24話 〜“鬼“ごっこ〜
この「天使にされたと思ったら、いきなり堕天させられました!?」を、コンテストに出してみようと思います。
さて、お風呂から上がってきたわけだけど。
「これってどういう状況?」
目の前では背の高い女性とアスピアが追いかけっこをしている。
アスピアが助けを求めてきたと思ったらこれで、正直対応に困る。
「ちょっと落ち着きなさい!」
流石に客人を殴るわけにはいかないので、頑丈なアスピアの方にチョップする。
「いたぁ!」
おっと、"ちょっと"強くしすぎたみたい。
「ファーシア! そんなに強くする必要ないじゃない! 私はただ、貴方に判断してもらおうと思って呼んだだけで、お風呂の邪魔なんてするつもりなかったの!」
なんて、騒いでるアスピアを横目に客人の方のもてなしをする。
ティーカップを客人の前に置いて、私は話を始める。
「さて、貴方の名前は?」
彼女の名前はマリア・ファイトス。
どうやら私がこの前寝ていた時に、アスピアによって助けられたから、働くという形で恩返しに来たと。
それも財閥のお嬢様が。
全く、保護者にちゃんと許可をとっているの?
しかし、そんなお偉いさんとこの娘なら、雑に扱うわけにもいかない。
そんなことを考えてると"ちゅん"とくしゃみをしてしまう。
「お可愛いですね。」
とマリアさんに言われて、ちょっと恥ずかしい。
気を紛らそうとティーカップを口に運んだところで……
「ところで。」
「ん?」
「貴方の名前は……ファーシア様と言われるのでしょうか?」
「はい、私は」
そこで、アスピアに遮られる。
「この子は私の妹のファーシア! 訳あって堕天してるけど、悪いことした訳じゃないから安心して!」
「ちょっと!? 私は妹じゃないって!?」
咄嗟にそう答えてしまった。
しまった、客人の前なのに。
「私的には、」
マリアさんが口を開く。
「ファーシア様の方がお姉さんに見えますけどね?」
そう、笑顔で言った。
「ちょっとマリアちゃん!? 貴方もそんなこと言うの!?」
……"ちゃん"?
いつの間にそんなに仲良くなったのだろう。
鬼ごっこの時?
「全く、ファーシアはこの前布団の中にひき」
「ストップ! やめて! それ以上は言わないで!!」
やばい、私が入院してる時の話をされるところだった。
あれ、自分でも恥ずかしいから掘り返さないで欲しいんだけど。
「結局どうするの? マリアちゃん、迎え入れる?」
アスピアは不安そうに言う。
「うーん……本人が望んでいるなら、拒む理由はないけど……」
「それじゃあ!」
私は、手を差し伸べて言う。
「これからよろしくね。マリアさん。」
「……はい!」
彼女は笑顔で言った。
「さて、マリアさんが客じゃなくなったところで。」
「……はい?」
私はアスピアの方に向き直る。
「さっきの鬼ごっこで埃が舞ってるんだけど、どうしてくれるの?」
心を“鬼“にして言った。
「あぁ……それは、その……」
そう、さっきからくしゃみをしていたのは埃が舞ってたから。
ちょっと頭が痛くて辛いんだけど、多分、これハウスダストアレルギー治ってないんだと思う。
「すみません!」
アスピアより先に、マリアさんが謝り出した。
「……マリアさんには怒ってないですよ? ただ、アスピアの監督者責任というか? もう一回髪の毛洗わないと行けないとかそれだけですから。」
「でも、私がお掃除の邪魔をしたから!」
ん……この子譲らないなぁ。
「もう一度言いますが、マリアさんには怒ってませんよ?」
私は本当に怒ってない。
彼女はお嬢様らしく走り方も丁寧だった。
けど、アスピアがドタバタしてたからなぁ……
当の本人置いてけぼりになってるけど。
「それでも!」
「わかった……わかりました! マリアさんと"アスピア"は2人で掃除してもらえる?」
「お任せください!」「は、はい〜……」
はぁ……とため息をつく。
「全く、妹の身にもなってほし……」
「ファーシア? 今、妹って……」
「忘れて!!」
私は自分の部屋に向かって駆け出す。
自分でも、あんなことを口に出すなんて想像もしてなかったし。
部屋についた私はベッドにダイブする。
「私は妹じゃないもん……」
そう呟いた後、私は埃のことも忘れて眠ってしまった。
次回 〜歓迎会〜




