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奈落の空  作者: ぴこ
旅立ち編
2/179

2話 逆さまの世界

寝る前に二話目書けました


****************


20170613

改定

「なんだこれ…」


どーなってんの?

夢じゃないの?…


景色が逆さまになってるよ!

向かいのアパートの屋根が見える。

庇とアパートの屋根の隙間に空が見える。


まるでだまし絵でも見ているかのようだ。


いや、実際そうなんじゃないのか?

どこぞのイカれた近代芸術アーティストさんがうちの窓の前にドデカイだまし絵でも書いたんじゃないのか?


世の中には島ひとつラッピングしてデコレーションしちゃうアートもあるらしいしな。


もしくはテレビの企画で俺が拉致られて懸賞生活…

無いな。

今の世の中そんなリスキーな企画は通らない。

第一俺は芸人じゃないし、懸賞生活に天地逆転は必要ない。


そうか!


俺、寝ぼけてうっかり逆立ちしちゃってんじゃ?

俺は足元を見る。


よし、ちゃんと立ってる。二本のの足で立っている。

ってかそもそも逆立してて分からないはずがない。


ならやはりこの景色がおかしいんだ。


俺は窓に近寄ると勢いよく引き開けた。

すぐ横を風が吹いた。


ガシャーン!


……あれ?


窓を開いたと同時に窓が俺の真横で倒れて割れた。


…こんな立付け悪かったっけ俺の部屋?


こちとら裸足なので冷や汗が吹き出る。

迂闊に動いたらガラス片踏んじゃうよ。


もう一枚もグラグラしてる。


倒れるなよ~。

俺は手を両手をかざしワキワキさせて念を送る。

特に意味はない。


割れた窓は置いといて外に目を向けた瞬間、先ほど吹き出た冷や汗がひっこんだ。


それは吹き込んできた風のせいだけではない。


窓を開けた先ににバルコニーの手摺が無かったのだ。


バルコニーの庇が足元に1×3メートルくらいはある。

無くなったと思った手摺は上からぶら下がっていた。


見える景色が手摺越しだからおかしいとは思ってたんだよね…


いつも手摺越しに下に見えていたアパートの屋根が見えず、澄みわたる空が足元に広がっている。


「うおっ!」


目に見えていた情報とは違うリアルに、とっさに後ずさる。

割れた硝子を踏まなかったのはたまたまだ。


うちは築30年の5階建マンションの5階角部屋。


この辺じゃ高い方の建物だがこんな景色が見えるはずはない。


だってすぐ下が空って…


まるで高度何千キロって高さを飛ぶ飛行機から見下ろしたかの様な景色。


いや、飛行機に乗った時でさえ下を見下ろせば陸地が見える。


スペースシャトルで宇宙から見下ろしたって

陸地は見える。


空しか足元に無いことがこんなに恐怖を感じさせるのか?


異常だ。


もう俺が考えて把握できる事態ではない。


そこでやっと家族のことに思い至った。


そうだ、母さん…


言っておくが俺はマザコンじゃない。

マザコンじゃぁ~ない!

大事なことだから繰り返し主張します。

俺はマザコンじゃない!


これは母を思う息子として当然のリアクションだ!


うん。


「母さん!起きてるか!母さん!」


昨日は夜勤だったはずだが外はもう明るい。


流石に帰ってきて寝ているはずだ。


割れた窓ガラスを踏まないように部屋の入り口に向かう。


そしてドアを見て追い討ちで現状確認するはめになる。


入り口の位置が高いのだ。

立て付けも逆。


回りを見回す。押し入れの作りも逆。

照明が部屋の床の真ん中にある。

お洒落だ。


この部屋が…いや、この建物も逆さまになっているのだ。


「夢だといいなぁ…」


ドアノブが高い。

俺の肩の高さにある。


「逆さだと開けにくいな。」


俺は恐る恐るドアノブを回す。


俺の冒険は小さな一歩を踏み出そうとしていた。





とりあえず部屋から出してみます。

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