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隣の席のイケメンお姫様  作者: 井邑ハイリ
5/5

あれから7ヶ月ほど経ち。

私はお気に入りのダッフルコートを着て、待ち合わせ場所へ走った。


「円香、美嘉。おはよう!」


「あ、優貴。おはよう。寒いなぁ」


「ほんまに。寒すぎて凍るわ」


「おはよう。そりゃクリスマスだしね。っていうか、優貴、マフラーは?」


美嘉の問いに私は「忘れた」と肩をくすめた。


「あほ! 風邪ひくで」


円香は私の頭を叩きながらもハンドバッグから携帯カイロを出してくれた。


「ごめん、ありがとう」


私はありがたく受け取ると、改めて周りをキョロキョロと伺う。


「あれ? 男連中は来てへんの?」


「そんなわけあるか。優貴がビリや」


後後から頭にかかる重みと聞き慣れた声に振り向くと、そこには久野君、改め、樹が立っていた。

その後ろからは健人くんと、あの後、円香と付き合い始めた給前きゅうぜん たかしくんがそれぞれコンビニの袋を手に現れた。


「まじか、ごめんな。待たせてもうて」


私があえて樹を無視して2人に謝ると、頭にかかる重みがぐっと増した。


「痛い痛い痛い痛い痛い!!」


私が暴れると、ニヤニヤしながら離れる樹に、思わず肩パンを入れる。うん、大げさに見えるほど痛がる樹に私は満足した。


「相変わらず仲良しやね」


「本当に。羨ましいよ」


隆くんと健人くんの言葉に「いや、2人だってラブラブやんか」と返すと、円香は恥ずかしそうに隆くんの腹を殴り、美嘉は「そんなことないよ」と笑顔で健人くんの腕に自分の腕を絡めた。


「出た、ツンデレ。円香かわい、ぐほっ!!」


隆くんの言葉を遮るように飛び出した円香のパンチに苦笑を浮かべていると、後ろからふわりと首に何か暖かいものが巻きついた。


「ほら、つけとけ」


振り返ると樹が自分の白いマフラーをぐるぐると巻いてくれていた。


「ええよ、樹、寒いやろ?」


私が返そうとすると、樹は「ええからしとき」とそのまま私の肩を掴み、ぐっと引き寄せた。


「代わりにお前が俺のカイロや」


恥ずかしくなって、思わず少し上にある顔を見上げると、案の定、樹も顔を真っ赤にさせていた。


「、、、しゃーないなぁ」


照れ隠しでぼそりと呟くと、先に歩き始めていた4人を追いかけるように2人で歩き出した。


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