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好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します  作者: 皇 翼


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39/39

39.エピローグ

王都の壊れていなかった転送ポートのうちの一つ。そこにクロエが一人、佇んでいた。

手の中で魔法を練って、暇を潰していた彼女だったが、声を掛けられたことで、その顔を上げる。


「クロエさん、お待たせしました」

「まだ集合時間の20分前だから、気にしないで」


結局。リオンはクロエと離れ離れになりかつ彼女が危険な目に遭う可能性が高いという危機から、自分も同行していいという情報が与えられて感情が上下して滅茶苦茶になりかけたが、暫く時間を置けば、クロエと二人きりで任務に行けるということだと考え直して、現在は機嫌が良い状態に戻っていた。


「さて、出発しましょうか!」

「え?まだ全員集まってないでしょう??任務内容が変わったの?」

「……は?」


クロエの発言にリオンが怪訝な顔をする。

きっとリオンはクロエが事前にエルヴィヒから聞かされていた、『今回の任務は解けかけた封印を結びなおすだけで、上層部が思っているほどに危険性はないこと』、そして『万が一のためにも、国内の最高戦力をクロエ共に任務に就かせる』ということを知らないのだろう。


その表情で全てを察したクロエが説明をしようとした瞬間、二人の背後から聞き覚えのありすぎる声が聞こえてきた。


「やあ、クロエちゃんにリオン」

「エルヴィヒ……貴方また僕を騙しましたね」

「ああ、気付いちゃった?そうです、この任務は二人きりじゃありません!!なななんと!リードさん、コールさんにシトリーちゃん、ジェレミー君まで一緒です!!ちなみに僕は王都で留守番」

「……今から貴方に魔力絶縁の腕輪を付けた上で、王城の一番高いところから突き落とします」

「うっわ、殺意がすごいね」

「待ちなさい!エルヴィヒ=シュヴァルツフィールド!!!今回こそは許しません!!」


『キャー!』なんて高い声をわざわざ上げて全力で逃げ回るエルヴィヒとそれを追いかけるリオン。

相変わらずリオンはエルヴィヒに遊ばれているな、なんてクロエは観察しながらも、平和な日常を噛み締めるように堪能した。


暫くするとエルヴィヒが首根っこを掴まれて、本気で泣き叫び、命乞いを始める。

結局命乞いをするくらいだったら、最初からリオンで遊ばなければいいのにとクロエは思うが、エルヴィヒにとって、リオンを揶揄うのはやめられない『遊び』なのだろう。


残りのメンバーがクロエの方に向かって歩いてくるのが見える。

クロエにリオン、コール、リード、ジェレミー、シトリー、ついでにエルヴィヒ。大切な人が近くに居てくれる幸せに、クロエは自然と笑みがこぼれた。


「リオンー!エルヴィヒ捕まえたんだったら、任務に連れていきましょうか」

「なるほど、魔物の攻撃の盾にするんですね」

「いいえ。その人は、マチルダさんと暫く会えないのが一番ダメージ食らうでしょう。ちゃんと首根っこ捕まえて連れてきてね」

「ひ、ひどすぎる。本当に死んじゃうよ……どうか、それだけは勘弁してくれない??」


首を掴まれながら、悲壮な表情を浮かべるエルヴィヒ。しかし報いだとばかりに、リオンもクロエもそれを無視していた。


「皆、エルヴィヒも任務に同行するから、よろしくね」

「は?そいつ、来やがるんですか??王都で留守番って聞いて安心してたのに」

「……エルヴィヒ様は邪魔です」

「まあまあ、賑やかになるのはいいじゃねえか!」

「そうですよ、強い人間が増えるのは良いことです」


全員が全員思い思いに発言しているが、結局半数以上がエルヴィヒを連れていくと言っている故に、彼が任地に連れていかれることは確定している。

こうして大きな事件が起きながらも、クロエはずっと求めていた日常以上のものを手に入れた。

危険な任務に行かされるといっても、きっとこのメンバーならば無事に任務を終わらせることが出来る。そう確信しながら、転送ポートに手を伸ばした。

他作品も投稿しています。

連載中の『婚約者を大好きな自分』を演じてきた侯爵令嬢、自立しろと言われたので、好き勝手に生きていくことにしました も近日中に完結予定です。(アルファポリス先行投稿)

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