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彼方で綴る英雄戦記  作者: セイラム
終焉へ向けて
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エピローグ

 英雄はその役目を終えた。

 壊滅したミズガルズも、次第に復旧が進んでいる。


 ならば残る物語は蛇足の極み。

 ここから先に、華やかな英雄譚は存在しない。



「もう、出るのか」

「ああ。むしろ遅いくらいだ」


 ミズガルズ第一仮設拠点。

 その一端で、玻璃と彼方は向かい合っている。


「英雄がいつまでも国に残っていたら待っているのは昔の焼き直しだ。さっさと離れたほうが、なぁ」

 脳裏に浮かぶのは、かつての英雄たち。

 

「させんよ。今回は俺やエクレールがいる。繰り返しなど、させるものか」

 玻璃はその瞳に決意を灯して語る。

 俺が、俺たちが変えるのだと。


「そうか、頑張れよ」

 どこまでも軽く、彼方はそう言って去っていった。

 玻璃はそれを引きとめようとはしない。

 

 彼方も玻璃も、己の我欲に従っているのだと理解しているからこそ。

 やりたい人間がやればいい。

 それが、玻璃の理念だから。



 リーリエ、エクレール、玻璃は国内へ残った。

 輪廻、クリミアはいつの間にかその姿を消していた。


 彼方は行くあてもなく、その足を動かす。



 ここから先は、英雄譚ではない。

 故に語るは蛇足であり、記す必要など微塵もない。


 英雄はその役目を終え、ただの人へと変化した。

 だからこの物語はここで終わる。



 英雄戦記はここで閉幕。

 これより先は、彼方で綴られる只人の物語なのだから。

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