22話 〜天使の里帰り〜
今回はアスピア視点です。
「えぇ!? 今日で修行終わりなの!?」
気がつけば叫んでいた。
だって仕方ないと思わない?
急にお師匠様に降りられたんだもん。
一年後また来てくれ、とかそれまでにお師匠様抱えて飛べるようになっておけって言ってたらしいけど、私はその話をほとんど聞いていなかった。
かなり呆然としちゃってて……
その後荷物をまとめてる時にファーシアから聞くまで話の内容なんか頭に入ってこなかった。
だからってチョップしてくるのはなくない!?
ぶっちゃけタンコブできるかと思ったわよ!?
「お師匠様またねー!」
そう言って私たちは彼女のもとを離れた。
まだ気持ちは整理できてないけど、別れぐらい元気にしないとって。
「……また来い。お前たちを待ってるからな。」
そう言ったお師匠様は複雑そうな顔してた。
それで今、ファーシアと一緒に帰り道を歩いてる。
なんとなく気まずい。
「いやぁ〜、終わっちゃったね! ファーシア!」
少しでも気まずさを紛らそうと思って話しかける。
「そうだね……」
あれっ?
「ファーシア、なんか元気ないけど? 大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。ただ、ちょっと寂しいだけ……」
ん〜……
元気ないファーシアも可愛いけど、私的には元気なファーシアのがいいな。
「こっから街まで競争しない? もちろん飛行ありで。」
私は彼女の前に出て言う。
「飛行!? そんなのアスピア有利じゃん!」
「まぁまぁ、いいから! よーいドン!」
問答無用で空を飛ぶ。
別にファーシアに負けるつもりはないし。
最初から全力!と思っていたのに……
バサって音がしたと同時に手首が掴まれる感覚。
後ろを向くと、ファーシアが私に追いついていた。
多分、距離的にも25mは離していたはず。
「ファーシア!?」
そう言ったと同時に、私の前を彼女が飛ぶ構図になる。
私が何か聞く暇もなく彼女は加速する。
「待って待って待って!?」
私が何か言おうとした頃にはもう、天使の私から見てもジェットコースターかってなるぐらいのスピードになっている。
「と、止まって〜!!」
その後、彼女が街に着くまで振り回されてた。
時間にして8、9分ぐらいのことだった。
「いつの間にそんなに飛べるようになったの……」
やっと地面についたので、彼女に聞く。
まだ目が回ってて足元がおぼつかないけど……
その後の彼女の説明で、昨日私が帰ってる間に山からお師匠様の街まで飛んで見せたって言ってた。
それもお師匠様を抱えて。
彼女の成長をこの目で見られなかったのが残念……というか。
「なんだか、ファーシアがちょっと怖くなってきたわ……いきなりの成長すぎて……」
だって私にも人を抱えて飛ぶなんてことできないのよ!?
それに、ファーシアがあんな速さで飛べるなんて、私知らなかったし!
まぁ、そんなこと言ってても仕方ないか。
私の努力が足りなかっただけだもん。
ぶっちゃけ、最後の方はファーシアに付き合うことが多かったし……
「早く教会に行きましょ! ファーシア!」
私は彼女の手を引いて教会に向かう。
「ちょっ、引っ張らないで!?」
彼女を無視して引っ張る。
さっきの仕返しよ。
「あっ、あそこのアイスクリーム屋さん新フレーバー出してるわよ! 行きましょ!」
私はそのお店を指差す。
「教会に帰るんじゃないの!?」
「いいじゃない! 私達にとって時間は無限みたいなものだし!」
「アテナ様からの任務は!?」
「いいから!」
任務なんてわかんないし、今は努力するしかすることないのよ。
彼女に小豆味のアイスクリームを買ってあげたら、すんなり連れ回されてくれたわ!
それに、ファーシアちゃんファッションショー(着せ替え)できたからお姉ちゃん満足!
「やっと……着いたぁ……」
ファーシアがそう呟く。
私たちは教会に帰還した。
私は教会の扉を開ける。
中に入ると……
「埃っぽ!?」
私は思わず咳き込む。
「これ、なんでこんなに埃っぽいの?」
ファーシアに聞かれる。
「うーん……私のとこはお師匠様と違って信者がいないから、誰も掃除に来なかったのかなぁ……」
「絶対それじゃん。どうするの?」
ふふっと思わず笑みが出る。
そして、私は胸を張って言う。
「もちろん大掃除よ!」
「えぇ〜、私、ハウスダストアレルギー持ちなのに!?」
えっ、そうだったの?
せっかくファーシアの可愛いとこ見れると思ったのに……
「そ、そんなにしょんぼりしないで!? 私も手伝うから!」
それに、天使になって治ってるかもだし……と、ファーシアがオロオロした様子で言う。
「いいの!? ありがとう!」
私は彼女の両手をとって言う。
いつもは退屈な掃除だけど、今日は楽しめそうだと思った。
次回 〜大掃除に訪問者〜
埃が溜まった教会を掃除するファーシアとアスピア。
さて、アスピアは掃除中何を思ってるでしょう?




