんともこの学校らしいが、回り道をする可能性もある気がするが気にしても仕方ないだろう。どの道最後に決めるのは本人の意志だしな)

「ならその決める事って例えば何があるんですか?」

キャナルがこれから俺がやらなきゃいけない事を先に聞いてくれた。

(俺もそこは気になるな、わざわざここまでする理由がわからない)

そんな俺達の疑問をユリアーノ先生は少し困り顔で話してくれた。

「それはですね~皆さんプライド高いし~お家柄もいいじゃないですか~?」

ここは3人ともなんの疑問も抱かず頷いている、自覚があるのはいい事だ。

「それで〜この学校の行事って大体クラス対抗なんですよね~だから家の沽券に関わるとかで、親御さん方から負けて苦情が来た事が昔ありまして~」

その後も先生は過去の事例を話してくれたが、長かったので要約すると、こういうことだった。

ある貴族のボンボンが蝶よ花よと育てられ、その結果自尊心が大きくなり過ぎた。そしてクラス対抗戦で自分達が負けた結果、周りからバカにされたそうで、そのボンボンは精神と家に大打撃を受けてしまった。原因はクラス対抗戦での生徒の決め方がいい加減で悪かったなどと言い出し、学校に苦情が来たらしい。そしてその事件以降勝てる編成をするのが暗黙の了解になってしまったと、

(なんとまあ、バカな話だ、そんな事のせいで俺はこんな状況になったのか、、、空いた口が塞がらないとはこの事だ、、、)

周りを見れば、3人ともウンザリした表情をしていた。

「よくある話ではあるけれど、それで学校の方針が変わるってどんだけよ、、、」

「実にこの学校らしいな、、、」

「最悪だ、そんな奴のせいでこんな面倒な事に、、、」

「今も昔もバカは変わらないのね」

4人とも我慢できずに胸中が漏れ出てしまっていた。

そんな呆れ果てた表情の俺達にユリアーノ先生が申し訳なさそうに、

「だからお願いしますね~お二人にこの国の未来がかかっていると言っても間違ってないので~」

そう言って事の面倒差を再認識させてくれる。

「そうですね、このクラスは一歩間違えば内戦の引き金にすらなりそうな面子ですし」

ない、と思いたいが困った事に絶対にないとは言えないので、理解した事を先生に伝えた。

「やっとわかったようでよかったわ」

(元はと言えばお前のせいだがな、、、)

無責任にもアリシアはこう言って来たので、俺は講義の意味を込めて恨めしそうに見た。だがアリシアは全く気にする事なく、

「まあせいぜい頑張りましょう、恐らく最悪の1年になる事は間違いないわ。だって組んだ相手があなたなのだから、この先苦労する未来は想像に難くないわ。……はあ……」

そう言って疲れたように溜め息までつきやがった。

「言いたい事はそれだけか?、、、俺もお前も首にギロチンがあるんだからな!一蓮托生って奴だ。最大限お前も協力させるぞ!絶対に1年完了してこの呪いを解いてやる!」

もうヤケクソ気味に叫んで自分を鼓舞する。もうそれくらいしかやれる事はなかった。

「アーちゃんやる気になったわ、偉い‼︎」

「アデル、お前もなかなかポジティブな奴だな、私達も手伝ってやるから安心しろ」

そうやって俺達3人がちょっと前に向きになったと思ったら、

「ちなみに去年のクラス代表は1組呪いが発動して、未だに昏睡状態なので気をつけて下さい」

ユリアーノ先生が不吉な情報を提供してくれた。

(先生そんな話は聞きたくなかった、、、)

こうしてクラス代表という役を間違いなく大役を仰せつかり、今日が終わった。

その帰り道で話たが、クラス代表の事は可能な限り秘匿する事にし、学校外では口に出さないよう気をつける事にした。

(まあ焼け石に水だろう。どうせ校内でそのうち広がっていつかは外部に漏れるだろうしな)

こんな入学2日で命の取引をする羽目になった可哀想な俺は、明日のランク試験に備えて、今日も昨日と同じく早めに就寝した。

そして俺が自室に戻った時、今夜もまたリビングでは会談が開かれていた。

「キャナル、私は気づいたの、、」

「何にだ?」

「面倒ごとが起こるたびにアーちゃんが強くなるって事に‼︎そしてアリシアさんとの仲も近ずいているって事にも‼︎」

(まだ2日しか経ってないのに、ノヴェルは何を言ってるんだ?、、、まあいいか、いつもの思い込みだ)

「ノヴェルもユリアーノ先生に似て来たな、その顔といい考え方といいあの悪女にそっくりだ」

「う、」

これにはノヴェルも少し傷ついたが、

「っく、この際それでも構わないわ!アーちゃんのためなら喜んで悪女に落ちましょう‼︎」

「おお、言い切った」

この時私は、こう思っておた。

(すまんアデル、私にはもう止めてやれないようだ。これからも面倒ごとに巻き込まれて苦労するだろうが、ご愁傷様だ)

ノヴェルは昔から勝手に思い込み勝手に行動しては自体をややこしくする癖がある。かといって止めようとしたら更に面倒な事になるので、私が上手く誘導して被害を最小限にとどめる様にしているのだ。

誘導するにも目的を知らなければ何も出来ないので、とりあえず情報収集を試みる。

「で、それが分かったのはいいとして、何をする気だ?」

「今日先生が言ってた、クラス対抗戦、私は鬼になるわ!」

(また変な事を言い出したな〜まあ時期的に見てもそれしかないとは思っていたが、、、)

「詳しい話はまた今度するわ、だからその時になったらキャナルにも協力して貰うからそのつもりでいてね!」

「私も何かするのか、、、」

(アデルよ、私もアリシアに振り回させるお前の気持ちが少し分かったよ。結局何も具体的な事を聞き出せなかったが、まあまだ知る機会はいくらでもあるか)

そうしてノヴェルも私も明日のために、自室へと戻って行った。


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