21話 〜堕天使の里帰り〜
今日から三日連続投稿になるかもしれないです。
「えぇ!? 今日で修行終わりなの!?」
アスピアがそう叫んだ。
結局、あの後修行は中断されることになった。
気持ちを整理させる時間が欲しいってネロニアさんは"私だけ"に言ってた。
「あぁ、代わりに一年後、また来てくれ! 宿題を出しとくからさ!」
ネロニアさんは手を広げ、元気な声でそう言った。
彼女はアスピアの前では嘘でも元気な姿でいたいらしい。
でも、その笑顔には疲れのようなものが現れている。
「あっ、次会うまでには、私を抱えてでも空を飛べるぐらいはできるようになっとけよ!」
多分、それが私の宣言に対する答えなのだろう。
私たち2人がネロニアさんを飛ばしてあげるって……まぁ、アスピアには相談してないけど。
その後荷物をまとめようとアスピアに呼びかけたら、呆然としてたためチョップした。
どうやら自分が叫んだ以降の記憶がないらしい。
多分、聞いてなかっただけだと思うけど……
「2ヶ月間、面倒見てくださりありがとうございました!」「お師匠様またねー!」
荷物を用意し終わった私たちは、ネロニアさんに手を振って歩き出した。
私たちに応じて彼女も手を振ってくれた。
一瞬、寂しそうな笑顔が見えた。
「いやぁ〜、急に終わっちゃったね!ファーシア!」
帰り道、アスピアがそんなことを言う。
「そうだね。」
そうとだけ返す。
まぁ、事情を知ってるだけに返しづらいんだけど。
「ファーシア、なんか元気ないけど? 大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。ただちょっと……」
寂しいだけ。
うん、そうだ。
ただ、それだけ。
「ふーん……よしっ。」
隣を歩いていた彼女は、私の前に出てきて後ろ歩きで歩きながら言う。
「こっから街まで競争しない? もちろん、飛行ありで。」
「飛行!? そんなのアスピア有利じゃん!」
だって、私はアスピアほど飛べないし……
「まぁまぁ、いいから! よーいドン!」
そう言って、彼女は飛び立つ。
「あ、ちょっと、待ってよ!」
私も続いて飛び立つ。
私、街から街を繋ぐ道のりを覚えきれてないからやばい。
私は思いっきり羽ばたく。
翼に、"エネルギー"が集まる。
前まではなかった抵抗を羽で感じる。
私は飛翔した。
私は彼女を追いかける。
手を伸ばし、そしてその手を掴んだ。
「えぇ!? ファーシア!? えっ?」
かなり驚いている。
どうしてだろう?
私は彼女を掴んで前進する。
高くまで飛んで、翼を斜めにして滑空の体制をとる。
そして、加速する。
「えっ、ちょっと待ってぇぇ〜!!」
木々は次々と流れていき、雲は私たちに追いつけなくなっている。
そして、私は街が見えるまで彼女を振り回した。
ちょっと迷子になってたけど……
「いつの間にそんなに飛べるようになったの……」
アスピアは、街に着いて着陸したなりそう言った。
目を回して若干ふらついている。
私は昨日の出来子供について説明する。
「えっと、昨日アスピアに先に帰っててって言ったじゃん? あの後、ネロニアさんに相談しに行ってたの。」
アスピアはやっと体勢を立て直す。
「それで見てもらおうと思ったら、ネロニアさんが崖から落ちちゃってさ。」
「えぇ!? お師匠様大丈夫だったの!?」
彼女は私の肩を掴んで揺さぶる。
……待って痛い、脳が揺れるって!
「ひ、人の話は最後まで聞いてよ……」
「あっ、ごめん。」
彼女から解放された私は早口で言った。
また肩掴まれるかもだし……
「その後、私が助けないとって突っ込んじゃって、それで気がついたらネロニアさん抱えて町まで飛んでたの。」
「なんだか、ファーシアがちょっと怖くなってきたわ……いきなりの成長すぎて……」
……あれ?
確かになんで出来たんだろう?
無我夢中になってたから、そこら辺全然覚えてない。
「まぁ、いいわ。早く教会に行きましょ! ファーシア!」
元気を取り戻した彼女に手を引かれる。
「ちょっと待って!」
この後、寄り道だかなんだかで私の方が連れ回されることになった。
次回 〜天使の里帰り〜
今回の話でファーシアに振り回されてたアスピア視点の話。




