ユウVSレオン
決勝戦の朝、裕が屋敷を出るとルイスが外で待っていた。
「おはよう」
「あれ? なんでルイスがいるんだ?」
「た、たまたまよ。別にあんたがまた遅刻するんじゃないかって心配した訳じゃなくて、ちょっと話をしながらいきたいな。って訳でもないんだからね」
あまりにも露骨な言い回しに裕はため息をついた。
本当にこんなこと言うのがいるとは思わなかった。
そう思うと、少し意地悪でもしてやろうかと悪戯心もわき上がってくる。
「そうか。残念だ。俺はルイスが迎えに来てくれて嬉しかったし、話をしながら行きたいなと楽しみにしていたのに。残念だ」
裕がわざとらしくガッカリした素振りを見せると、ルイスは一瞬きょとんとした表情を見せてから、手をわたわたと振り始めた。
「あ、いや、そうじゃなくて、別にそういう意味じゃなくて!」
「うん。どんな意味でもルイスと一緒に行けるのなら、嬉しいよ」
「バ……バッカじゃないの。もう……仕方無いから一緒にいってあげるわ」
真っ赤な顔で、しおらしくなってしまったルイスを見て、裕は苦笑いしていた。
(意地っ張りだなこいつも。ま、人に泣くところを見せない辺り。そういう奴か)
きっと話をしたいのはレオンのことだろう。
もしかしたら、何か対抗策を考えているのかも知れない。
「魔法使いから見て、レオンの魔法はどうだった?」
「裕の予想通り魔法カウンターは身体の周りに魔力をまとわせて、接した瞬間集まってカウンターか盾になるようになっているわ。だからこそ、ほんの僅かなタイムラグがある。でも洒落にならないのが、魔法カウンターが使えなくても、普通に魔法は使えるってこと。カウンターがダメでもある程度の防御術式を組み立ててくるわ。本当に魔法使い殺しよ」
「なるほど。やっぱりあのやり方で良かったんだな。となると、確認しておきたいんだけど、あいつの緑色に光ってたけど、あれ回復魔法だよな?」
「そうね。流血が止まっていたし。ただ、不思議なことに傷を受けていない場所にも魔法をかけていたし、体内にも恐らく魔法をかけていたこと」
「体内にも回復をかけ続けないと、負担で倒れるからな。あの技」
「え? もしかして、また分かったの?」
まるで自分もやってみたと言わんばかりな裕の言葉に、ルイスは目が点になっていた。
裕はポリポリと頬をかくと、ルイスの額に人差し指をそっと当てた。
「なっ、なに!?」
「頭ってのはよく出来ていてさ。自分が壊れないように力をわざと制限するんだ」
「へ?」
「本物の全力を出すと筋肉が千切れたりするし、瞬間的な力は続かないだろ? 全力疾走を二十秒くらいは出来ても五分とかは無理だ。でも、常に回復魔法でボロボロになっていく身体を回復させ続ければ?」
「あ、なるほど。常に全力が出せる。……でも、頭の制限はどうやって外すの?」
ルイスの疑問は当然の物だ。リミッターを外せば良いという大前提が、そもそも難しい。普通にがんばっても出来る芸当じゃない。
つまりは普通じゃない何かが必要となる。
「頭の中がダメなら、外から動かしてやれば良い」
「まさか……」
「そう。あいつが言っていた剣帝の一撃という意味。あれはまさにレオンがレオン自身を魔法で剣帝として操っているんだ」
「そんなメチャクチャなこと……」
「うん。実際メチャクチャだった。昨日帰って試したら、あまりの勢いと負担に腕が吹っ飛んだかと思ったからな」
裕は笑いながら手をぷらぷらと振ると、ルイスが呆れた視線を送ってきた。
「あっさり言うわね……」
「うん。だけど、ギリギリで俺は剣帝に追いついた。後は追い越すだけだ。ルイスが俺に魔法を教えてくれただけじゃなくて、レオンの本気を引き出してくれたおかげで、俺の勝機が増えた。ありがとう。必ず俺がレオンを倒す」
「……ありがとう。応援してあげる」
「おう。任せとけ」
会場が見えると、裕は歩みの速度をあげて、気付いたら走り出していた。
○
裕の準決勝の相手はどこかの貴族のようで、赤い派手なジャケットに、竜がまきついた装飾の施されたレイピアを得物にしていた。
戦闘フィールドは平原。逃げ隠れが出来ないため、インファイターである裕にとっては最も戦いやすいフィールドの一つだ。
「我はハイデリアル家次男、バール! キラーホーネットの異名を持つ者なり! 貴公も名を名乗ると良い」
「宮永裕だ。殺人蜂が相手か。レオンと戦う前に準備運動になりそうだ」
「こ、この我を相手に準備運動だと!? 万死に値する!」
バールの名乗りに対して裕が挑発を返すと、バールは顔を真っ赤にして怒り出した。
ゆでだこっぽくなったバールに裕は小さくフッと笑った。
準備運動だ。そして、試合を見て居るであろうレオンに対する宣戦布告をする。
通牒する文章は《俺の技も見せてやる。お互いに言い訳は無しだ》。
真っ直ぐ突っ走ってくるバールに向かって、裕はゆっくり歩を進めた。
まるで、誰もいない道を歩くかのようにゆっくりと、景色を楽しむかのように進んで行く。
「この我を敵に回したことを後悔するが良い!」
バールのレイピアが裕に向かって突き出される。その一撃を裕は僅かに身体を反らして避けた。
その刹那、裕の身体が淡い輝きを纏い、刀の柄と鞘に手をかけた。
その後に見えた一瞬の銀閃の後、鞘に刀が収まる音が鳴り響くと、裕は刀から手を離してそのまま再度真っ直ぐ歩きだした。
「何という速度! だが、逃さぬぞ!」
「何言ってんだお前?」
「我を見下したことを許さぬと――」
「自分の身体をよく見てみな」
バールの怒声に裕は振り向くこともなく応えた。
まるで既に勝敗が決したことを知っているかのように裕が振る舞っている。
その様子にバカにされているとさらにバールが激昂するが、彼の表情は一瞬にして青ざめた。
「そんなので我を油断させようなどと……むっ? 足が動かぬ? なっ!? なんだこれは!?」
上半身の向きと下半身の向きが腰を境目に正反対になっている。
足は後ろを向いているのに、身体は前を向いている。上半身と下半身の向きが百八十度異なっているのだ。
「斬られたことすら気付かなかっただろ?」
「なっ……あっ……ああああああ!?」
裕の言葉で斬られたことを自覚したバールが野太い悲鳴を上げ倒れた。
裕がレオンの技をもとに編み出した、神速にまで辿り着いた抜刀術だ。
「黒歴史ノートにもあった技を使えるようになるなんてな。抜刀術神風とか懐かしいぜ」
裕が自嘲気味に笑うと結界が消えて、シーンと静まりかえる会場に景色が戻った。
皆が呆気にとられているのか、口を開けたまま固まっている人が多い。
そんな中、控え室に続く廊下からレオンが拍手をしながら近づいてくる。
「君の気持ちは受け取った。ユウ君」
「あぁ、これで俺も同じくらい手の内を見せられたかな?」
「もちろん。ただ、勘違いして欲しくないのは、僕の手の内はあれだけではないということだよ」
「知ってるさ。お前もあれが俺の全てだと思うなよ?」
レオンは裕の勝利を祝わなかったし、裕もレオンに勝てとは応援しなかった。
もはや決勝で戦うことが当然のように思っている二人にとっては、目の前の勝利よりも、相手が自分より強いことを願っている節があった。
誰よりも強い相手を切り伏せる。その強さへの欲望をさらに強めたかのように、二人は口端を裂けそうになるほど吊り上げた。
(俺が)
(僕が)
((――勝つ!))
○観客side
ルイスとベム爺は裕の準決勝戦を横に並んで見て居た。
「相手はレッドキラーホーネットのバールか。結構厄介な相手ね」
「そうだな。スピードを活かしてのヒットアンドアウェイが得意な奴だ。それと、挑発して怒ると速度が上がる変わった選手だったな」
バールがレッドキラーホーネットと呼ばれるのは、怒りですぐ顔を赤くし、赤くなるほど突く速度が上がるせいだった。
一旦頭に血が上れば、貴族のお坊ちゃまとは思えないほどの力を発揮する。怒りで頭のリミッターを外せる希有な人間だ。
「あ、始まった。って、なにやってんのよユウ! いきなり怒らせた!?」
「やっちまったな。って、ミヤ坊のやつ普通に歩いてるぞ!?」
開始数秒でレッドキラーホーネット状態になったバールに対し、悠然と歩いている裕を見て、ルイスもベム爺も大慌てをした。
仮にも準決勝の相手だ。弱い相手ではないし、かなりの手練れだ。
そんな相手に対して、裕は無防備すぎるように見えた。
だが、そんなざわつきは裕の一刀ですぐに消えた。
「今見えた一瞬の光……」
「な、何が起きたんじゃ?」
「あれが裕の言っていた限界を超えた技……」
驚きすぎて立つことも出来ないルイスは、静かに立ち去る裕の背中を見つめて身体が震えるのを感じた。
「ベム爺。レオンが初めて倒れるかもよ?」
「……かもしれん。あの坊主……。どれだけ強くなるつもりだ……」
一万を超す観客は試合が終わってもずっと黙り続けている。
司会が必死にレオンの試合を盛り上げようとするが、会場内の人間にとってレオンの準決勝に対する興味は完全に消えていた。
全ての興味はすべからく剣帝レオンと突如現れた新星宮永裕の決勝戦に集まっていたからだ。
そんな空気の中、誰かが呟く。
「あいつは……剣聖だ」
理にまで至った剣の達人として、剣帝に比肩する称号が裕へと送られる。
その誰か呟いた一言は瞬く間に人々に感染し、決勝戦が始まる頃には会場の皆が同じ言葉を叫んでいた。
「ポッと出に負けるな剣帝レオン!」
「剣帝に初めての泥をつけてやれ! 剣聖ユウ!」
そして、その言葉はルイスやベム爺にも感染していた。
「剣聖ユウ! 私が魔法を教えたんだから負けたら承知しないわよ!」
「剣聖が生まれた瞬間、剣帝とぶつかるなんてな! 人生は長生きするもんだ! どっちも本気でやってやれ!」
会場中の熱気が最高潮に達しているせいで、司会者の声は完全にかき消されていた。
○祐side
司会者がレオンの勝利を告げた声を聞いて、祐は控え室の椅子から立ち上がろうとしたら、そのまま前のめりに倒れてしまった。
「あれ? おかしいな? 足に力が入らない?」
不思議に思って足下に視線を移すと、足首から先が消えていて、太ももから下も半透明になっていた。
「身体が消えてる!?」
半透明だった太ももが消え、ついには胸辺りまで透明化が進んでしまっていた。
レオンが勝利を決めて、次が彼との決勝戦だというのに、このままでは戦えない。
それでも祐は腕で地面を這いながら、会場へと向かおうとした。
このままでは逃げたと思われる。
それだけは思われたくなかった。そして、自分は消えてしまうかも知れないが、最後に一度くらいは剣を合わせてみたい。その気持ちはもはや執念のような物だった。
「くそっ! なんで! なんでこんな時にタイムリミットなんだよ! くそったれ!」
運命を呪う言葉も、消えゆく身体を止めることは出来ず、ついには腕まで消えてしまった。
「レオン! すまねえ!」
祐は残された最後の力を振り絞り、伝えられた言葉はそれだけだった。
○
次に祐が眼を覚ますと、そこは自宅のベッドの上だった。
スマホで日時を確認すると、異世界に飛ばされた日の翌朝にしかなっておらず、二週間を過ごした日々は夢だったのかと思ってしまうほど、現実は何も変わっていなかった。
「……良い夢だったな」
とは言う物の、祐の眼は悲しそうに伏せられていた。
夢はいつだって一番良いところで終わる。そんな理不尽なジンクスに祐はため息をつきながらベッドから降りた。
そして、何も変わらず、何の変哲もないただの日常へと戻っていく。
試しに小声で呪文を詠唱してみるが、魔法が出ることもなかった。
「……だよね」
ただ、どうしてもあの甘美な夢を祐は忘れることが出来ず、学校に行った祐はちょっとしたオタク友達に夢の話をしてしまった。
「なぁ、ボクシングとかでさ血が出るまで殴り合っても、試合が終わったら怪我もなく元通り。みたいな感じになったら、面白いと思うか?」
「んー……どうかなー。ボクシングはわかんねーけど、どれだけ派手に喧嘩しても怪我せず元通りっていうのは、後腐れ無くて良さそうだな。あ、いや、別に喧嘩したい訳じゃないけどさ。あぁ、でも、それだと喧嘩っていうより遊びみたいだよな。ゲームとかってそうだろ?」
「そうだな。本当にそう思う。遊びみたいだよな。うん、あれは夢の遊びでしかないんだ」
「祐? どうしたんだ?」
「なんでもない。ちょっと面白いアニメをみつけてね。戦争したり戦ったりしているのに、どれだけ傷ついても死ぬことはない。だから、戦いがスポーツとか遊びみたいになってるアニメをさ」
「へぇー」
あまり興味が無さそうに相づちを打たれた祐は笑って話題を誤魔化すと、レオンやルイス達との出来事を頭の隅に追いやった。
(本当に……良い夢だったな)
そう思わないとやっていられないほど、祐はレオンとの戦いを渇望していた。
ただ、その渇望があまりにも非現実的過ぎて、叶わないことも理解していた。
そうやって出来た心の穴を埋めるため、祐はその日家に帰ってから、ずっと自宅の道場で木刀を握っていた。
「全身の気を練り、身体の中から外へと流し、外へ漏れた気をもう一度取り込む……」
ゆっくりと心を落ち着かせながら、木刀を握る手に力を入れていく。
「自分の動きをしっかりイメージして、イメージに沿って自分が剣を振る」
自分に言い聞かせるように、剣を振るい始めた祐の剣筋は真っ直ぐで、強く、美しいものだった。
基本に忠実な動きながらも、洗練され、ムダのない素早い動き。
ムダだとは分かっていても、頭がレオンの対策を考えてしまった結果だった。
「……やっぱり、この世界は退屈だよ。お前が羨ましいぜ。レオン」
目の前にいないライバルに向けて祐は語りかけると、むなしさに耐えきれず、木刀を片付けて自室へと戻った。
そうして、ベッドに倒れ込んだ祐は退屈さに負けて眼を閉じた。
もしかしたら、今眠ったらもう一度あの世界へ行けるかも知れない。
そんな淡い気持ちを抱いていると、目の前にベム爺の打った剣がちらついた。
「え?」
剣だけではない。杯に入った白く輝く液体が真っ暗な瞳の裏に映っている。
レオンの言っていた願いを叶える聖杯だと、祐は直感的に理解した。
(俺はレオンと戦いたい! ルイスからも魔法を教わりたい! あの世界で俺がどこまで通用するのかもっともっと試したい! 俺をあいつらの所に連れて行け!)
暗闇の中、願いを叫びながら聖杯に向かって祐が手を伸ばすと、白銀の液体が祐に向かってこぼれ落ちた。
○
祐の目の前からまばゆさが消えると、聞き覚えのある男の声が聞こえた。
「おかえりなさい。ユウ君」
「レオン!? 剣帝レオンか!?」
「はい。剣帝レオンは僕ですよ」
「一体どうして? 何がどうなってるんだ?」
「僕が聖杯を使って、もう一度願いを叶えたんです。君とこれからも何度でも戦いたいと」
レオンの手の中には二つに割れた杯が乗っていた。
闘技大会の優勝賞品が聖杯だったことを思い出した祐は、それがどういう意味なのかすぐに理解した。
「ちっ、二戦目は俺の不戦敗か」
「そうですね。大会は終わりました。ですが、大会の時間もあまっていますし、エキシビションマッチをしませんか? 賞品の聖杯は僕が使ってしまったのでありませんけど」
まるで祐の帰還を待っていたと言わんばかりに、レオンは祐に向けて刀を差し出した。
その刀を見て、祐の胸の中にあった疑問やモヤモヤは全て切り払われ、迷うことなく剣を受け取った。
「どうでもいいさ。お前と戦える。それだけで十分だ。勝ち逃げされなければそれで良い」
「僕もですよ。不戦勝で勝ったと言われ続けるのはしゃくに障る」
そうやって祐がレオンから剣を取った瞬間、静かだった会場から剣聖コールがわき上がった。
大盛り上がりする会場は観客達の振動で僅かに揺れ、ちょっとした地震が発生しているかのようだった。
「一体何があったんだこりゃ。それにみんな急に剣聖って言い始めたけど、なんなんだ?」
「ユウ君の剣に皆が魅入られたんです。僕の目に狂いはなかった」
「え?」
「あなたは最強の剣士である称号の一つ、剣聖を皆から与えられました。闘技大会で優勝していないのに、あなたが見せた戦いが最強クラスの使い手だとみんなに思わせたのです.。あなたが戻ってこられたのは、僕だけの願いじゃない。きっとここにいる一万人を超える人々があなたの剣に魅入られて、見たいと思ったからです」
「それで剣聖っていうのは、剣帝よりも強いのか?」
祐はからかうように笑いながらレオンに尋ねると、レオンも肩をすくめて小さく笑った。
「初代は引き分け、それ以降は試合が為されたことがないみたいです。歳が違い過ぎてとかで、なかなか試合が組めなかったのです」
「なら、どっちが強いかは俺が決められるのか」
「残念ですが、それは違います。僕が決めるのですから」
お互いに引く気は無い。
ただ、どちらが強いかを決めたい。それが向かい合う二人の唯一の願いだ。
「くくく……。あはは! あーはっはっは!」
「ふふ……。ふふふ。あはは!」
全く姿形も戦い方も違うのに、まるで鏡写しのようなやりとりに、祐とレオンは同時に大笑いし始めた。
そして、息が切れるまで笑い声を上げると、互いの得物を闘技台の上に突き刺した。
両雄が揃い、戦闘フィールドが選ばれる。
二人が戦う場所は決勝戦にふさわしい因縁あふれる場所だった。
砂地の地面、朽ちた円形の観客席。初めて戦った所と全く同じ、荒れ果てた闘技場だ。
「ようやくてめえと戦える。最初に会った時と同じと思うなよ?」
「ありがとう。僕もようやく本気が出せる相手と巡り会えた」
祐とレオンは互いに刀と剣を構えると、両者は腰を深く落とした。
「ここから先はどっちが強いかなんて言葉はいらないな。それを決めるのは、俺達の剣だけだ。剣帝レオン」
「気があいますね。同じ事を考えていました。剣聖ユウ」
言葉は不要。その意思疎通が出来た途端、二人は同時に地面を強く蹴って飛び出した。
まだ試合開始の合図は為されていない。だが、そんなものは二人には必要無かった。