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36話 〜置いてかないで〜

ちょこちょこ過去に投稿した話を再編集してるけど、今見るとやっぱりミスが多いな……

私は今、目の前でアスピアが言った言葉に耳を疑っていた。

アスピアを……お姉ちゃんを交換?

技術の代わりに?

なんで?


「我らは力を望んでいる。貴様は人質の解放を望んでいる。ならば、契約を結ぼうじゃないか。」

「契約?」

「お前の言うとおりにしてやる…が、

お前は決して脱走など考えないことだ。天使の力は我々の理解の範疇を優に超えるものであるからな。」

「その条件、飲んだわ。」

その言葉を言い終わった瞬間、お姉ちゃんは足早に敵のいる方角に歩き出す。



「待って! 置いてかないで!」

「心配しなくても大丈夫。もしもの時はファーシアが助けてくれるでしょ?」

そう言って彼女はウィンクする。

もしもの時って?


「後のことはよろしくね。」

そう言って彼女は走り出す。


「お願いだから!」

置いてかないで、手を伸ばしながらそう叫ぶ声が途切れる。

もう、彼女の背中が遠くなってしまったから。

もう、言葉が届かなくなったから。


後ろから肩を叩かれた。

振り返ると、さっきアスピアと話していた兵士さんがいた。


「彼女の決意を邪魔するんじゃない。少なくとも、無事に交換が終わるまで……」

「だって! 脱走するなって! もう帰ってこないってことじゃ……」


私の言葉に彼はため息をつく。

私の何がおかしいの?


「もう少し冷静に考えろ。」

そう言った後、彼は視線を逸らしていた。

彼の声は少しだけ震えていた。


私は落ち着いていられなかった。

お姉ちゃんにそんな判断をさせてしまった自分が許せなかった。


お姉ちゃんは自分のことをお姉ちゃん失格とか言ってたけど──

……私の方が妹失格だ。

自分では考えず、人質の解放法を考えるのを押し付けたのだから。


私は気づいたらまた泣いていた。

初めて内心を暴露した、アスピアに姉の役割を押し付けた……

あの日と同じ、わがままに溢れた涙を流していた。



私が泣いている間に交換は済んでしまった。

敵の兵隊は撤退してしまった。

解放された人質は家族のもとに帰り、街は少しずつもとに戻っていこうとしていた。

私にはどれぐらいに時間が経っていたのかわからなかった。


私は自分じゃ何にもできない……

いつも他人にいろんなものを与えてもらっても、何にも返すことができない。

今の私にあるものは全部、アスピアにもらったもの。


私はフラフラと歩いていた。

何にも気力が起きないのに。


気づけば東の方まで歩いていた。

この街もそんなに大きいわけじゃないな。

私は狂ってしまったのだろうか?

こんな時にそんなことを考えてしまっている。


「ファーシア様!」


後ろから呼び声が聞こえてくる。

聞き慣れた声。

振り返ると、マリアさんがそこにいた。


「アスピア様は?」

「もう……行っちゃった……もう、帰って…こないの……」

声が掠れる。

風が声をかき消そうとしてくる。

……聞こえてるかな?


「アスピ──」

「アスピア様を追いかけないのですか。」

マリアさんが冷たく言った。

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