14話 〜反動〜
おやすみ回
襲撃が終わってしばらくした朝。
私は小鳥の囀りと共に目を覚ました。
知らない天井。
少なくとも教会ではないと思う。
「ファーシア! よかったぁ……」
そうして、アスピアが抱きついてくる。
あの時、兵士を蹂躙したものとは思えないぐらい、優しい力で。
……暖かい。
「貴方が死んじゃったら、アテナ様の命令も守れないし、貴方との約束も果たせないじゃない! なんであんな無茶しようとしたの!」
「だって、アスピアが──」
「理由なんていらないの! ファーシアが無事だったらそれで……」
彼女が抱きしめる力が強くなる。
ちょっと待って痛い痛い痛い!
迷惑かけたため、無理やり引き剥がすこともできず、その後看護師さんが来るまではそのままの体勢でいることになった。
「ご、ごめんねファーシア。私、あなたを守れなかったのに、逆に守ってもらって……」
私は彼女の頭を撫でる。
なんか、心配かけちゃったな。
「8日間も寝たきりで、もうダメなんじゃないかと……」
「そんなに!?」
え? 私的には次の日の朝ぐらいの感覚だったんだけど!?
その後のドクターによる説明によると、本来半年はベットの上にいないといけないぐらい酷い怪我だったけど、なんでかわからないけどあと一週間で完治するぐらいには治りが早いらしい。
……これも天使になったからかな?
それともアスピアのおかげ……ではないか。
だって、今も抱きつこうとして看護師さんに止められてるし。
彼女自体に回復術とかはなさそう。
いや、本当に申し訳ないことしたな。
だって、そんな怪我で無理やり動いてぶっ倒れて……
病院の人たちが部屋を出て、私とアスピアが二人きりになる。
私はベッドに横になり直す。
だって、ドクターに言われたし……
「ねぇ、アスピア?」
「ん、なに? ファーシア?」
私はアスピアに疑問を投げかける。
「いつから私は貴方の妹になったの?」
アスピアは驚いた顔をする。
……なんでそんな意外そうなの?
え、私何かしたっけ?
「ファーシアが家族いなくて寂しいって泣いて言ってたじゃない。」
「えっと……そう……あっ、私が気絶する前? 戦車の砲撃に巻き込まれる前に言ったような……」
「それで私は貴方に言ったのよ! 貴方の家族になってあげるって!」
続けて小声で言う。
「直後にファーシア倒れたから覚えてなくても仕方ないけど……」
彼女は視線を逸らした。
普通にショックだったのかな?
いや、でも……
「私は妹じゃないからね、アスピア。」
「うぅ……わかったわよファーシア。」
彼女は落ち込んだ表情を隠さずに言った。
そこからは、アスピアにいろいろな話をしてもらった。
まずは私が知らない、ステラさんたちに教わらなかった天使についてのこと。
私たちは筋力や再生能力が人間とは比べられないほど高いこと。
天使は不老不死に近く、相当な外傷を負わない限りは死なないらしい。
そもそも上位天使ぐらいならほとんどダメージを負わないらしいけど。
私の場合、天使になって日が浅い、堕天してすぐと言うこともあり非常に脆かったとのこと。
それでも、再生能力だけは正常に機能してるとも。
そこから、私たちがこれからどうするのかの話をされた。
私の体づくり、そして最低限天使としての力を高めると。
「天使としての力って?」
「えーっとねぇ……天粒ってのがあるの。」
アスピアは一本指をあげる。
「これは生命エネルギーみたいなものでね、これが私たちの再生力とか硬さ……言うなら防御力に影響してるのよ。」
アスピアは笑顔で言う。
「私はこれが新人としては多いエリートなの! だからこの星にこの年齢で来れたの!」
……そういえば、24歳だったな、アスピア。
天使ってさっき言ってた通り不老だからなあ……でも、成長はするらしい。
「それでね! 天粒を使って魔法とかも使えるようになるの!」
……ん?まほう?
えっ、今まで以上にわかりやすくファンタジーなんだけど。
魔法!?
「あ、地球の創作の魔法とかじゃないわよ? 本当に再生能力を与えるとか、キューピッドみたいに運命を与えるとか、そんな感じ。全然便利じゃないのよ? 代償もあるみたいだし。」
「代償?」
「天粒がごっそり減るとか、睡眠量が1.5倍になるとか。個人差が大きいらしいけど。」
彼女は立ち上がる。
そして、こちらに指を刺して言う。
「だから! これからはそれを鍛えていくわよ! 一週間後までに覚悟しときなさい! 貴方が大怪我しないためにもね!」
「うん。」
私にはどんなことするのかもわからないけど、頑張らないといけないことはわかった。
時が流れてもう太陽が月を照らしている。
それまでにおすすめの食べ物、おすすめのアクセサリー、おすすめの本とか本当に色々と聞いていた。
彼女がもたらした影響は思っていたより大きいらしい。
特に食文化だけど……
さて、彼女は荷物の整理をし始めた。
彼女は特別に、遅くまで病室にいることを許されてたけど、流石に本人的にも教会をほっとくわけにはいかないらしい。
そう考えると、なんだか寂しいな。
アスピアのことだから、明日もまたきてくれるだろう。
「ねぇ、アスピア。」
私は彼女を呼ぶ。
彼女は私の方に振り返ってくる。
「何、ファーシア? もしかして"お姉ちゃん"が恋しくなった?」
「……うん」
「えぇっ!」
彼女は驚いた顔をする。
「ファーシア!? 何言ってるの!?」
「アスピア、ちょっとこっちにきてくれる?」
「ん、何?」
私は彼女の腕を勢いよく引っ張り、ベットの中に引きずりこむ。
「ちょっと!? 何してるの!?」
「ちょっと黙ってて。」
私は彼女に抱きつく。
アスピア、暖かいーー
目の前の妹は私に抱きついて離れない。
力が強くて振り解くことは無理そう。
そもそもとして怪我人だし、彼女。
私が暴れて重症化とか洒落にならない。
「ファーシア、ファーシア! 寝ちゃったみたいね……」
私は離脱を諦める。
「おやすみ、ファーシア。」
天使のような笑みの彼女に挨拶をした。
翌朝、2人共々看護師さんに怒られた。
まぁ、"妹"の可愛いとこ見れたしいっか!
今回、夜中に寂しくて姉の寝床に入ってくる妹をイメージして描写しました。
むしろ引き込んでますが……
決して、決してGLではないです!
あくまでも姉妹愛です!




