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あの花の丘で side魚見刀児  作者: イチゴボール
2/6

子供

歩き出して二十分ぐらいだろうか。駅が見えてきた。さらに進んでいると、出店が見えてきた。

「おっ!出店あんじゃん!ちょっと寄ってこうぜ!」

立ち寄ること自体問題はない。ただ、一つ問題があるとすれば…

「ちゃんと自分の金で買えよ。」

「おう!分かってるって!」

「ほんとかな…」

「ほんとほんと、お金あるから!行こうぜ!」

もうちょい確かめたい所だが、今回は我慢しておこう。なぜかって?それは、もう事件が起きてしまったからだった。

「おい!山谷!前!」

「?」

山谷はすぐさま振り返る。だが山谷の視界にソレは入らなかった。

「うわっ、イッテーな」

子供だろうか。前を見らずに全力ダッシュしてきた。

(何だこのクソガキは。)

山谷は思ったことを口に出す前に考えられる人だ。

「ああ…ごっごめんなさい…」

その子供は自分がぶつかったのが軍人だとわかり、怯え出していた。

「どうしたんだい?そんなに急いで。」

「じ…実は…」

その子供は怯えている様だが、事情を話そうとしてくれた。すぐに止められたが。

「見つけたぞ!」

身長は180を余裕で変えられるぐらいの、僕らよりも二回りぐらい大きそうな男が現れた。

(一体何なんだ?)

男はこちらに近づいてきた。そして俺たちの前に立ち、一つ敬礼をした。その後は俺たちの方を向くことはなく、一直線に子供に向かっていった。

「いでっ!」

男は子供の髪をちぎれんばかりの勢いで引っ張った。事情も知らない。何が起きているかもわからない。だが、黙って見ていられない男がここにいた。

「すいません。その子供離してもらえませんか。」

俺は道路の真ん中に立ち、男の進路を妨害した。

「あぁ?軍人だからって調子のんなよ。」

(こ、こいつ…感覚でわかる。俺より圧倒的に強い。でも…この子供を見捨てられない!)

俺は今だに子供の髪を引っ張り続けている男の手を掴んだ。

「離してください!」

「チッ、」

そう言って男は子供から手を離した。そのまま諦めたかの様に振り返り、歩き出した。

俺は男がさっていったのを確認してから、子供に話を聞いた。

「何があったんだい?」

この子供から話を聞き出すのは難しかった。まだ、さっきの恐怖が染み付いており、なかなか会話が進まない。

(いや、待てよ。あいつに怒鳴られただけでここまで恐怖するか?)

この子供は、両手は震え続けており、唇も震え、息も荒い。顔色もよろしくなく、極め付けに、目線が定まっていない。一体どれほど恐ろしかったのだろうか。その中で聞き出せた情報は以下の通りだ。

曰く、この子供は商品を盗んだ

曰く、お金が足りなくて、盗むしかなかった。

曰く、さっきの男はその店の店長らしい。

主にこの三つしか情報がなかった。だが、俺にはこの事件の真犯人が分かっていた。この子供に商品を盗まなければならない状況を作り、この子供にここまでの恐怖を与えさせた犯人を。


次回「正義」


「世の中にはな、自分のことしか考えてない奴もいるんだよ。」


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