ベランダを魔改造してみたら・Ⅱ お気に入りの白椅子は誰のもの?
ガーデニングって憧れるじゃないですか。私も見よう見真似でベランダを改造し、ガーデニングを楽しんでいたの。
リサイクルショップでお気に入りの白いテーブルセットを購入し、百均で夏は涼しく冬は暖かく工夫してね。
ベランダは私の聖域。お洗濯を済ませた後の憩いの空間だったのよ。白のテーブルセットでお気に入りの茶葉でゆったり外を眺めるのが唯一の楽しみだったわ。
それが何故かハニトラ国の女王がやって来て、協力して屋上で養蜂と蜂蜜屋を開く事になったの。
勝手に増えてゆく蜜蜂達の世話と美味しい蜂蜜を使った極上のお茶の時間。正確にはイレブンジズかな。
やはり我が家のベランダが寛げる。そろそろハニトラ国の領土を広げよう⋯⋯そんな矢先の事でした。
「大変よー奥様! すずめばちが────」
「あなたまた私の白椅子に座っていたわね」
屋上にいないと思ったら、私の憩いの場にいやがったわね。
「ここのベランダがいいのよぉ。それより、すずめばちがぁ〜」
彼女の天敵の雀蜂が来襲したようだ。養蜂家泣かせの雀蜂。対策はバッチリだ。ハッカ油と木酢と殺虫剤を混ぜた特製スプレー。
「それ撒くと私も撃退されるよね?」
「私の癒しの空間を邪魔するものは全て排除しないとね?」
私はニッコリ笑って、ハニトラ女王とベランダへ出る。スプレーを構えた先にいたのは⋯⋯
「か⋯⋯カワイイ。何これ?! すずめばち?」
ハニトラ女王も可愛いのよ。でもこれは違うベクトルの可愛さだ。どっちもお尻がぷりちぃなの。見えてないか。
「ねぇ、この子は危険なの?」
「本家雀蜂が怖がる『すずめばち』ちゃんだよ。わが国では聖鳥よ」
「だよね〜。あぁ!! 私のお楽しみのクッキーがぁ‥‥」
素材厳選されたクッキーと、蜂蜜紅茶を楽しみにしていたのに。
「キューン♡」
「チュン♡」
あざとく首をちょこっと傾げて、ウルウルした瞳で私を見つめる怪物たち。これはズルい。
魔改造した私のベランダは癒しの空間と白椅子が置いてある。自分だけの聖域のはずだったのに、どこからともなく可愛らしい生き物がやって来て鎮座しているの。
「あれ? 奥様、この子は置き配みたいよ」
「へっ? どこの誰かしら。もうウチの子だから返さないよ」
きっと私の白椅子は、彼女とこの子たちとの争奪戦になるだろう。でもね⋯⋯私は負けるつもりはない。お茶とお菓子を用意して迎え撃つわよ。
何より私のベランダを気に入ってもらえたのが嬉しかったの。
新しい仲間に乾杯────♪
お読みいただきありがとうございます。この作品はベランダを魔改造したらの続編ですが、単発でもお読みいただけます。
※ 作中のイラスト『ハニトラ女王蜂様』コロン様提供、『すずめばち』幻邏さま提供のFAとなります。千文字に収める為に、ご紹介を後書きにて行っております。
素敵なイラストをありがとうございました。
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