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17話 〜小さな羽〜

私たちは昼ごはんを食べ終えて、平原に出た。

いよいよ修行が始まるらしい。


「まず、天粒を手っ取り早く増やす方法だ! ズバリ、天粒を消費しまくる!」

そう、ネロニアさんが言う。

あまりにあっさりした説明に、私は声が一瞬詰まる。


「しょ、消費するって……それってどうやってするんですか? それもわからないし、メカニズムも……」

「うーん……そこからかぁ。まず、天粒は天使の身体の構成要素だろう? 生命エネルギーって言うぐらいだからな。」

ネロニアさんはそこら辺に露出していた岩を片手で持ち上げながら説明を続ける。


「筋トレしたら筋肉が傷つくだろう? そしたら、筋肉を修復するために天粒が必要になる。だから、補填するために天粒の生成スピードが上がっていく感じ。」

「あのー、お師匠様?」

アスピアがネロニアさんに問いかける。


「一日中、鉄筋を持って働いても全然息をあげないし、力のコントロールの修行中もどんどん疲れなくなってってる感じだったら、どうやって鍛えたらいいの? 多分、筋肉だけならもう仕上がってると思うんだけど。」

ネロニアさんは手を顎に当てながら考える。


「本当にそうなのか? ファーシア。」

手を顎から離して言った。

「はい、崖を登るのも最後の方はほとんど疲れませんでした。」

それを言った時、ネロニアさんは再び顎に手を付けた。


「よしっ、筋トレだけで天粒を補うフェーズは終えてるわけだ。特殊な鍛え方をしてもいいかもな。」

「特殊な?」

「特殊、と言ってもこれは高難易度だからな。私も何年も習得に時間がかかったよ。」

そんな暇、あるのかなぁ……

次いつ私たちの街に攻めてくるかわからないのに、そんな悠長にしてていいのかなぁ。


「その前に、2人とも腕立て伏せ10回×3セット、腹筋10回×3セットだ。」

「わ、私も!?」

「もちろんアスピアもだ。天粒の制御はできても、まだ出力が弱いからな。」


腕立て伏せ……

私が人間だった時は1分間に8回するのも難しいほど苦手だったけど、今やったらどうなんだろう。


「まずは腕立て伏せからだ。1、2、3、スタート!」

私たちはかけ声に合わせて開始する。

思ったより簡単に1セット1セットが終わる。



課された課題をこなし終わった後、私たちはネロニアさんに連れられ、あの崖のような山に来ていた。


「こんなとこまで来て何をするんですか?」

私が聞く。

「あぁ、これからお前達には空を飛んでもらう!」

……えっ、空を?


「待って! 私やったことないけど!?」

アスピアが叫ぶ。

「あぁ、アスピアも筋トレで、終わってたな。まぁ、大丈夫だ。仮に落ちても受け止めてやるから。」


「私のこの小さな羽で空が飛べると思いますか!?」

私は背中の方を指差す。

なんか、ネロニアさんは意外そうな顔をする。


「自分の翼の大きさに自信がないのか? 鷹ぐらいの大きさは既にあるのに。」

「鷹?」

そんなわけはない。

だって前に見た時……いや、私が天使になった時だけど、その時はまだコブ程度だった。

とても1ヶ月ちょっとでそんなに大きくなってるとは思えない。


「あー、そういえばファーシア、髪の毛整える以外で鏡見ないもんね。お姉ちゃんの手鏡貸してあげる。」

妹じゃないし……

まぁいいや、とりあえず借りとこう。


「ありがとう。」

そう言って受け取る。

鏡を背中の方に向けて、横目に見る。

確かに、鏡に収まらないぐらいの大きさの翼がある。


いつの間に……

私、寝る時邪魔になってた覚えないんだけど……


「アスピア、私寝る時どう寝てるっけ?」

「ん? 丸まって寝てるけど?」

そう言うことかぁ……


「時間は有限だぞ! とりあえず、翼を動かすところから始める!」

ネロニアさんがそう言う。


私は翼をパタパタさせるために、筋肉を動かしてみる。

同時に、腕と肩も連動して動いてしまう。


「ファーシア、肩も動いたらダメだ。翼だけを動かすイメージで。」

んな無茶なぁ……


人体の構造的に、何処かだけを独立して動かすなんてことなんて、殆ど無理だ。

小指だけ動かそうとすると薬指も動いてしまうのと一緒。

たまに独立して動かせる人もいるけど……


隣を見てみる。

アスピアがゆっくりだけど翼だけ独立して動かしている。

なんか、手を腰につけているのも相まって余裕感がすごい。


「まぁ、1日でできることじゃない。気長に練習しろ、気長に。腕立て伏せでもしながらな。」

そう言ってネロニアさんは教会の方に歩き出している。


私はもう少し練習して戻ることにする。

アスピアもそれに付き合ってくれるみたい。


「こう、こうやって羽を動かすの!」

「いや、わかんないけど……」

「なんか……ズババって、ギギギって!」

ダメだ、アスピアが感覚派すぎて何にもわかんない。


「ちょっと翼借りるね!」

アスピアはそう言うやいなや、私の翼の付け根の方に指を伸ばした。


待って?

翼の神経って感覚が鋭いんじゃなかったっけ?

確か、平衡感覚を保つためとか……


「ひゃん!」

彼女の指が触れた瞬間、ビクッと翼が跳ね、肩までガクッと震える。


「あっ、ファーシア! 勝手に動かないの!」

「む、無理だって……! くすぐったくって……っ」

例えるならそう、サメがロレンチーニ器官を触られて脳がフリーズするみたいな……


「でも、一回"羽根"だけ動く感覚掴んどかないと……」

彼女は真剣な表情で言う。


「いや、だって……ひゃ! ちょっと、勝手に触らないで///」



結局、羽根を触られるのに慣れることはなく、翼を独立させて動かす感覚はわからなかった。

ネロニアさん曰く、翼の感度には個人差があるらしい。

だからアスピアは躊躇なかったのか……

私には、この修行が少なからず長くなる予感がしていた。

一応、翼が生えてるなら鳥みたいな感覚に寄るかなと思って書いた回。

自分自体は飼ってないのでわからないですが、普段は人懐っこいけど、頭とか羽根を触られるのは嫌がる子もいるみたいですね、インコ。

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