11話 〜小豆色で甘いアイス〜
あずきバーという名前は商標登録されていることを忘れていたので小豆アイスに変更します。
本当にすみません……
今回書いてて自分が心配になってきた……
え〜と、私はアスピア。
そう、アスピア。
和菓子屋さんに入って団子を買って外に出たら、ファーシアがどっか行っちゃってたのよね。
それで探してたら、アイス屋さんのところにいる彼女を見つけた。
「お〜い、ファーシア!」
遠くから呼んでも見向きもしない。
「あぁ、もう。めんどくさいわね。」
私は彼女の元まで歩く。
今日は人が少なかったからいいけど、多かったら迷子コースでしょ。
まぁ、彼女は最近こっちにきた堕天使で、私なんかより怪力なのよね……
この前も長時間鉄骨運んでもピンピンしてたし……
迷子になっても自力で解決しそう。……まるでゴリラみたい。
「ファーシア? そこで何をしてるの?」
振り向いた彼女の表情は満面の笑みって感じ。
よく見たら口元から涎が垂れている。
「この、あずき!」
……小豆?
彼女が何言ってるか一瞬わかんなかったけど、メニューを見るとわかった。
小豆アイス。日本のアイスの真似して作ったレシピを、こっちに広めたんだったわね?
「あぁ、それが欲しいの? 買ってあげましょうか?」
「えっ、いいの? やった!」
その勢いで抱きつかれた私は、思わずよろける。
こんなに精神年齢低かったっけ? この子。
私より背が高いから大型犬みたい……
「待って痛い痛い痛い! 力強いわよ!?」
「あっ、ごめんなさい!」
彼女は私から離れる。
団子無事かしら……と思っていたら、彼女が近づいてくる。
「だ、大丈夫……?」
彼女の目はうるうるしている……気がする。
「大丈夫よ! なんてったって私だし!」
「ほ、本当に?」
「本当だって。」
ちょっと間があいて、
「……本当?」
「本当!」
「とりあえず、アイスを買いに行くわよ!」
「うん!」
……ちょっと今日のファーシア様子がおかしいわよ!?
そんなことを思いつつ店の中に入っていく。
私たちはアイスを三本買って外に出てきた。
一応冷蔵庫に入れとこうと思って、ドライアイスと一緒に一本余分に買ってきたの!
割と冴えてるでしょ!
「あそこのベンチ、空いてるから座って食べましょ。」
「うん。」
彼女はアイスの方ばっか見ている。
でも、決して笑顔を崩さない。
座って食べ進めていると、ふと疑問が湧いてくる。
「なんでそんなに小豆アイス好きなの?」
彼女はなかなか答えない。
彼女の食べる手が止まった。
「い、嫌なら言わなくてもいいわよ!?」
「ううん、そうじゃないの。」
さっきまで嬉しそうな顔をしていたファーシアは今、寂しそうな顔をしていた。
「私、天界で働いてたって言ってたでしょ?」
「うん。」
私は静かに彼女の独白を聴く。
「私の上司、いや、6日だけでも私の親代わりになってくれた人がいるの。」
「うん。」
「二人いるんだけどね、そのうちの一人が初めてくれたものがこのアイスで……」
「うん。」
少し間をあけて、彼女はポツリと言う。
「私、親がいないの。」
私は息を呑んだ。
目の前の彼女は涙を流している。
「……私がまだ小さかった頃、交通事故で亡くなったの。」
表面の溶けたアイスと涙が一緒になって地面に垂れる。
「だから私を子供として扱ってくれたのが、嬉しかったの……」
彼女の声が少しずつ弱々しくなる。
「だから……見て……あ…あの6日間を……お…思い出しちゃって……懐かしくて……」
彼女は途切れ途切れ、そう言った。
言い終わった後も、ひっ、としゃっくりが聞こえてくる。
いつもの冷静さがなくなっている彼女はまるで子供みたい。
でも、それぐらい寂しくて、悲しかったのかもしれない。
そういえば彼女の過去についてはあんまり聞いてなかった。
「ごめん…こんな…話……聞いて…て……気分良く…ない……でしょ…」
彼女がそう謝ってくる。
「ファーシア、ひとつ聞きたいんだけど。」
「う…ん……」
彼女はもう言葉を言うのもままならないみたい。
「家族がいなくて寂しかった?」
彼女は無言のまま頷く。
はぁー、私こういうの見過ごせないのよね……
……よしっ! 今こそお姉さん力を見せないといつ魅せるのよ!
私はこの子より6歳も上なんだから!
そして、立ち上がって言う。
「わかった!あなたの」
“家族代わり“になってあげるーーそう言おうとした時ーー
街を切り裂く轟音と衝撃が私たちを襲った。
跳ね上がった地面が、私の羽ごと空気を突き上げる。
私は思わず倒れ込む。
その時、ファーシアのアイスが落ちて、砕け散った。
ファーシア達を襲ったのは何か?
「天咲カケネ(ファーシア)の過去」
彼女がまだ3歳の頃のこと。
彼女の両親は幼稚園に彼女を迎えに行こうとしていた。
彼らは横断歩道を渡っていた。
そこに一台の自動車が突っ込んできた。
暴走の原因は居眠り運転。
そこの横断歩道は見晴らしが悪いところで彼らは気づけなかった。
彼らはこの事故で亡くなり、カケネは保護されることになった。
カケネ自身は親のことを断片的にしか覚えていない。




