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12話 〜なくしもの〜

こちらは2日に1回投稿のままです。

これからもよろしくお願いします。

私たちは、とてつもない揺れに襲われた。

後ろを振り返った時、見えたのは戦車。

帝国軍が本気を出してきたのだろうか?

このお店が街の外側にあることもあって、壁に穴が空いているのが見える。

砂煙が辺りを覆っている。


「ファーシア! 一旦逃げるよ!」

……彼女は動かない。

いや、動きようがなかった。


気づかなかった。

彼女のお腹から血が吹き出している。

その傍にはレンガが転がっている。


私は一瞬唖然としてしまった。

さっきまで目の前で泣いていた少女の声は聞こえない。

涙も流さない。


「ファーシア、ファーシア!」

いくら呼びかけても目を覚さない。

軍人たちが徐々に迫ってきている。


彼女を路地裏に引きずって、バレないように身を隠す。

レンガだらけの路地裏で、私たちの白やグレーの服は目立っている。


耳を彼女の心臓にくっつける。

一瞬、時が止まった気がする。

でも心臓はドクドク脈打っていた。

ファーシアはまだ生きてる!


私は彼女の止血を開始する。

ハンカチで彼女の傷口を塞ぐ。

血の匂いが私の鼻腔に広がる。


10分ほどしたと思う。

血はある程度止まったし、心臓はまだドクドク言っている。


私の長いスカートの裾を引きちぎって包帯代わりにする。

汚いかもしれないけど、腹部を抑えられる布はこれぐらいしかない。

一応消毒剤(持参)で消毒はした。

結び終わったあとも、まだ血が滲んでいる。


私は加護も何も使えない。

だから血が止まっても祈ることしかできない。


教会に辿り着けば、電話とかで先輩天使の誰かに助けを求めることができるかもしれない……

でも、ここは戦場。

辿り着く前に見つかってしまうかも。


「民間人は皆人質にしろ!」

そんな声が聞こえてくる。

歩兵がこちらに近づいてくる音がする。


私は少しずつ後ずさる。

その時、物音がした。

私の背中には、金属製のゴミ箱があった。


「そこに誰かいるのか!?」

そう言われる。

答えない。

なのに男が私の目の前に姿を現す。


「女学生か? まぁいい。人質としての価値ぐらいはあるだろう。」

目の前の兵士は私の眼前に銃を突きつける。


「抵抗しなければ命の安全だけは保障してやる。」

私は両手をあげた。

普段なら反撃していたと思う。

でも、今はファーシアもいるから下手できない。

もし弾丸がファーシアに向けられたら……


「あ〜、その子死んじゃうかもしれないね。」

目の前も兵士が言った。

「おい、捕まえるのはそっちの羽付きだけにしとけよ。死体に価値はないからな。ってか何で羽がついてるんだよ。」

後ろから別の男性の声がする。

その男はファーシアの腕を踏んづけた。

私の堪忍袋は、真っ二つに断ち切れた。


私は目の前の兵士の腹を思いっきり殴る。

その兵士は思いっきり吹っ飛ぶ。

建物にぶつかり、レンガが砕け散る。


「お前、よくも!」

もう一人の兵士が銃を構える。

トリガーに指がかけられ、そして引かれる。

でも、大丈夫。

だって全部受け止めたら誰も怪我しないでしょう?


私は弾丸を全てキャッチした。

反射神経なんてないから、手のひらで受け止める形になった。


痛い……

いくら天使でも限度はあるもの。

多分、野球選手の球を素手で受け止めろって言われるくらいには痛い。


でも、ファーシアの受けた痛みと比べたら全然。

あの子なんて、血まで出してるんだから……


「バ、バケモノ!」

そう言う兵士を殴り飛ばす。

……レンガに打ち付けられて気絶したみたい。

大丈夫、いくら人間でもこれぐらいじゃ死なない。


「お前は……何なんだ……」

最初の兵士が意識を取り戻して言う。

私が拳を突き返してやるとまた気絶してしまったみたい。


私が何者か?

空を仰いで、息を吸い直す。


「……私は、あの子の家族よ。」

ちなみに、今回のアスピアは自分の自治圏内での侵攻への反撃なので堕天使にはならない。

堕天使は基本神に逆らった者がなるため、本当に稀。

だけど堕天使は逆らえるだけの実力が本来ある。

ファーシアみたいな弱いのは稀の中の稀。

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