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27話 〜私が戦う〜

アスピアに連れられ、私は平原の方にやってきた。

と言っても、ネロニアさんのいる街とは反対方向、私には未知の領域だけど。


「ファーシア、ここからは静かにね。」

アスピアが、いつもの元気さを感じさせない静かな声色で言う。

そして、茂みの中に入る。

それだけ、慎重にならないと卵を取ることができないのだろうか。


「あれを見て。」

彼女が指差したところにいたの10mはあるだろう巨大なダチョウ。

あれがアストラルモア。

平原に堂々と巣を構え、温めるその姿は恐竜と言われても多分疑わないと思う。


「これをあいつに刺してね。」

彼女が取り出したのは、長槍。

金属製のそれは光沢を放っている。


「これはアンタレスの槍。たっぷり毒が塗られた私製だから、あいつでも一時的に動きを止めれるの。」

「……逆にたっぷり塗っても、止める程度なの?」

彼女が苦虫を噛み潰したような顔をする。


「えぇ……一応、熊程度なら即死なんだけどね……」

あの鳥、図体が大きいから毒が回らないのかな……


「じゃあ、早速投げてみて。」

その言葉に従う。

物音が立たないように投げる。

そして、槍は巣の手前で落ちた……


「何やってるのファーシア!? 予備の槍なんて持ってきてないわよ!?」

彼女は静かに怒る。

……ごめん。


「私が取ってくるから、ファーシアはここで待ってて。

……絶対だからね! 危険だからね!」

そう言って、彼女は茂みから飛び出して巣に近づく。

けど……


「グァァァァァァァァン」

そんな感じの咆哮が私たちを襲う。

その方向には、ライオンの体に蛇の尻尾、山羊の頭がついた文字通りのバケモノがいた。

そして、6mはあろうその獅子の眼差しは、巨大な鳥の方に向いていた。


「キマイラ!? ッ」

アスピアはそう叫んだあと、すぐに口を手で塞いだ。


キマイラ……

確か、獅子座だっけ?

伝説は本当に実在してたのか……

そんな無駄なことを考えてしまう。


再び、猛獣が雄叫びを上げる。

そして、巣に向かって突撃していく。


「ダメ!!」

そうアスピアが叫んだ頃には、もう遅かった。


巨大な獅子はアストラルモアの首に噛み付く。

それを振り払おうと抵抗するモアは獅子に向かって脚を振り上げる。

しかし、攻撃はかわされ空を切る。

噛み跡からは血が垂れている。


「やめなさい!」

アスピアが槍を手に取って突撃する。

槍は獅子の脚を切り裂く。


痛みを伴った叫びが響く。

獅子は彼女の方を向く。

モアの首が離される。


キマイラがアスピアの方に完全に向き直った時、彼女が再び仕掛ける。


「おりゃぁぁぁぁ!」

そう叫びながらすぐ振り下ろした槍は弾かれた。

弾かれてすぐ、アスピアは吹っ飛ばされる。


勢いを殺せずに膝をつく。

彼女が立ちあがろうとした時、獅子の尾もまた彼女に襲いかかった。

アスピアは吹っ飛ばされた。

蛇の頭がアスピアの翼に噛み付く。

彼女はそれに対し、言葉にできない叫びをあげて倒れる。

そして、獅子が彼女を転がし始める。


「アスピア!!」

私は気がつけば茂みから飛び出し、彼女のもとに走り出していた。

目の前の彼女が死にかけているのだから、何もしないわけにはいかなかった。

絶対に出てくるなって言われたのに。

脚が震えているのが自分でもわかる。

でも、止まらない。


私は飛び上がる。

その瞬間、さっきまでの脚の震えは消えてしまった。

……守るって決めたから。


視界の先には、捕食者が獲物を弄ぶ光景が映る。

……許さない。


獅子の頭目掛けて蹴りを喰らわす。

それはクリーンヒットした。

胴体は大きくのけぞり、蛇たちも引っ張られて吹き飛ぶ。


「ファ……シア!?」

アスピアがそういう前に私は彼女を抱えて後退する。


ここからどうしよう。

逃げたらきっと、あの化け物は私を追って街まで来る。

そして、街のレンガ造りの防壁なんて役に立たないと思う。


「ごめんアスピア、余計な手を出しちゃって。」

「いや……ファ……こなかったら今頃……」

多分、毒が回り始めたのか呂律が回らなくなる。


「毒は……大丈夫……天……抗体……しばらく……治……」

私には抗体があるから、しばらくしたら治る!

なんて、きっと言いたいのだろう。


「安心して、お姉ちゃん。」

私は静かに言った。

心に秘めてた感情も載せて。


「あとは私が戦うから。」

だから、お姉ちゃんはここで休んでてね。

私は彼女を自然に寝かせて、あの獅子王の元に向かった。

次回 〜獅子王〜

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