20話 〜いつか神様に〜
最近伸びが悪くて悩み中。
三十二日目 ファーシアがテストに合格した! こっから本格的な修行が始まるよ〜
追記:私が日記をつける前にアスピアがもう書いてた↑
三十三日目 空を飛ぶ前に滑空の練習をすることになった。鷹って飛ぶ時の大半は滑空らしい? 私は、5mもしたら勢いが落ちて、墜落しちゃった。明日からは飛び立つのと滑空、交互にやってく。
三十七日目 飛び立つのはまだまだだけど、滑空はある程度形になってきたかも? 遠くまで滑空できるようになった。
四十六日目 やっと飛び立つのにも慣れてきた。と言っても30秒しないと10mまで上がれないけど。
アスピアの方はといえば、殆どマスターしている。飛び立つのもそっから長距離(250m程度だけど)を飛ぶのも楽々って感じ。ネロニアさんからは、あとはスタミナだけって。
六十二日目 飛び立つのも余裕が出てきた。あとは長距離を楽に飛べるようになったら……(まだ25mもせずに落ちてしまう、時間でいえば4.5秒)
今は六十三日目の訓練が終わった頃。
太陽は落ちかけ、カラスが夜の街に飛び立つ。
私は崖山の上にいるネロニアさんのところに向かっていた。
長距離飛行について、教えてもらいたかったから。
まぁ、アスピアが教えるの禁止!ってしてたけど、それだけじゃやっぱり成長できないし。
「あの、ネロニアさん。一度、進捗?を見てもらいたいんですけど。」
彼女は答えない。
「あの……ネロニアさん?」私は彼女肩をちょんちょんしてみる。
すると彼女はハッとした顔をする。
「ファ、ファーシアか……どうしたんだ? なんか相談したいことでもあるのか?」
「はい。長距離飛行についてちょっと……」
彼女は難しい顔をして悩んでいる様子。
「それなんだがな。」
彼女は私の方に向き直した。
「次の修行を持って終了にしようかと思っているんだ。」
彼女は、あの日、彼女の翼について話した日と同じ顔をして言う。
こちらを睨みつけているようで、そうではない顔。
「どうしてなんですか? もしかして、私が下手だったとか……」
「そうじゃない、そうじゃないんだ。」
彼女は首を降りながら言う。
「お前やアスピアは早い方、むしろ、ここまでの見込みが早すぎてビックリしているぐらいだ。」
「じゃあなんで……」
「お前達に"魔法"について、教えたくないからだ。」
彼女は沈みかけている太陽の方に目をやる。
「お前達は翼を捨ててでも人の役に立ちたい……そう言ったよな?」
「はい。」
空気がより重苦しいものになる。
「このまま魔法を手に入れたら、私みたいに翼を失うかもしれない。私はお前達を私みたいにしたくはない。」
そう言いながら、彼女は太陽の方に歩み寄り振り返る。
「ほら、見てもらいたいんだろ? 最後のアドバンスをしてやる。」
無理に作った笑顔でそう言う。
私は彼女の方に歩みを進める。
私の本心を伝えるために。
その時……
「何!?」
ガコンという音と共にネロニアさんが落ちていく。
崖が崩れたのだ。
その足元は花崗岩でできていた……
私は空に身を投げた。
彼女を助けるために。
私は彼女を掴む。
そして引き寄せる。
少しでも滑空できるように。
「何やってるんだ! 離せ!」
彼女はジタバタする。
私には言葉の意味が理解できない。
だって、彼女は飛べないのだから、助けないと……
「天使が丈夫なのはわかるだろう! それに、私だったら水のクッションで威力を軽減でき」
「……いやです。」
「なんて言って……」
「いやです! あなたが私に魔法を教えると言ってくれるまで、絶対に離しません!」
私は限界まで翼を広げ、滑空の体制をとる。
おかげでスピードが軽減されているが、それでも地面まであと20mと言ったところ。
「だって、空を飛べなくな」
「ネロニアさん! あなたは空を飛びたいですか!」
私は彼女に聞く。
少しずつ、落下スピードは増している。
「なんでそんなことを聞く! 飛べるのだったらこんなこと言ってない!」
「だったら! 私たちが何度だって飛びます! あなたを抱えて!」
私は翼を羽ばたかせた。
瞬間、私たちは空を跳んだ。
落ちていっていた体は宇宙への推進力を得た。
決して、落下とは違う。
「お前……」
「ネロニアさんはこの光景を最後にいつ見ましたか。」
「えっ……」
「いつですか?」
私は無理にでも聞く。
彼女に教えて欲しかった。
魔法だけじゃない。
彼女の本心も。
「1200年以降は数えていない。諦めていたから……」
「じゃあ、これからは何度でも! 私達が、いや、私が飛ばせてあげます!」
そう言うと、彼女は観念したような顔をする。
「ふっ、自分勝手な奴め……」
「はい。私はこれからも自分勝手します。いつか、神様に認めてもらうまで。」
私は彼女を抱えて空を飛んでいく。
暗闇の中で光る街の方へ。
次回、〜里帰り〜
結局、ネロニアさんの修行は中断することになり、ファーシア達は自分たちの街に戻ることとなった。
それは、2ヶ月ちょっとぶりの帰宅になり……
今回から次の原稿が出来上がってたら予告しとこうかなと。




