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ノブリスオブリージュ  作者: RFSGN
2/6

悪女の降臨!

場所は移り、訓練場

この学校は訓練場がクラスに1つずつあり、縦125メートル横75メートルとかなり大きいのだが、これがあと14個もあるのでこの建物がどれだけ大きいかわかってもらえるだろう魔術によるコーティングも施されており、ちょっとやそっとじゃ壊れない構造になっている。元要塞らしいし、これくらいはあって不思議ではないだろう。あと他に、魔術投影による環境設定の変更も可能らしい、これは後付けだが、非常に便利なシステムで、訓練場全体を他の場所の風景や地形に変えることができるのだ。

そして最後にもう一つ、すごい機能がダメージキャンセラーシステム、これのおかげで全力でやっても訓練場内であれば、怪我の心配がほぼないので王族などがクラスにいたとしても安心して戦える。

この3つの条件が揃っているのは、こことあと2つしかない、200年の歴史は伊達ではないようだ。

「さて、皆さんさっそく授業を始めたいと思いますが、今日は初めてということで、まあ親交を深めることを目的として、私と鬼ごっこをしましょう~ルールは魔術のみありで武器はまだ危ないので使用禁止とします。そして私に誰か1人でもタッチで来たらまたは一定ダメージ以上で3限は終了とします。わかりましたか?」

「先生それだと簡単でしょ~俺ら魔術ありで先生1人捕まえたらいいんでしょ?楽勝じゃん」

ライルが余裕綽々の笑みで笑っている。他の生徒も皆同じように勝利を疑っていないようだ、それはそうだいくら広いとはいえ22対1だ、誰だってそう思う。だがノヴェルとキャナルだけは違っているようで、

「む、無理よ!あの人を相手にこの人数、練度で勝てるはずない」

「ノヴェル私も同感だ、まったく勝てる気がしない、あんな化け物相手に、ヒヨッコと連携だと?バカも休み休み言って欲しいものだ、、、」

「なー2人とも、お前らの教導官がユリアーノ先生がだったことは、なんとなくわかったが、なんというか、至って普通の人に見えるんだが?」

「そ、そうかアデルは知らないんだったな、すまんちょっと訓練生時代の悪夢が蘇っていた」

「アーちゃん、置いてきぼりにしてごめんね。でも誰だって恐ろしいものはあるのよ」

この2人がこれだけ言うのはただ事ではない、一体何がそんなに怖いんだろうか?美人でお淑やかで、いつも微笑みを絶やさない優しい、先生にしか見えないんだが?

「アーちゃん気を付けてね、絶対突っ込んじゃダメだよ?いくら訓練場で怪我しないとはいえ、当たると痛いじゃ済まないから」

「そうだな、アデルは私達から離れるよ?」

「おい、俺らが鬼なのに、どうすんだよ、、、」

「「それでもダメ‼︎」」

俺の当然のツッコミを2人ともに全力否定されてしまい驚く。

「まあ、クラスの皆には悪いけど、今回は生贄になって貰うしかないわ」

と、俺達が観客になることを決意するさなか、ライルと馬があったらしいダキア・サイベルがこんな事を提案していた。

「先生、捕まえたら即授業終了じゃつまんないから、先生の秘密を一個教えるって事でどうですか?そして俺達が勝ったらその秘密を盾に先生にあれこれいい事してもらおうぜ!男子諸君!」

思春期男子は、怖いもの知らずだ。下心丸出しでなんら恥じる様子なく突貫していく。

そしてその呼びかけにクラスの男子の大半が傾いた。やはり皆まだ頭の中がピンク色の様だ。

「汚らわしい、この殿方には貴族としての礼節はないのかしら?女性に秘密を聞く事がどれだけ罪深いこと思いかしら?」

「ま、まあクレア様さすがに先生もこんな提案飲むとは思えませんし」

「ルシャヤ ベリエルさんでしたっけ?貴女も他人に秘密を聞かれたらどうですか?それもあんな下卑た目をした殿方に聞かれたら、想像するだけで気分が悪くなりますわ」

ライルとダキアに先導された思春期男子達に、クラスの女子の目は汚い物を見るように嫌悪に満ちていた。

先生も当然この提案を断るだろうと思って見ていたが、

「あ、いいですね~面白そうで盛り上がりそうです~」

俺達の予想とは裏腹に先生は、あっさり承諾してしまった。

「え、先生よろしんですの?!」

「マジですか‼︎やったー!先生空気読めるー」

「よくやったダキア‼︎よし俺ら1-2男子全力で勝ちに行くぞー‼︎」

ダキアとライルを筆頭にクラスの男子が団結していく、中々の士気だ。

「その代わり~捕まえられなかったらどうしましょうか?あ、そうだ!こういうのはどうですか?皆さんのいいな~と思う異性を私にひっそりと教えて貰うってことで公平にやりましょう〜」

「そんな!なんで私達まで巻き添いになるのですか?!納得できません‼︎」

「そうですよ先生!男の子達が勝手に言ってるだけです!間に受けないで下さい!」

「あらあら~クレアさんやルシャヤさんは、負けるとお思いで?~、知られて困る殿方がいるんですね~青春してていいですね~」

「な!そんな方いるわけないじゃないですの‼︎」

「私達は先生の心配をしているのであって、決してそんな、好きな人とかいませんから!それに!今日初めてあった人達ばかりなのに、そんな人いるわけないじゃないですか!」

「それもそうですね、じゃあこうしましょう、クラスの異性で1番格好いいと思った人を発表するってことで~」

「なんでそうなるんですの!」

「しかもなぜか発表になってるし、、、」

「もういいですわ!勝手になさって下さいまし!どうせ先生が負けるんですもの!私達には関係ありませんわ‼︎そこまで言うなら私達も全力で行きますわよ‼︎」

側から見れば、ユリアーノ先生の思惑どうりに進み、クラス全員が全力で鬼ごっこに興じようという、流れになっていた。そんな様子を見て俺は

(なんか掴み所のない人だなー)

こんなことしか思わなかったが、

「なんて人!クラス全員の弱みをもう握ろうとしているわ‼︎」

「悪女め!そんなに私達をいじめたいのか‼︎」

うちの2人はこんな言葉を口走っていた。訓練生時代、よほど酷い目にあったようだ。

そんなこんなで1-2全員対ユリアーノ先生1人との鬼ごっこが始まった。

「では準備はいいですね~それでは、鬼ごっこ20分、魔術あり、武器なしタッチか一定ダメージ以上で即終了!よーいはじめ~!」

「うっしゃー行くぜー!」

「先生との、楽しい時間のためにー!」

「おーーーー!!!!!!!!」

「僕は先生の秘密に興味はありませんが、クラスのため働くとしましょうかね、ま、運動したくないから魔術しか使いませんけどね。」

「私をからかった事を後悔させて差し上げますわ!」

「なんでこうなっちゃったんだろ、、、でも授業は授業、全力でやらなきゃ!」

まず男子が突っ込んで行き、女子が後ろで魔術妨害を試みた。初めてなわりには、ちゃんと前衛後衛別れている。それを見ても先生は構わず腕を一振り、魔術を行使する気だ。

この世界の魔術は2種類ある。

一つ目が完成型魔術、使うための動作は、発動したい魔術の詠唱、そして魔力を必要な場所に必要な量通せば、魔術が魔法陣から発現する。これは魔導師であれば鍛錬すれば誰でも使える様になるもので、基本的にこれだけ出来ればいいから聞けば簡単なのだが、やるとなると全然違う。

まず詠唱中術のイメージを固めていないと魔術式が起動しない、さらに起動した式に魔力をまんべんなく行き渡らせ固定する。これにはかなりの集中力が必要で、少しでも乱れれば、威力、射程、範囲が大きく変わる。特に紅魔術系だと爆発もありえ、扱いが難しい。以上から完成型魔術は敵と離れて使うのが定石だ、先生も定石道理、男子が近ずく前に魔術を使う気なのだろう。

それを見て後衛のクレア王女がユリアーノ先生の妨害するために魔術を使った。

「させませんわ!赤き炎よ、球となりて、襲え‼︎ファイヤボール‼︎」

今クレアが唱えたのが、Bランク紅魔術ファイヤボール。紅魔術系は扱いが難しいため、全てがCランク以上で十分な威力を持つ。当てれば無傷では済まないだろう。さすが王族、詠唱速度も魔法陣の構築速度、ファイヤボールの大きさもかなりのものだった。

俺が感心していると横から同じ様な事をノヴェルが言ってきた。

「へー、さすがレウルーラ王家、紅魔術、私でもあんなに上手くできないよ」

「ノヴェよりも上か、俺もファイヤボールは見た事はあるからすごいのはわかるが、なんでレウルーラ王家が関係あるんだ?」

「レウルーラ王家は代々紅魔術との相性がいいんだ。これはアデルも知ってるだろうが魔術は遺伝する。だが血が薄れればその相性も平均化して行く、だから帝国は貴族制の血統重視なんだ。でレウルーラ王家は婚姻相手に紅魔術と相性がいい人間を選び続けている。その結果、クレアは紅魔術の申し子と言っていいだろうな」

キャナルは意外と説明好きで、普段は口数は少ない方なのだが、こういう時は決まって解説が入り助かる。

「解説ありがとうキャナル、さて先生はどうするかお手並み拝見と行きますか」

「解説ついでに、一つ助言だ、アデル屈んで防殻を張れ、そうしないと脱落する」

「なんでだ?この距離でか?」

先生との距離はまだ100メル以上あり、何か攻撃が来たとしても即脱落するほどのダメージを受けるとは考え難い。

「アーちゃんキャナルの言ったとうりにして、私達で守ってあげたいけど自衛だけで精一杯だから」

2人この言いようは真面目なものだったので、言われたとうり屈んで防殻を全力の2歩手前くらいで展開する。

この防殻が2種類目の防衛系魔術と言われるものだ。これは先ほどの完成系とは違い魔術式が複雑に出来てないため魔法陣も必要ない、そのため詠唱なしで使えるものだ。

この魔術は自分の魔力を体外に放出し、その魔力を圧縮、固定、結合の順で防殻を形成する。発動に時間がいらないのが便利なのだが、術者の技量と魔力量が強度に関わるってくるので、個人差がでる。

俺は、婆ちゃんに防衛魔術と砲撃魔術を教わったため自信があったし、全力展開は魔力の消費も大きいため少し手加減して防殻をはった。

「まあ、これだけ距離があれば、このくらいで様子見でいいだろ」

そんな油断しきった状態で横を見ると、ノヴェとキャナルも同じように防殻を展開していたが、2人とも見るからに全力展開である。

次の瞬間、青い閃光が走った、2人を見てとっさに防殻の強度を上げておいて幸いした。

(ズヴァーン‼︎)

雷が落ちた時の音が遅れて耳を叩き、視界が戻る。

間違いなく先生が放った魔術だ。だが何かがおかしい、さっきクレアが撃ったファイヤボールで妨害されたはずだし、そうでなくても詠唱が聞こえなかった、何より威力が馬鹿げていた。

今の一撃で突っ込んだ男子生徒は勿論、後方で魔術による妨害をしていた女子も、俺達以外は全滅だった。

「おい、なんだ今の‼︎一発で全員がやられたぞ‼︎」

「だから言ったろ?だがお前、なんともないのか?」

「そうだよ、アーちゃんなんでなんともないの?私達も訓練生時代に先輩から言われて防殻全力展開したんだけど、防殻ごとやられちゃったんだよ?」

「あー婆ちゃんの稽古は、防衛魔術と砲撃魔術しかしなかったからな」

「なるほど、ゼスチア様仕込みというわけか」

「すごいね!私のより強度高いよ!さすがアーちゃん!」

「そんなことより!今のはなんだ‼︎先生詠唱すらしてなかっぞ?‼︎それにファイヤボールの妨害は?」

「それは私から説明しましょう~!」

さっきまで、100メル離れた所にいたのに、先生の声が後ろからした。

振り向かずともわかる間延びした特徴的な声は

「ユリアーノ先生、いつの間に、、、」

「ち!魔女め‼︎」

「キャナルさんとノヴェルさんは、お久しぶりですね~訓練生時代からですから、半年ぶりくらいですか~やっぱり可愛いですね~虐めたくなっちゃいます~でも、お二人以外の子が脱落してないのは、正直驚きです~防殻ごと潰す気で撃ったんですがね~」

そう言って俺を見た先生の顔は、自己紹介の時に気になった表情だった。どうやら気のせいじゃなかったようだ。

「先生、褒めて頂いたことは、嬉しいですが、先に今の魔術の説明が欲しいです……」

「ああそうでしたね、ではまずクレアさんのファイヤボールをどうしたかをから説明していきましょう~ファイヤボールは威力はありますが、速度はありません、なので単発より複数人での面制圧が主な運用法なんですよ~ですから余裕で避けれちゃうんですよね~」

「でも先生も魔術を起動してたじゃないですか、キャンセルしてたらこんな事にはなってないと思いますが?」

そうやって俺は、一定ダメージをくらい一時的にノックバックで気絶しているクラスメイトを指差した。「それの答えはこういうことです~」

そう言って先生が腕を振ると、目の前に黄色い球体が現れる。先生の魔力色と同じ色なので、これは先生が防殻を球体状に形成したものようだ。

(あーそういうことか、もう答えがわかった)

「なるほど、ファイヤボールを防殻で包んで防いだんですね」

「正解です~ファイヤボールは着弾とともに爆発するので〜正面に貼っただけでは完全には防げません、なので球体状にしたした防殻で覆って防ぎました〜そして防衛魔術である防殻は術者の体から半径5メルまでどこにでも貼ることが出来、発現速度が速いのが売りです~覚えておきましょう~で、皆さんを全滅させたのが、紅魔術と聖魔術の複合魔術、ライトニングストライクです。」

「Aランク!」

初めて見たAランク魔術、予想以上の威力だった。しかも複合魔術相当な高等技術が必要なはすだ。

ユリアーノ先生のレベルがどれだけ高いか一瞬で理解出来た。

「驚くのはまだ早いよ、アーちゃん」

「ああ~この魔女はAランク魔術を無詠唱で、しかも防殻を派生展開しながらの発射だぞ、それをあの一瞬でやってのけたんだ」

「言われてみれば、、、でもなんで無詠唱で出来るんだ?完成型は詠唱が必要なはずだろ?」

「それはですね~完成型でも何回も使ってるうちに防衛魔術ほどではないですが、簡略化出来るんですよ~要するに慣れですよ慣れ」

「聞きたいことと違うんですが、、、すごいことだけはわかりました」

「アーちゃん今度は私がちゃんと説明するね。実は慣れっていうのは間違ってないの、完成型が詠唱を必要とするのは、イメージを固めて魔術式を起動することなのは知ってるよね?でも慣れてくるとイメージが初めから固まってる状態なの、だから魔術式を思い浮かべるだけで起動できるのよ。同じ理由で魔法陣への魔力供給も感覚的なものでだんだんわかってくるから、使えば使うほど上手く早くなっていくの、わかった?」

「まあなんとなくは、でもそれって例えると目を瞑ってコップに水を少な過ぎず、多過ぎない様に入れるってことだろ?慣れでどうにかなるのか?」

「アデルお前の例えはアレだが、妙に納得できるな、、、」

「アデル君は直感が冴えてるタイプですね~」

「でもアーちゃん、この先Sランク以上になりたいなら出来るようにならなきゃね」

「なんでSランク以上になりたいなら出来るようにならなきゃいけないんだ?」

「それはな、Sランク以上の認定を得るためにはAランク以下の完成型魔術を無詠唱で発現できるのが、最低条件なんだ」

「ってことは!先生はSランクってことか?」

「うーん、今度はハズレですね~」

ここでノヴェルが1番大事なことに気がついた。

「そんなことより先生どうするんですかこの状況?!私達以外全員脱落じゃないですか!」

「そうですね~じゃあ、はい、これで終了ですね~」

意味が分からず首を傾げていると、先生が近づいて来て

「え、」

俺に抱きついてきた、胸に当たる何か柔らかい感触に戸惑ってしまい俺は何故か顔を背けてしまう。

(ダメだ忘れよう、今の感触はダメなやつだ!覚えていたら良くない事が降りかかるタイプのものだ。)

そうやって逃れようと必死でいると、

「な、なにやってるんですかーー‼︎」

「こら、早く離れろ!」

すぐにノヴェルとキャナルが先生を俺から引き剥がしてくれたため助かった。

昔から年上の女性が俺はすこぶる苦手で、原因は恐らく姉のせいだろう。俺には8歳離れた姉がいるためそのせいだとわかってはいるが、未だに克服出来ていない。

「いやん、もう2人とも嫉妬しちゃって~可愛いんですから~本当に弄り甲斐がありますね~」

「先生!あなた教師なんだから誰かに見られて誤解されたらどうするんですか!主にアーちゃんが!」

「この悪女め!アデルには手を出すな!」

「いいんですかそんなこと言って~アデル君に訓練生時代のあんなことやこんなことを話ちゃいますよ~?この写真付きで!」

「きゃーやめて下さい!ていうかなんでそんな写真持ってるんですか!」

「だから嫌いなんだ!」

なるほど訓練生時代のあれやこれは気になるが、その事でいつもからかわれていて、2人がユリアーノ先生を苦手になった事は理解出来た。で、2人の反応を見て楽しめたのか、写真をしまって笑っている。

「さてでは勝者には約束をまりましょうか〜先生の秘密を教えてあげちゃいましょう〜」

どうやらこれで終了ということらしいが、今度は上から声が降ってきた。

「では、そろそろ良さそうですね」

そう言って、階段を一段一段下るように上から空から降りてくる人物がいた。

光を反射する白金色の髪、白い肌、端正な顔立ち、強い意志がこもった瞳、そのどれもが、人間離れしている少女アリシアだ、きっと天使が空から降りてくるのはきっとこんな感じなのだろうそんな事を思ってしまうほどだった。

「アリシアさんもいたんですね~なるほど上に逃げた訳ですか~内のクラスの子はいい子ばっかりで育て甲斐があります~アリシアさんなら内緒話、私の秘密教えてあげても大丈夫そうですね~実を言うと私、軍のお偉方から王族2人の護衛として、お呼ばれしたんです~だから他の先生方よりちょっと強いかもしれませんね~で、皆さんを気絶させたのもちゃんと理由あるんですよ~」

「狙ってやっていたのか、、、」

俺にそんな事が出来るようになるのはいつなんだろうと思い、少し未来に絶望してしまったが、気をとり直して話を先に進める。

「で、先生なんで気絶させたんですか?」

「それはですね~この子に夢を食べて貰うためです~」

そう言うと先生の頭の上に白くて丸いフワフワした生き物が現れていた。

「え、なにその白い子、目がちっちゃくて可愛いー」

ノヴェルが触ろうとしたら消え、いつの間にか俺の頭の上に移動していた。

「うふふ、アデル君が気に入ったみたいですね~その子の名前はフィオさんです、私の使い魔さんなんですよ~フィオさんは寝ている人の夢を食べて私に見せてくれるんですよ~あー食べても夢は消えませんし体に害もないので安心して下さいね~で、夢と言っても欲望や企みも含まれるので、王族を狙う輩が紛れてないかと、ライトニングストライクを対処できるかどうかで試して、保険としてフィオさんに調べて貰ったんです。結果は白でしたので安心ですね~」

「なるほど、でもそれじゃあ俺達は調べなくていいんですか?」

「ノヴェルさんとキャナルさんは、訓練生時代に何度か覗いていますし、信頼出来る子達ですから白です。アリシアさんも関係がないことはわかってますので最初から白です。理由は伏せさせて頂きますがね~で、アデル君は真っ白です~」

「え、真っ白?」

「はい、それはもう妬けちゃうくらいに真っ白ですよ~だって~私の教え子2人が世界で1番信用してる子が、悪い子じゃないと思わせてくれるには十分すぎましたし~2人の夢にはいつも貴方が出てくるんですよ~?ずーと気になってたんですから~」

言われて2人を見ると俯いていた。耳が赤い気がしたが気のせいだろうか?下を向いてそっぽを向いていて表情が見えない、だが俺も少し照れくさくて覗きこむのはやめておいた。

2人がそんなふうに思ってくれてるのは、素直に嬉しい、そんな俺達の様子を先生は嬉しそうに見ていた、オモチャを見つけたといった顔だ。

「あーん、アデル君も可愛いです~早く私のオモチャにさせて下さい~」

「あの先生それは嫌です、それよりクラスのみんなはどうするんですか?」

この人のオモチャになると、それはキャナルやノヴェルのように弄られる状況と同じになるということなので、キッパリとお断りし、話題を逸らすことにした。

「大丈夫ですよ~3限終了のチャイムと同時に皆さん起きますから~」

といった瞬間、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る。すると先生が言ったとうり、寝ていた生徒達が起き始め、フィオはいつの間にかまた消えていた。

「ん、なんで俺床で寝てるんだ?」

「そういえばいきなり目の前が光ったと思ったら、そのまま意識がなくなって」

「この状況、先生の魔術をくらったんですわ」

「すごい威力でしたーあんなに距離があったのに一撃で全滅だなんて」

男子は全く分かっていなかったが、少し距離があった女子は何が起こったか理解出来ていた。

「ちぇ~じゃあ勝者なしか~」

ちゃんと全員、特に異常もなさそうで、これで一安心と思っていると、

「いいえ~勝者は雨宮君ですよ~皆さん、なので先生の秘密を教えちゃいました~私明日から何を言われるか、不安で不安で夜も眠れなさそうです~」

と、起きた生徒達に妙に切迫感を漂わせながら、そんなことを言い出したから、さあ大変。

「ちょ、先生そんな誤解を招きそうな言い方やめて下さい!俺だけにじゃなくこの3人にも言ってたじゃないですかー!な、お前らも聞いてただろ?」

必死になり、誤解を解くためにノヴェル達に証言して貰おうと話をふり助け舟を要求するが、

「アーちゃん私達の雪辱を今こそ晴らして!」

「アデル、ガンガン要求してどんどん困らせてやれ!」

「私は特に興味もなかったから忘れたわ」

残念なことにノヴェルとキャナルは、俺の意図を汲んでくれていなかった。

こんな会話を聞いた男子生徒がどういう態度を取るかは明白だ。

気がついたら男子生徒全員から囲まれ退路を絶たれしまっていた。

「おい、雨宮俺と友達になろうぜ?」

「俺も仲間に入れてくれよ、それはそうとちょっと外行こうか?」

「仲良くなるためにはまず話し合いだよね~?」

皆に笑顔でことなことを言われたが、その目はどれも笑っておらず、

「お、おう、友達になるのはいいが、お前ら目、怖いぞ?」

そして女子達からも、不名誉な扱いを受けてしまう。

「雨宮君、不潔です!一体先生に何をさせる気なんですか‼︎」

「ふん!このクラスの殿方には碌な方がいらっしゃらないようですわね、サイテーですわ!」

屑を見るような目で俺を見てきている、入学初日でこの扱いは初めてだ。泣いていい?だが必死に誤解を解くべく努力する。

「おい誤解だ!俺は何も要求してないしする気もない‼︎」

「あ、こいつ聞いたことは否定しなかったぞ‼︎」

「吊るせ!ー」

「裏切り者に鉄槌を‼︎ー」

「だから違うって言ってるだろ!ー」

「問答無用だー!1人にいい思いさせてたまる‼︎ー」

努力の結果は虚しく俺は、休憩時間中男子達に追いかけ回されるハメになってしまった。だが追いかけっこを始めて5分たった頃、ユリアーノ先生の鶴の一声でやっと解放された。

「はーい、そこまでですよ~4限目は2オン2でペアを組んでトーナメント形式で模擬戦をやりますよ~で、そこで勝ったペアには雨宮君に何でも一つ教えて貰えるってのはどうですか?女子の皆さんは関係ないでしょうから、最近できた新しいあの店のスイーツバイキング権のセットを差し上げますが、どうですか?やる気出ましたか?~」

「おお~さすが先生話がわかる!」

「きゃー本当にあの店のスイーツバイキング権ですかー!」

何というか、このユリアーノ先生は本当に人を焚きつけるのが上手い、よくも悪くもだが。

「さあ皆さん、揃ったところでペアを決めちゃって下さいね~」

そう言われたが、俺は先の一件で完全にハブられてしまった。

周りを見渡して男子の集団に入ろうとすると、すごい睨まれながらこう言われたてしまった。

「ち、裏切り者はあっちいってろよ」

「絶対、勝って聞き出してやる、覚悟しとけよ?」

とまあこんな感じで、男子がダメなら女子は、と思い目を向ければ、明らかに避けられていた。

こんな状況で声を掛けるなんて不可能だろう、頼みの綱のノヴェルとキャナルはスイーツバイキングの誘惑に負け、ガチで勝ちに行くため2人でペアを組んでしまっていた。

朝の会話はとうに忘れたらしい、なんと薄状な、、、でも待てよ?確かこのクラスは総勢22人で男女同数のはずだ、つまり俺の他にもう1人あまりがいるはずだということに気がつき、あたりを見回して探していると、後ろから声をかけてくる奴がいた。

「あなた、誰も組んでくれなかったみたいね。そんな可哀想なあなたと私が組んであげてもいいわよ?感謝なさい」

俺はいきなり殴られたような衝撃に襲われた、それはなぜか、どこまでも人間離れした美しさを持つ少女がすぐそこにいて、イメージとは懸け離れた言葉を俺に向かって放ってきたためだった。

俺はその場で口を開けて固まうほどの衝撃だった、、、が、

その反応が気に食わなかったのか、睨まれてしまい、眼光の鋭さに恐怖に正気に戻される。

「ベルリネッタさん、ペア組んでくれるのはありがたいので、お願いします」

さっきの言葉は何かの間違いと思い忘れ、懇切丁寧に対応するが、

「その呼び方、気持ち悪いからやめて頂戴、秘密をネタに女性教師を脅すようなゴミを拾ってあげてるのだから、慈善活動よ気にする必要はないわ」

どんどんこの美少女の天使のようなイメージが崩れいていき、俺は奈落の底蹴り落とされた気持ちでいた。

そんな俺をよそにアリシアは、本気でゴミだと思っているのか、声色にも怒気をはらんで汚らわしいものを見る目だった。だが俺はそんな目を向けられる様な事はしていない、自分の名誉のため反発する声をあげる。

「おい、それはお前も知っててやってるだろうが!それとベルリネッタがダメならなんならいいんだよ?アリシア様で宜しいのでございますか?」

あまりのいいようにこちらも対応が荒々しくなってくが、

「あなたに敬語を使われると、悪寒が走るのはなぜなのかしら?身の危険を感じるわ絶対にやめて」

アリシアの態度は全く変わらず、本当に酷い言い草だった。もう今までのイメージが完全に崩れ、俺はやけっぱちになってしまっていた。

「だあーもうメンドクセー!じゃあアリシアな決定もう知らんお前がピンチでも絶対助けねーからな‼︎」

「はあ、呼び捨てが1番まともに聞こえるだなんて、すごいわね、敬語を使うと変人に見える人なんて私初めてだわ。それに私を助けると言っていたけれど、私はあなたを誘った時点で前と後ろ両方を敵だと思ってやらないといけない不運を呪うと共に、覚悟を決めているわ」

こいつはなんだ?人間罵倒機械か?よくそんなにすらすらと人を罵倒できるものだ、それに皮肉も混ぜてくるだと?最初の天使のような美しいイメージはどこえやら、真逆の悪魔のうようなイメージが俺の中で完成してしまった、それもサタン級の最悪の悪魔のイメージが

「なるほど俺は最初から敵だと思っていたと、、、マジで背中撃つぞコラ‼︎」

「ついに本性を現したのね、いいでしょうまずはあなたから切り捨ててあげる‼︎」

そういって俺達は睨み合った、これが俺とアリシアの学生生活初の会話であり、ペア結成の瞬間であった。


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