第二章 〜天使と悪魔と学園生活2〜
殺人未遂or重過失傷害未遂(悪魔の力で即時回復したため、実際にどれほどの怪我を負っていたのか僕は解らない)の少女改め、瀬川奈美は僕のクラスメイトだった。
第三者を貫き通している僕と違って、ある意味クラスで有名な人物だ。
彼女は誰にも気兼ねなく話すし、結構可愛い。クラスでも話の中心になる事が多い。人気もある。
しかし彼女は、人付き合いが悪かった。
遊びに誘われても断る事しかない。それなのに彼女の周りには人が溢れている。
『ごめんね』と彼女はいつも言う。それには、本当に謝罪の気持ちしか汲み取れない。
でもそれは、まるで、鳥籠の中の鳥が空を自由に舞う鳥を見ている、そんな印象を受けるモノだった。
最も、そんなことを思いながら彼女を見ている人など、僕だけだっただろうけど。
瀬川奈美に飛び立つ権利は無く、周りの人間は自由に飛び回っている。彼女はそれを受け止めている。
どこか歪んでいる光景。
歪んだ生活を捩じ曲げ自然に見せる、そういう人間。
それが、僕が三年間で彼女に抱いた感想。
その彼女の影が、歪に形を変えていて、どうして驚かずいれよう?
顔には出さないが。
○ ○ ○
「悪魔の眼には、人の心の形が視える」
心の形?
「影に人の心の形を視る事が出来るんだよ。考えてもみろよ、どうやって悪魔が悩める人間に悪魔の囁きをしていたと思うんだ? 悩める人間を見分ける眼がなけりゃ、そんなことできねえよ」
そうでもないような気がするんだけどな……。
で、この場合、当然……。
「勿論、お前の人助け第一号さんだろ。クラスメイトなら知らない人よりマシじゃないか」
それはそうだけどさ。
だけど、何を悩んでいるか解らないとどうしようもないだろ?
「そりゃお前、自分でなんとかしろ」
……お前、それは職務放棄じゃないのかよ?
「んや。悪魔』の俺には人の心なんてわからない、って話さ」
………………。
「俺には、どう頑張っても直面した死を回避させることしかできない。だけど、それじゃあ人を救う事にはならない。」
だから、契約するのか。
「つまりだ。俺はお前のその魂が続く限り望む全てを与えるが、人助けの核はお前に担ってもらう、ということだ」
なるほど……ね。
だけど、もし、僕がここで彼女を無視したら……お前はどうするんだ?
「もし? バカ言うなよ」
「お前はそんなこと、絶対しないだろ?」
○ ○ ○
喰えない悪魔だ。
僕と言う人間を知り尽くしているようじゃないか。
ならば教えてくれ悪魔。
今、僕はどうすればいんだ?
なんで彼女、服を脱いでいるんだ?