15話 〜マウントクライム!〜
前話から一週間、作中時間が経過しています。
今日は退院を許され、修行を再開する日だ。
てか、もう始まってる。
「まず、お師匠のとこに行くわよ〜!」
………え?
「街を離れちゃっていいの? また責められるかもしれないよ?」
「私たちは天粒の素人、せめてアマチュアになれないと守れないし、多分、向こうも今準備期間だろうし、まぁどうにかなるでしょ!」
彼女は笑顔で言った。
そうして、街を出発した。
「まずはこの平原を突っ切るわよ!」
その方角は、私がこの星に来て、初めて目覚めた場所の方面。
「道中、毒蛇とかクマとかいるから気をつけてね!
ファーシアはまだそこのところ未完成なんだから!」
……えっ、もしかしてあの蛇毒持ちだったの!?
あの時、なんかスルーされててよかった……
私たちはただただ歩く。
特に野生動物が出てくる様子もなく、言うことがない。
木々は静かに揺れ、小鳥は囀る。
私はなんだかピクニックにでも来たような気分になっていた。
「よし、あの山を登るわよ!」
「……えっ、あの山!?」
目の前に見えるのは断崖絶壁という言葉が相応しい、緑の“み“の字もない山だ。
「ほ、本当に大丈夫なの!?」
「大丈夫、ダイジョブ。天使だったら落ちてもタンスの角ぐらいの痛みで済むから……」
「私この前死にかけたばっかだよ!?」
彼女は口元を人差し指で押さえてくる。
「大丈夫だって! なんかあったら“お姉ちゃん“が受け止めてあげるから!」
私は妹じゃないって……
私たちは山の麓についた。
小学校で習った……花崗岩?がところどころ見える。
ただでさえ脆いそれは避けて登ったほうがよさそう。
「……本当に迂回しないの?」
「しない! ってそんな目をうるうるさせても取りやめないからね!?」
バレたか……
私たちはロッククライミングの要領で登り始めた。
と言っても、岩は結構脆い。
私が力を込めるといとも容易く崩れてしまう。
砕けた岩はもはやサラサラとした砂と化して、指からすり抜けていた。
花崗岩じゃないところを選んだのに……
「これ……本当に登れるの?」
「これは力をコントロールするための修行なの!」
確かに私は強弱をあんまりつけれないけど……
「うーーん。全然ダメだよ!」
私はその場に膝から崩れ落ちた。
数メートル登るだけで崖が崩れてしまう。
まるで豆腐に触れるように……
私の手のひらはボロボロになり、私自身は肩から息をしていた。
ちなみに、アスピアは見てるだけでほとんど登っていなかった。
修行開始から5時間が経過して、あたりは暗くなっていた。
「まぁ、これでも成長した方なんじゃない? 最初は体重かけた瞬間バァーンだったもん。」
アスピアは私の頭をポンポンする。
くすぐったい……
私たちは焚き火を起こして、一晩を明かすこと……いや、何日も明かすことになった。
「やっ……と! 山頂に着いたわ〜!!」
私たちは登頂した。
力のコントロールに成功した後は早かった。
たった1日で登ってみせた。
風が心地よく吹き、太陽は水平線に沈みかけている。
「あっ、あれ!」
彼女は奥の方でポツポツとつく光に指をさす。
「あれがお師匠様のいる街、“カニュートラ“! 明日からあの街に向けて全速前進で行くわよ!」
夜空には、薄く星空が浮かび始めていた。
補足:今回の修行は腕力のコントロールであって、天粒の修行ではないです。(一応)
次回から天粒編?開始です!




