真実はどこまでも残酷だ
今宮彼方は想起する。
強制的に刻まれた、“影の少女”の記憶を。
不当に全てを奪われた怒り。
親しい者を失った悲しみ。
力及ばず、なにもできなかったという無力感。
そして一枚の静止画に記された怪物。
彼女の全てを奪い破壊した元凶。
それは全人類がよく知る存在。
忘れようにも忘れられない、恐怖の象徴。
星喰獣の姿が、そこには映し出されていたのだ。
彼方は思考する。
今までの情報と、湧き上がる謎を照らし合わせる。
軍服の男は、星喰獣を従えていた。
異形の怪物は、複数の人体を組み合わせたような姿をしていた。
影の少女は、こちらに対して強い悪感情を持っていた。
何度も行われてきた、英雄の召喚。
英雄と同種の魔法。
網膜に焼きついた、悲劇の景色。
影の少女の、こちらへ対する強い憎しみ。
「………………はぁ」
彼方の口から、ため息が漏れる。
わかっている、もうどうしようもないほどに証拠は揃っているのだと。
エクレールは、もう正解にたどり着いているだろう。
玻璃は、義憤に駆られているころだろうか。
リーリエはあの性格だ。導き出した答えを拒絶しているに違いない。
彼方自身も、他者にこのことを広めようとは思えなかった。
無駄な迷いや重荷を背負うべきではないと感じたからだ。
正解にたどり着くのは、この四人だけで十分だ。
今まで戦ってきた敵の正体が“過去の英雄”などと、知るべきではない。




