28.
「っていうわけ。どう?出来そう?君達にその覚悟はある?」
「……正直、壮大過ぎて信じられない話ではありますが、これだったらクロエさんの中に居たモノにも説明がつきますからね。良いでしょう、やります」
「クロエさんを救うのがリオンさんというのは少し気に食わないですが、私も協力します」
あれから。リオンとシトリーはエルヴィヒと共に場所を半日かけて移動し、ジェレミーと合流した上で、王都より南下した街・エゴルドにある森の奥のとある洞窟まで来ていた。
そこでエルヴィヒから全ての説明を受け、今に至る。
曰く、クロエがエルヴィヒと他のメンバーと共に言った任務で#女神に憑りつかれた__・__#こと、その神の過去。二神は国の災厄を罪という形で被せられて致命傷を受けたのだという。男神の方は魔法の発展のためという理由で、息も絶え絶えの状態でこの地に数千年間『研究対象』として魔力出力を制限されながら封印されているらしい。
そしてそれを知らない女神の方は、既に失ったものと思い、現在は国王ひいてはこの国自体を滅ぼさんとしているということだそうだ。
今回エルヴィヒが持ってきた計画はこれらが大きく関わるものだった。
リオンの天賦魔法である『融合』。全てを取り込み、一体化させられるこれを使えば、リオン自身が南の地にいる神……長い間人々に忘れ去られた上に搾り取られ続けている、この存在自体が消えかけている神の依り代になることも可能ではないかという話だった。
封印されているだけであれば、その封印を解くだけで良いじゃないかという話になりそうではあるが、エルヴィヒ曰く、現在の男神の状態としては、封印の魔力で強制的に生かされているだけであり、魔法を解けばすぐにでもその命は溶けて消えるだろうとのことだった。だからこそ封印を解くだけでは駄目なのだ。神を生かすための『依り代』がどうしても必要になる。
そして依り代になることはもう一点利点がある。彼を取り込めれば、クロエが自身にかけた魔法を解除することもできるのだ。古より、その神は豊穣の神とされてきた女神と対となる存在……破壊を司る神である。その力を使えさえすれば、外側から#魔法を破壊__・__#することも可能だ。
そして彼に会えさえすれば、女神の暴走も少しは収まるのではないか、と。エルヴィヒはそう考えたのだ。
女神と男神を会わせることが出来れば、きっと今の状況を打破することが出来る。もし男神の意識が長年の摩耗で消滅していたとしても、その力を利用できれば女神を滅ぼすことが出来る。一種の賭けだった。
「ちなみに、この計画に協力するのであれば、リオン達も反逆者になるけど、その辺分かってる?あ、ちなみに俺はもうちゃんと反逆者認定されてるよ!!」
「楽しそうに言わないでください。私は別に構いません。あの国に居た理由はクロエさんのためという理由だけですから」
「シトリーちゃんは思い切りが良くて結構!で、リオンは?」
「僕も構いません。地位や名誉、くだらない貴族の称号なんかよりも彼女の方が大切ですから」
「ひゅー!言うねぇ」
リオンは元々、そんなものには興味がなかった。
いらなくなったらいつでも捨てる。その程度のものだったのだ。本当に大切なものは、今は別の場所にある。無言で頷くジェレミーを横目に、リオンは武器の準備に取り掛かった。




