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18話 〜ネロニア〜

天使における代償とは。

私は、この修行をいつでも振り返れるよう日記をつけることにした。

アスピアの勧めで……


一日目 修行開始!これからいっぱい頑張るよ〜!

追記:一日目はアスピアが書いてる。


二日目 まだ翼は独立して動かない。

アスピアは崖から飛び降りて滞空する練習を始めた。


三日目 ネロニアさんに「うまいこと羽の神経を探せ」って言われた。そんなこと言われても全然わからない。

アスピアは滞空こそできないけど、滑空できるようになっていた。


七日目 やっと翼がピクピク動くようになった。けど、まだ飛ぶのには全然足りない。

アスピアは3秒間、空にとどまれるようになった。まだそのまま推進することはできないけど、大きな進歩らしい。


ー回想ー

「ファーシア、もうちょっと、もうちょっと踏ん張って!」

「踏ん張るってそんなことでできるわけない……」

私たちは、今日の修行が終わったあと、自分たちの部屋(借りてる)で翼を動かす練習をしていた。


「動いた!」

「えっ?」

「ほんのちょっとだけ! ちょっとだけだけど動いたよ!」

「いや、私からしたらよくわかんないけど?」


十八日目 30度ぐらいは羽が動くようになった。でも、ネロニアさんはまだ足りないと。90度近く動くようになってやっと次のステップに進めるとのこと。


二十六日目 60度ぐらいは動くようになった。ネロニアさんからはもう少しだと言われた。

アスピアの方は低空飛行ぐらいならできるようになった。



そして、三十一日目を迎えた。

今は修行前の準備をしてる。

「ファーシア! 今日こそは絶対! お師匠様に認めてもらおう!」

彼女は太陽のような笑みで言った。


「うん……でもせいぜい70度ぐらいが限界だよ?」

私は少し不安になっていた。

だって、ネロニアさんには90度目指せって言われたし……


「できるものはできるの! それに、今日が無理でも明日がある!」

そのセリフを何回聞いただろうか……

それに、動かせた後も空飛ぶための修行が始まる。

むしろ、そこからが本番なのだから。


「ファーシア、1ヶ月たったが目標まで届いたか?」

ネロニアさんが部屋を開ける。


「それがま」

「うん! ファーシアならバッチリだよ!!」

アスピアが私の言葉を遮って言う。


「そうか、そうか! それじゃ、いつもの場所で待ってるからな!」

そう言ってネロニアさんは出ていってしまった。


「ちょっとどうするの!? 私まだそこまで…」

そこでアスピアが私の口を人差し指で止めてくる。


「ファーシアは自信なさすぎなのよ! もっと自分を持ちなさい!」

自分を持つ、かぁ……



私たちもネロニアさんと合流する。

そういえば、彼女が空を飛んでいるところを見たことがないような……

そんなことを考えながら。


「よし、ファーシア! 早速テストだぞ!」

「もうですか!? 準備運動ぐらい……」

「大丈夫! 翼を動かすぐらいだ。むしろ運動しない方がスッとできたりする!」

………どう言うこと?

アスピアは無視して空飛ぶ方の訓練に行っちゃった。


私はネロニアさんの目の前に立つ。

私は翼を動かし始める。

風を押し込み、抵抗を感じる。


「まだだ! 70度にも届いてないぞ!」

そう叱咤される。

私は全力で羽根をぶん回す。



何分間羽ばたかせただろう。

停止の合図が全然来ない。


「58、59、20分! よし、これで翼は合格だ!」

手を叩きながら言う。

私は疑問を投げつける。


「翼の角度、90度までいってたんですか?」

「いや? 全然。82度がせいぜいだな。」

ダメじゃん。

本当に合格を出してよかったの?


「空飛ぶのに持続力が足りなかったら意味なないじゃないか。今回はそれも測ってたし、最後の方は安定して80度まで羽ばたけてた。だから合格だ。」

そんな風に言われる。


本当に……本当に良かったの?

だって90度まで行かなかったら許さないって……


「鳥も普段は80度ぐらいまでしか使わないらしいしな。」

そう、付け加えられた。

……えっ、そうなの!?


「よしっ、じゃあ早速空を飛ぶ練習から始めようじゃないか!」

空を飛ぶ練習……

そうだ!


「それだったら、ネロニアさんが見せてくれませんか? 空飛んでるところ!」

ただ、興味があってそう聞いた。

今までネロニアさんが空を飛んでるとこ見たことないし、長年生きているのならきっと綺麗なんだろうと思って……


でも違った。

彼女は今、重い表情をしている。

決してこちらを憎む顔ではない。

悲しみや、やるせないと言った感情がこもったような顔。


「悪いけど、私は飛べないんだ。ごめんな。」

彼女はそう言う。

飛べない? なんで?


「私は雨を降らすことができる……そう言っただろう? でも、そんな魔法、能力を得るためには何かしらの代償が必要となる。」

ネロニアさんは下を向いた。

こちらに目を合わせたくないとでも言うように。


「それで、私は羽ばたくことが禁じられた……羽ばたこうとしたら、この羽は雨となって落ちてしまうんだ……」

そうして、彼女は白鳥のような翼を広げる。

すると、端のほうから雫が一粒ニ粒落ちていく。

そして、地面を濡らし跡を残す。


その翼や髪は水色っぽい白だけど、もしかしたらそれも影響してるのかも……


「なんか、悪いな。こんな話して。」

そう言って、彼女は私の肩に手を置く。


「私はいいと思いますよ。空が飛べなくても。」

気がつけばそう言っていた。


「お前、何を……」

「だって、翼の代わりに街一つ救えたんですよ!! 翼じゃ火は消せません! だったら、私は雨を降らす方に力を使いたいです!」


しばらく、沈黙が走る。

やばい、かける言葉を間違えたかも……


「ハハッ」

そんな笑い声が聞こえてくる。

かと思ったら、ネロニアは腹を抱えて笑い出す。


「お前、本当アスピアに似てるな! 本当に姉妹じゃないのか? これで?」

そう、笑いかけてくる。


「私は妹じゃないですよ。なんで似てると思ったんですか。」

私はちょっとムッとして言う。


「いやな? 私があいつに言った時、なんて言ったと思う?  "でも、それで人を救えたなんてカッコいい! 私もネロニアさん、いやお師匠様みたいになりたい!"だってよ。お前とほとんど変わんないだろ?」

確かにアスピアなら言いそうかも。

ネロニアさんは、いつのまにか声に出して笑うのをやめている。


「いやぁ、それより。お前なんで妹だって認めないんだ? これだけ似てるなら認めた方が楽だと思うが?」

そう、聞いてくる。

その顔は笑顔そのもので、あの悲しい顔の片鱗も残ってなかった。

そろそろ覚悟して言うかぁ……


「アスピアは仕事の先輩というか、なんとなく認めなくないというか……認めたら負けなような気がするんです。」

「じゃあ、ほとんど堕ちてるね。アスピアの沼に。」

「堕ちてません!」

私は全力で否定する。

できればあの日の記憶もなくしたいぐらい……


「とか言って、翼をパタパタ振ってるくせに?」

「ふ、振ってません!」

私は、全力で翼を抑える。


「そもそもアスピアは……」

「なになに? 私の話題?」

気がつくとアスピアが後ろにいた。

私は思わず、"きゃっ"と声を漏らす。


「驚いたでしょう〜! こう見えて、隠密行動も得意なの〜!」

そういう彼女に、何かいう気力もなくなる。

まぁ……いいか。


「よしっ、じゃあ早速空飛ぶ練習開始だー!」

ネロニアさんはそう宣言する。

なんとなく、これから一気に短くなる気がした。

時間もそうだけど、寿命とか……

天使の魔法の代償とは意外と皮肉なもの。

雨を降らすなら自らも雨となるし、人々を照らす光を放つとしたら、自らも光に侵食され眠りは浅く短くなってしまう。

そんな感じに魔法が直接代償とつながる。

魔法とは願いの具現化であり、具現化したものに釣り合う代償が常日頃付き纏うことになる。(過去に言ったような気もしなくはないけど)

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