第一章 〜リアルにリンクのゲーム3〜
第一章 〜リアルにリンクのゲーム3〜
世界を作った神様は、ちょうど思い出したかのように再び世界に目を向けて、こう思った。
「ちょっと人間に世界任せたのまずかったわ」
破壊される自然環境。自らの生活向上のために自然は失われていく。形成されていた自然循環機能はなくなり、いつしか消え行くばかりの悪循環になっていた。
神のためだと争う宗教戦争。最初に信じた物は同じだっただろう、しかし長い年月をかけてその崇拝物は変化し、もはや当初の信仰ではなくなっている。
自らの欲望のままに奪いあう世界が出来上がっていた。
そして、神様は思った。
「人間滅ぼそう。こいつらが世界の主導権握っていたら、ろくな事にならない」
それはそう、今現在誰もが思う事に繋がる。
「神様がいるのならば、どうして今の世界はここまで争いが多いんだろう?」
自業自得だった。
神様は人間に世界を任せていた。その期待を裏切ったため、現在神によって滅ぼされようとしている。
そんな神様に反対する者がいた。
「貴様のやり方は間違っている! お前は人を何だと思っているんだ! 貴様の思い通りにはさせん!」
そう言ったのが魔王だった。
しかし魔王だ。
魔王の意見はこうだ。
『人間がいるから俺たち悪魔は魂を得られる。その人間がいなくなれば当然魂はなくなる。それに、悪魔は神と敵対する位置にいなければならない。それが悪魔の定義だから』
それにより、天使と悪魔は争う事になった。
神の命のもと人間を狩る天使。
魔王の命のもと人間を助ける悪魔。
それは一見歪だが、それでも世界の均衡は保たれた。
かくして、神様と魔王、天使と悪魔の人間を巡ったゲームが起こった。
○ ● ○
これは悪魔との契約だ。
お前の魂と引き換えに、俺はお前の望む物を与えよう。
力か? 金か? 名誉か?
お前が望めば、俺はその全てを与えよう。
これは悪魔との契約だ。
お前が得る物は多いだろう。
だが、失う物も多い。そして、契約せず失う物も多い。
お前が契約をしなければ、助かる命が助からない。
誰かが必ず不幸になろう。
お前が契約をすれば、助かる命が生まれるだろう。
誰かが必ず幸せになろう。
ただし、この契約は悪魔の契約だ。
悪魔の契約は、お前に二つの条件を与える。
一つは、『人助け』。
明確にどうしろということは言わない。
ただ、助けを求めている者がいれば、お前は助けなければならない。
もう一つは……。
○ ● ○
「さあ少年、この悪魔の契約、結ぶか? 蹴るか?」
悪魔は悪魔らしい、あくまで薄笑いを続けていた。
解っているんだろ、悪魔。
僕の過去を、お前は知っているんだろ?
妹のために死ぬような奴にそんな契約を持ち出しておいて、知らないとは言わせない。
誰かが不幸になるって、それはお前のことなんじゃないのか?
僕と契約できればお前は魂を得られるし、僕を轢いて罪に問われる飲酒運転野郎も罰せられない。一石二鳥じゃないか。
まあ、僕も少なからず飲酒運転野郎には悪いと思っていたのだけど。これに懲りて飲酒運転は止めるだろう。
まったく、自己犠牲も甚だしい。
だから。
「結ぼう、その契約。たとえこの魂が消え失せたとしても、僕はお前の誇れるパートナーになってやるよ」
一年後に死ぬ、この契約を受けよう。
今更だけど、執筆途中のもう一つと似ていることに気付いた。
どうしたものだろう。